#32: こんなときだから♪ドラゴンクエスト
すぎやまこういち:「ドラゴンクエスト 」より 序曲(1985)
#29 -35のテーマは「不自由は発明の母ー制約から生まれた音楽」。
「容量の関係で使える音に限りがあるんです……」
壮大な世界観を表現しなければならないのに,限られた音しか使えないとわかった時,あなたならどうしますか?
今から約35年前,歴史に名を残すRPG,ゲームソフトが誕生しました。
「ドラゴンクエスト 」
ゲームの内容は知らないという人でも,このタイトルとこの音楽はどこかで聴いたことがあると思います。
この「ドラゴンクエスト 」の音楽,ザ・ピーナッツやザ・タイガースなどの昭和歌謡で数々のヒット曲を手掛けた作曲家すぎやまこういち(1931- )が全編担当しています。実は,この第1作目の発売直前,開発責任者の堀井雄二氏は音楽について納得していませんでした。発売までの時間が迫る中,作り直すことを決意します。そして白羽の矢が立ったのが,すぎやま氏でした。
しかし,一つ大きな問題が…..。それが冒頭のセリフ。当時のゲーム(ファミコン)の容量は今から考えると非常に少なく(64KB),同時に発音できる音は3音,しかし事実上2声部でやりくりする必要あったようです(実際に聞くとよくわかります)。
すぎやま氏は,ゲームの内容,作曲上の制約を考慮した結果,中世騎士の雰囲気をまとうもの,すなわちクラシック音楽を基調とした曲調で作曲することを主張し,すぐさま曲を完成させたそうです。それが,本日お送りする「ドラゴンクエスト 」の序曲です。
お聴きいただく音源はオーケストラにアレンジしたものですが,ゲームではたった3声で表現されており,その世界観は遜色なく伝わってきます。
また,こちらのページですでに熱く(!)語っていますので,こちらもご参考ください
家主はファミコン版のドラクエの曲を聞くたびに「これだけしかできない」ではなくて,「これだからできる!」という可能性を感じます。
今の生活も視点を変えるだけで「これだからできる!」がいっぱいあるかもしれませんね。
今日もみなさんにとって,素敵な一日でありますように!