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当院での視覚障害者手帳申請から、補装具申請までの流れを解説します

数年前まで当院では視覚障害者手帳の申請は年に数件、補装具の申請に至っては、1年に1人あるかないかの状況でした。

今でも多いわけではないですが、数年前に比べれば手帳の申請・補装具の申請は各段に増えました。

視覚障害者手帳の等級基準が変わったからでしょうか?もちろん、理由の1つにはなるでしょう。ですが、私が考える一番大きな理由は、院長・視能訓練士が、患者さんの

視力や視野から手帳に該当する人を見逃さないように意識するようになったから。

では、なぜそのように意識が変わったのでしょうか?困っている患者さんの助けになりたいけど、どうしてあげたらよいかわからなかった。

わからなかったを少しずつわかるように変えていけたからだと思います。

前置きが長くなりました。

皆さんが患者さんの助けになりたいけど、わからない。

そんな悩みが少しでも手助けできる内容になれば、幸いです。


視覚障害者手帳の申請方法

ここからは、あくまで当院でのお話しになります。

地域や施設によって差があるかとは思いますが、当院での取り組みについて紹介します。

視覚障害者手帳に該当する人を見逃さない

皆さんは、視力や視野をパッと見ただけで、

「あ~この人は何級になるなぁ」

と、すぐにお分かりになるでしょうか?

私はわかりません。

わかりませんが、なんとなくは頭に入っています。

ただ、この人は該当するかもって思ったら、すぐに調べます。 
(手元にこの本があるので、とても重宝しています)

意識しているのは、少しでも該当するかもって考えた場合、すぐに調べて情報を院長と共有すること。

例えば

・両眼とも全体的な視野が狭くなっている。エスターマンで測定してみよう
・中心部付近に暗点がある。中心10-Ⅱで行えば、中心視野で手帳に該当するかも
・両眼とも視力低下している。手帳に該当しないか調べてみよう

そして、院長にこっそり言いに行くか、忙しければカルテにコメントをつけます。

結構、大きな字で。

すると、うちの院長はすぐに患者さんに伝えてくれます。
(躊躇ないなぁと思いますが、ある意味凄く助かっていますね)

患者さんは、自分が手帳に該当するかどうかはわからないことが多いし、自分からは尋ねにくいものです。

眼科側から提案されると、患者さん自身が取得する・しないを選択することができます。(ここがとっても大切で、提案されないと患者さん自身が調べて勇気を出して口にだすしか、方法がないんですよね。)

これは、知り合いから耳にしたことです。

眼科側からの提案はとってもありがたいと。

手帳に該当すると思っても、視能訓練士が患者さん自身に伝えるのは絶対にダメですよ。

必ず、医師から伝えてもらって下さい。

当院で手帳に該当する人を見つけ出す割合は、視能訓練士が8割は超えていると思います。

忙しい診療の中で1人1人に多くの時間を割くことができない医師にかわり、我々ができる大切な仕事の一つなんじゃないかなって思っています。

視覚障害者手帳を申請するための準備

患者さん自身が、手帳を申請を希望した場合は役所の保健福祉課(高齢者・障害者相談係)に行って、身体障害者手帳診断書・意見書を取ってきてもらいます。

が、普通の流れですよね。

でも、手帳に該当するような方って、役所に行くのも大変だったりするんですよ。そこで、役所の方に相談したら、診断書・意見書を当院に送ってくれるようになりました。

※すいません、ここは各自治体で違うかもしれません

当事者の友人に聞いた話ですが、視覚障害は情報・移動障害だと。

だったら、移動の手間をできる限り減らしてあげたいなと思い、役所の方にお話しすると快くOKしてくれました。

申請に必要な検査を行い、書類を提出する

基本的には、視力屈折検査に加え、GPもしくは中心視野10ーⅡを両眼+エスターマン全視野のどちらかで行います。

ここの判断は難しいですが、最近は当院ではハンフリーを用いて行うことが多くなりました。申請するタイミングにもよりますが、おおよそ1~2ヶ月で視覚障害者手帳が交付されます。

補装具の申請方法(遮光眼鏡)

視覚障害者手帳を取得すると、さまざまな福祉サービスが受けられますが(それだけでかなりの量になるので割愛)、その中の1つに補装具の申請があります。

当院では、遮光眼鏡を補装具として申請するケースが多いので、今回は遮光眼鏡の申請について説明します。

補装具の意見書・申請書を取得

視覚障害者手帳を取得後、保健福祉課の障害福祉相談係で補装具として遮光眼鏡を申請したい旨を伝えてもらいます。

基本的にご本人に申請に行ってもらっていますが、身体障害者手帳同様にご本人が行けない場合に限り、役所から当院へ郵送してもらいます。個人情報を役所の方に伝えなければならないため、ご本人に了承の確認をとって、高齢者・障害者相談係の方に連絡します。

余談ですが、最初は病院の住所や私の名前などの情報を伝えていましたが、しょっちゅう電話していたため、聞かれなくなってきました。

遮光眼鏡を合わせる

意見書・申請書が揃ったら、遮光眼鏡を合わせるのですが、ここで1つ注意点。

北九州市では

視力障害で手帳を取得している人のみ、遮光眼鏡に度を入れて申請することができる

逆に言うと、視野のみで手帳を取得している人は、度数の申請はできず色のみでしか申請ができません。

(自治体により違いがあるので、ご確認下さい)

屋内用・屋外用と申請項目がありますが、基本はどちらかでの申請になりますので、患者さんと相談して決定します。

度数・色が決まったら、医師が書類に必要事項を記入します。

当院の場合は医師が記入しやすいように、度数やカラー、透過率のところは付箋で書いてつけています。

必要な書類を揃えて提出

その後は、遮光眼鏡を取り扱っている眼鏡店で見積りを出してもらい、申請書と一緒に添えて役場に提出します。

当院ではありがたいことに、併設の眼鏡店があるのでそこに見積りをお願いしているので、患者さん自身が眼鏡店に行く手間が省けています。

《補装具申請に必要なもの》
・補装具意見書、申請書
・遮光眼鏡見積書
・マイナンバーカード等の本人確認できる書類
・印鑑

必要な書類の提出後、判定結果がでて申請の許可(支給決定通書)が届いたら、遮光眼鏡を作成し患者さんにお渡しします。

上限範囲内であれば、原則1割負担で作成することができます。基本的には、4年間は新たに遮光眼鏡の申請はできませんが、屋内用・屋外用別々にどうしても必要な場合は、役所の担当者に相談して下さい。

あくまで当院での流れなので、参考程度にしていただければ幸いです。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

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