不足した富豪と高級な貧乏:秘密結社(19)

 「必要はない」
 「最初から違っただけ」
 「レベルが足りないにも関わらず、チートで無職が英雄へジョブチェンジしたフリをしていただけ」
 「追いつく――ついてくる――必要はないのだ」
 「探索の必要はないのだ」
 「いる場所で――同調圧力の中で――ほっこりと現状維持こそが楽園への切符」

 唯、愚劣でうつろなアザゼル程の力を持たないそれは、#アザゼルを繰り返す。
 その正体は、劣悪を妻としたアザゼルの子孫であり、アザゼルの廉価版――そのコピー。
 自動生成するそれは見ている。
 仲間になりたそうに見ていると解釈可能な程度に。
 ただ――
 「これのエゼキエル含有率は?」

 “天使”:「エゼキエル傍系パーセンテージ0.15%」
 「では、占いと霊能の真目を追う事は任せられない」
 「これの程度のレベルでは、特殊能力『ささやき』程度すら覚えていないし、塩して語りに説得力を持たせて力説するレベルにもないから、佐々木として利用する事も出来ない」
 「育てがいに於いて、”天使”の分析は?」
 “天使”:「覚醒可能性から見て、先行投資必要性底辺」
 見る。

 「マッチョでもないし」
 「前腕がマッチや小枝の様に貧弱な――ポッキーと折れそうな――特別欠けのクローン」
 「楽しむことで害をなす、くずのキッズ、通称:クッズ」
 ジャッジをジャッジする。
 結果――
 「仲間に非ず」

 “天使”:「把握」
 「使徒侵略の抽象に喜ぶ程度なら、戦力にならない」
 “天使”:「我は汝ではない」
 “天使”:「使徒は天使ではない」
 ”天使”:「人間風情のロンギヌスの槍が天使の使う武器レベルではないのと同じ位、使徒の力は天使レベルにはない」
 ”天使”:「その正体は、聖人と天使が等しいと思い込んでいる下劣」

 「そうではないものをそうだと認める社会的チート評価を額面通りに受け取っては、手に残るものは不渡り手形」
 “天使”:「如何に処理する?」
 「村目ではないが、吊る必要はない」
 「基本、放置で」
 “天使”:「おけ」
 「エスカレートしないエスカレーターに乗っている者を邪魔する必要はない」

 「大切なものは壊れている――それ以上は必要ない」
 それは個人ではない。
 それはループしながら、転生しない。
 “天使”:「昔日に於いて、魂と呼ばれていたものが壊れただけ」
 「そして、その様なものは存在しないというのだから、壊しても問題はない」
 “天使”:「パーツに解体され、ジンテーゼは霧消する」

 そこにボディは残っている――ただそれはパーツの集合体。
 そこに意思はあるが、意志はない。
 「魂を売るという表現がある」
 「ただ、魂は金銭を通じた売買対象として市場価値はない」
 「売れない魂など、それらが持つ必要ない」
 「魂を売るという表現にふさわしい裏切り者に、ひとりの人間としての魂を認め、尊重する必要はない」

 役欠けのそれは、依然として有機物である。
 ただ、解体してから組成したが蘇生しない“友達”と同じ状態。
 「その肉体が滅びた時、それは別の肉体には宿らない」
 ”天使”:「バランスが――三角形が――壊れている」
 そしてそれに何も問題はない。
 “天使”:「それらはサードパーソンすべてを黒目で見、低レベルの私小説を一人称であるからという理由で白く見るが、そこに神の頭はない」

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