手紙
ビバ、ひがし
君がこの手紙を読んでいるということは、私はもうこの世にいないということなんだろう。
大人になった君が、あのころのままだったら。いつかきっとここにたどり着くだろうと思いここにメッセージを残す。
懐かしいな
君に最後に会ったのはいつだったろうか。お昼にペペロンチーノを奢ってもらった銀座だろうか。自分の買い物でもないのに5時間以上拘束されていた銀座だろうか。かちこさんがユニクロのスカートを履いていたので店員さんと勘違いされた銀座だろうか。
とにかく今となってはたくさんの出来事が全てが懐かしい
さきほど「この世にいない」と言ったが、実はそれは真実ではない。正しくは私という存在がなく概念として存在しているような。目の前にあるのに掴めない、あれ何て言ったっけ、DDRじゃなくてSDGsじゃなくて……ブイ、ブイ……(ここでVRや。と突っ込みが入る)
そうVR、実体はもう無い思念体のようなものなんだ。そして私は、君たち愚民が『未来』と呼んでいる場所から来た。
少しだけ未来を語ろう
君の形式上の友人でもあり便宜上、相方のパカさんは、あることをきっかけに、『空き家レンジャーからしイエロー』となり、今では至るところの駅前に安く停まれる「パカホテル」を運営している。何もかも似てるということでアパホテルに向かう田舎者を今日も混乱させているようだ。
カヲルさんは今度海外の大きな舞台に立つらしいね、あまり詳しくないけど「凄いんですよ!」と、世界を飛び交うカメラマン集団の一員として同行するかちこさんが鼻息荒く言っていたよ。
そしてみきやさんは……
いや、もう「さん」付けは止めよう……
「みきやさま」は変わってしまった。いや、元々がそうだったのかもしれない。きっと、ずっと、いや絶対そうだ。間違いない。
「みきやさま」を最後に見たのは、時の総理大臣の横だったろうか。相変わらず最低限の行動で自分を輝かせる場所をしっていた。カラオケにいくとウルフルズの「ガッツだぜ!」しか歌わなかったことが悲しいほどに懐かしい。
……喋りすぎたかな
未来を教える事を禁止した法律、『未来を教えること禁止法』に引っかかってしまうかもしれない。
無駄話が多くなったが、本題に入ろう。
実はこのさきの『未来』では人口が半分以下になる。もちろんこの科学力にあって病原菌が原因なんかではない。いつの時代も原因は人だ。
ある日急に総理大臣が言い出した。『増えすぎた人口をやっぱり減らそう計画』が原因だ。
その政策の内容はストレートに『相反するもの同士を潰し合いさせたら人口半分になるんじゃないか?』『そしたらさ、食べ物も半分でよくね?』『まじぱねぇ!』というものだった。
白人と黒人、男性と女性、犬派と猫派……
そして甲、ひがしは未来でずっと戦っている。その相手はそう君と真逆の存在である……
「西」だ
最初は総理大臣に「みきやさま」が入れ知恵したと思っていた。が、彼もまた操り人形だった。あの時、みきやさまが息を引き取る前に残した手がかりもヤツらに盗まれた、そのうえパスワードを忘れてPCも開けなくなった。さらに暗証番号も3回間違って口座も凍結されたままだ!何て奴らだ!
ただ1つ言えることは、あ!なんだお前は!そうか!そういうことか!うわっ何をする!やーめーろーよー
私はもうこらえきれない。
このメッセージが君に届くことを信じてる。