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前十字靭帯断裂から手術へ

「うわ〜〜、やってもうた……」


いっったっっーーーー!ではなかった。
まさに心の叫び。

と言っても私本人ではない。
子供がケガした。

春休み、進級直前。
最後の総体がやってくる! という矢先に起こったケガ。
部活と言えど、真剣にがんばってきた。
けれど、まだ終わっていない。

スポーツをしていればケガはつきもの。
そうわかっていても辛いものは辛い。
お先真っ暗な気分。この行き場のない気持ち。

だから

同じケガで悩んでいる人、
手術をすべきか迷っている人、
毎日のリハビリにくじけそうな人、
「こんな時期にケガをするなんて…」と落ち込んでいる人

そんな思いを抱いている人に何か役立つ情報につながれば……と思う。
現在進行形の備忘録としてつづっていきたい。


こうすれば早く治るよ!というのではない。
引退には間に合わないかもしれない。

というか、
普通に考えたら当然、間に合わないだろう。

さっさと勉強に切り替えた方がいい。
スポーツだけが人生ではない。
これも人生で何かを学ぶために起こったのかもしれない。


しかし、その前に


 なぜ、備忘録として書き留めようと思ったのか……


それには理由がある。

ケガの直後、我が子は長年通うかかりつけの整骨院と病院の2つにかかった。
病院にはもちろん、医師、理学療法士や作業療法士が常駐している。ただし、通うのは週に1度。整形外科で診察と1回20分のリハビリを受ける。

そこで

長年子供をサポートしてくれた整骨院の先生の一言。何人ものプロアスリートにも施術し、その活躍を応援してきた。

「(リハビリを始めるのに)1週間もあけると遅いんだよ」

その一言が、私たち親子の常識と真逆だった。

「動かしていいんだ……」


Day 1 負傷 

3月30日
甲子園での高校野球準決勝、試合開始のサイレンが青空に鳴り響いた直後、カバンの中でブブブブブとゆれるのを感じた。
マナーモードにしたスマホ。

試合を気にしながらもちらっとスマホを見ると見覚えのない番号。
まあいいっかと、意識はすぐ試合の方に戻る。
数分後、またブルっとゆれる。

もう一度見ると、床に寝転び、膝に氷をのせている子供の写真がLINEに送られてきた。
あわてて通知に残る着信番号に電話をする。
部活のサブコーチが電話の向こう側で応える。

「練習試合中に右膝をケガしまして…」
との連絡だった。

「わかりました。迎えに行きます。」
と、楽しみにしていた試合はさておき、電話を切り学校へと向かう。

体育館に入ると他校の部員が試合をしている。
そのすみっこの方、パイプいすにちょこんと座った我が子がいた。

試合中、ドリブルで左に軽くふって右から抜こうとした瞬間、倒れ込んだらしい。

土曜日の午後2時過ぎ。
「病院はどうしよう」と、ふと頭をよぎる。

部のトレーナーさんから
「いつもかかっている病院があると聞いたので、今から救急の病院に行くよりも月曜日にMRIのある病院にかかってきちんとみてもらったほうがいいと思います。」
という助言をいただく。

歩けない子供と大きなカバンを担いで体育館を出ようとすると、友人とトレーナーさんが子供をかついで階段を降りてくれた。

子供と車に乗った。
「さあ、どうする?」

「いつものとこ行こう」
子供の判断だった。

いつものとこ=整骨院。
小学生の頃から体を調整しながら励ましてくれたのがこの整骨院の先生。
ある意味病院よりも信頼している。

そういえば、土曜の午後もみてくれるからとすぐに電話をして入れてもらった。

施術中、20分のアイシングをした後に、太ももの後ろハムストリングスをぐーっと踏んでほぐしてもらう。
「痛いから我慢してね」
先生の言葉通り、ホントに叫ぶほど痛かった。

