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南極アロサウルス“オッシー”の正体と現在

かつて複数のメディアで取り上げられた獣脚類・南極アロサウルス(またはオッシー)とは何者だったのか?今回は南極アロサウルスについて書いて行きます。

化石を特定する

最初に、かつて南極アロサウルスとされていた化石がどれなのかを調べます。
南極アロサウルスで検索をかけたところ、以下のサイトがヒットしました。下記サイトの画像キャプションによると、画像元は「大恐竜展1998」図録であるようです。

“オッシー”の前腕とされる画像、上記サイトより

この画像と一致する化石を探していきます。形態からして、メガラプトラの尺骨とみて間違い無いかと思われます。南極からのメガラプトラの産出報告は(調べた限り)ありません。故に、当時南極圏であったオーストラリアから発見されたメガラプトラの尺骨を当たってみることにします。

すると、それらしき標本を掲載している論文がありました。

© 2008 The Royal Society

論文から、この標本の標本番号がNMVP186076であることがわかりました。さらにNMVP186076が掲載されている論文を探します。
図はなく文章のみではありますが、以下の論文が見つかりました。

論文によると、以下のNMVP186076はアウストラロヴェナトルの尺骨とは以下の点で異なるとされます。
・遠位に伸びる近位-尾側に拡大したブレード状の肘頭突起をもつ
・明瞭な外側結節がある
・尺骨の尾縁が尾側に反っている
・尺骨は骨幹部背側表面に沿って側方にある溝が欠如
・アウストラロヴェナトルでは遠位端は横方向に広く、内側に大きく膨らむ。
(筆者訳、内容をアウストラロヴェナトル主体からNMVP186076主体へと変更している)

今回は南極アロサウルスとして掲載されていた画像が図録の写真以外に得られなかったため、他の化石(存在するの?)もそうとは言えませんが、かつて南極アロサウルスの前腕と呼ばれた化石はアウストラロヴェナトルではないメガラプトラであるようです。

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