染伝人流遊術プラン・ワークショップ 「例のあそび」
おりぞめをたのしむための新しいプランをつくりました。
ねらい:標本(examples)を使って,おりぞめの時間をたのしむ
注意点:〈標本〉の説明は後にします。このプランは現時点では,学校の授業ではなくて,大人向けのワークショップなどで実施する前提です。大人と子どもがまざっているのは大丈夫です。
それともう一つは,このワークショップを進める進行役を〈ガイド〉と呼ぶことにします。
このワークショップはだれでも参加できますが,〈ガイド〉は誰でもできるようには今はなっていません。
まず,標本を持っていること,そして,その使い方を知っていることがガイドには必要です。
始まり:このワークショップのプランを思いついてから,今のたどり着くまでの簡単なメモを残しておきます。
・〈広げ水〉の入門として,〈広げ水体験〉を発表して,現在では『学校でおりぞめハンドブック』(仮説社発行 2023年11月)に掲載されています。これは〈二角夾辺で広げ水をする〉ことで,まずは〈広げ水〉で新しいおりぞめを体験するために選び抜いたプランです。とても好評で,今でも,たった一枚を染めてもらって水を使う折り染めを体験してもらうのであれば,これが最適だと思います。
・〈広げ水〉体験の普及とともに,さらに広げ水を知ってもらうために,その後,いろいろ取り組みましたが,もう一つうまくいきません。特にうまくいかないとわたしが感じたのは,たのしくないのです。〈広げ水〉についてより理解して,スキルアップをしてもらおうと思うと,参加者もガイドのわたしもたのしくないと〈上達〉という方向ですすめる気になりませんでした。
・そこで思いついたのが〈標本を使う〉というものでした。
まず,標本を紹介します。
これは,2024年8月に刈谷で行われた「たのしい授業への紹介」という会でのおりぞめの講座のためにつくった標本です。
こういう染め方をすれば,このように染まるという〈実例〉を示しています。
例えば,黒枠で囲んだところはこうなっています。
この図で黄色の枠線で囲まれたところは,2辺を染めた時の模様で,黒線の上は染めた後広げ水をしないでそのまま広げた染め紙。下は広げ水をした時の染め紙。
赤色の枠線で囲まれた染め紙は3辺を染めた時のものです。
要するに,こんな染め方をしたらこうなるという実例を集めたというわけです。
・標本の使い方
実例のそれぞれについて説明しないで,「この標本の中で,これを染めたいというのがあれば,言いにきてください」「なぜとか,どうしてとか,という質問には応えませんが,どのようにするかということについては丁寧に教えます」というわけです。
・この〈標本を使う〉というやり方で,その後,8月には鹿児島でのおりぞめフェスティバル,広島でのおりぞめ講座,9月の奈良でのおりぞめフェスティバル,10月の枚方市でのおりぞめミニフェスティバルの講座,11月のおりぞめ来楽部での反応性染料の会(同じ標本を反応性染料で作りました),三重きた仮説サークルでのおりぞめ講座で実施していきました。
そして,ワークショップの進め方,標本そのものの変更などを経て,〈これで行こう〉という形のプランとしてまとまってきました。
・今は,「広げ水 例のあそび」ということで〈広げ水〉を取り上げています。
このワークショップは広げ水のことをわかる,あるいは思うようにできるようになるを目標にはしません。そうではなくて,〈広げ水〉という題材を使って,たのしい時間を過ごすことができればOKです。
ですから,わたしに一つも聞かずに,自分でどんどん進めてもいい,もっといえば,染めなくても,その場でその時を過ごしたことをよかったと思ってもらえればそれもありです。
上達を目指すものではありません。だからといって,上達を否定はしません。
上達を目指すとなれば,それなりの手間や時間がかかると思います。
ここでは,〈ものづくりはたのしさづくり〉ということが実現すれば,そこからはあとは問題にはしないということです。