らしい……。

「えっっ、ケガした後やのに踏むの⁉︎⁉︎」
もちろん、ケガしていない部分のこわばった筋肉だが、驚きでしかない。

「後で圧迫するからお母さんも見ておいて。今日帰ってから20分アイシング、2時間圧迫を繰り返してね。明日も同じようにね」

膝を圧迫するためのバンテージの巻き方を先生がレクチャー。
それを動画におさめて家で再現する。子供は立った姿勢で膝15度をキープ。
バンテージが膝の後ろを通るときは引っ張らないなどポイントがいくつかある。

松葉杖の使い方も習い、借りて帰る。使い慣れないものに、子供は

「ケンケンの方が楽やわ」

と結局、松葉杖を持って片足立ちで頑張っていた。

思ったほどひどくなかったか、とちょっと安心して家路についた。

家に帰ると、2階の自分の部屋にあがるのも一苦労。ケンケンしていた左足もぱんぱんになってきて、片足立ちすると体が勝手に倒れていく。
先生に言われた通り、アイシングと圧迫を繰り返した。

「膝の上がぷにぷにやねん。」
指で押すとほんとにぷにぷにしている。
「腫れてるなあ」
と、バンテージでまたギュっと圧迫した。

Day 2 休養

3月31日 
日曜日

一日布団の上でゴロゴロ過ごしながら、無理して動かずゆっくり過ごす。
膝の痛みは変わらない。
朝からまたアイシングと圧迫をする。

今日は自分の部屋で寝ると言って、ゆっくりと2階への階段を上がる。前を向いて座り、後ろに一段ずつ上がっていく。下りるのは思ったよりずっと簡単だった。

Day 3 受診

4月1日 整形外科受診
かかりつけの病院を受診する。
院長は今日の担当医には入っておらず、他の先生で受診をする。すると、受付の方から、院長がスポーツ専門だからと担当医の変更の案内を受けた。

簡単な診察の後、
「じゃ、MRIとレントゲンとで詳しく検査してみましょうか」
と40分かけて画像撮影に入る。

もう一度診察に呼ばれ、画像を見ながら説明を受ける。

「膝の骨と骨をつなげる靭帯が前と後ろに2本あって、これが後ろ、後十字靭帯でこういう風につながってるんですが、前の方は本来ここにこうつながっているはずなんですが見えないんですね。つまり切れてしまって、断裂している状態です。それと、上側の骨の部分が白くなっています。骨折ではないですが、陥没したような状態です。あと、膝の上の方が白いのは血が溜まっています。」

と注射器を取り出し、膝の横にプスッ。赤〜い血がじわじわと30mmの注射器内に溜まっていく。1本がいっぱいになり、一旦引き抜く。もう1本取り出して、またプスっとさす。注射器の半分くらいまで溜まったところでスッと針を抜く。

「41mlくらいですかね」

膝のぷにぷにの原因はこれだった。水ぶくれと同じ原理で、血を抜いたらぷにぷにが少しおさまり、腫れが引いた。

「前十字靭帯断裂ですが、まだ高校生と若いので、この場合手術をした方がいい。来週9日にリハビリをはじめて経過をみて、26日もしくはもう少し待った5月7日に手術を予定しましょう。」

思わず質問してみる。
「手術って、今後スポーツをするしないにかかわらず、手術をしたほうがいいんですか?」

すると、
「手術をしないと後から膝が不安定になって、他の膝関節症を起こしやすくなるので手術をした方がいいですね」
ということらしい。

大した事は無いと喜んだのもつかの間、
やっぱり切れてたのかー
と、仕方ないなという感じ。

子供はというと、そこからネットで
「前十字靭帯断裂、手術」
で検索し、いろいろと情報を集める。聞けば、すでに詳しい情報を集めた後だった。

Day 4 アイシングと圧迫が大切

4月2日
今日は、ケガをしたその日に応急処置をしてもらった整骨院を受診。
先生が顔を見るなり親しげに
「どう?」
と聞いてくれる。

「前十字靭帯断裂でした」

「え、切れてたの??」
 
「はい。26日に手術します」

「あ、そう‼︎ 病院だとリハビリはじめるの遅くなるから今日からすぐやったほうがいい」
とリハビリを習って帰る。
「このアイシングと圧迫がほんとに大切なんだから続けてね」

手術までの約3週間にできるだけ状態を良くしておく。手術前の膝の状態が術後に影響するという。当然無理はいけないが少しずつ回復させる必要がある。

靭帯を損傷すると、膝が伸びなくなる。伸展制限と言われるが、できるだけ5度以下、まっすぐのびる状態に近づけておくと術後も同じ状態に戻しやすい。しかし、もともと膝が伸びないものを手術後に戻すのは難しいらしい。言われてみれば当然かもしれない。だから早期のリハビリが重要だという。

Day 5 リハビリ

4月3日
アイシング&圧迫 3回
リハビリ ひざのお皿の上側の筋肉に意識的に力を入れる。左側は筋肉がもりっと浮き上がるが、痛めた右側は筋肉が動かず力が入らない。

ちなみに、筋トレをしない私にも意識的に力をいれることはできなかった。

思うように力が入らなくても、指で押さえながら筋肉をかためる訓練をする。
できなくても何度もやってみるのが大切。

Day 7 自宅でのリハビリ

4月5日
アイシング3回。
リハビリ3回。
当たり前だが、足は相変わらず力が入りにくい。

足の引き寄せのリハビリ。おしりの位置からかかとまでの距離はペン2本分。左足はピタッとお尻までつけることができるが右足はそういかない。
前方向から背の方に向かって脚を押すと膝に痛みがでる。

Day 8 言葉がけ

4月6日
整骨院の先生から
「経過がいいよ。良くなってる。また続けて2週間くらいで見せて」

先生のその言葉を聞くと希望が持てる。
不安が薄れていく。
この言葉がけが、何より安心感につながる。

院内には何枚ものアスリートのサインが貼られている。
体を整えながら試合にのぞむ。そんな彼らのケガや、ある意味メンタルまでも支えながら、信頼できるトレーナーとして復帰へと導いてきた。

先生は必ず聞く。
「試合あるの?」
「試合出たいの?」
靭帯を切ってすぐもそうだった。

「病院だと遅いんだよ。すぐはじめた方がいい。1週間空くだろ。その1週間ただ待つのはもったいないよ。」
「手術前のリハビリが術後の経過に大きく影響するんだから」
そんな助言をしてくれる。

少し話はそれるが、この言葉を聞いて思い出した出来事がある。
長年病院に勤める知人の話。
新年度、院内の異動があった。ここの病院に来ればその日に終わって帰れるのに、体制が違う病院から来た人が入ると
「では予約をとって、また来週に」
と、1回で終わるところが2回必要となる。スピードが遅い。
結局、置かれた環境と体制で考え方が大きく左右される。

Day 9 リハビリ日

4月7日
リハビリ継続

① 20分アイシング
② ヒールスライド
③ バンテージによる圧迫

1日に①〜③を4回繰り返す

Day 11 手術日決定

4月9日
始業式
処置のおかげでとりあえず学校までは歩いていけるようになった。平坦な道だが約1.5km。ゆっくりと歩くと20分ほどかかる。

2回目の整形外科診察
医:「どうですか?手術の日程ですがどちらにしましょうか?」
私:「早い方の26日でお願いします」
ちょうどゴールデンウィーク前の金曜日。手術後、ゴールデンウィーク中に休養できるよう手術日を決める。

医:「その日は4件ありまして、ちょっとどの時間になるかまだわかりませんが、その日でいきましょう。前日に入院して、退院は30日の予定です。退院後、またここのリハビリに来て下さい。あとは、看護師から入院についての説明をしますね。」

祝日をはさみながら6日間の入院予定。
次は手術2週間前の4月12日に、手術前検査を受けることになる。

ここまでお読みいただきありがとうございます。
では、また次回手術以後をつづっていきたいと思う。



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