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ミュージアムの中の人がぼんやり語る「2022年個人的に印象に残った展覧会」


自己紹介はあらためて行いますが、いろいろな業界を見聞きした経験をもとに、現在関わっているミュージアム業界(そんな言葉ないw)についての(あまり知られていない)ことを中心にご紹介できればと思い、不定期にnoteで雑多な文章を書き散らかしています。で、今回のネタは「2022年個人的に印象に残った展覧会」。ではどうぞー。


仕事柄、ほかの美術館さんに行く機会が多いのですが、今年は博物館実習を履修していたこともあり50以上の展覧会に足を運びました(自館主催分はのぞく)。ということで印象に残った展覧会をご紹介してみます。

※よくある注釈ですが、あくまで個人の主観であり、組織を代表しての意見ではありませんw



神戸市立小磯記念美術館 
開館30年特別展 竹中郁と小磯良平―詩人と画家の回想録―

個人的に小磯良平の作品にビビビビビと来ているからなのですが、詩人として著名な竹中郁(勉強不足で失礼しました)という存在を通した展示構成が新鮮であり、新たな学びも多く、若輩者が言うのはアレ(not 優勝)ですが非常に見応えのある展覧会でした。兵庫県立美術館でよく見る小磯作品も違った印象を受けました。六甲アイランド自体のアクセスがいいといいのに…。




京都市京セラ美術館 
特別展/アンディ・ウォーホル・キョウト

社会人になって初めて連れて行かれた展覧会が兵庫県立近代美術館で行われていた「アンディ・ウォーホル 1956-86:時代の鏡展」でした。このときに違う展覧会に連れて行かれていたら、ここまで展覧会に行くことのハードルが下がってはいなかったのではないかと。歳月は経ちなぜかこちら側の人間になってから眼にするアンディ・ウォーホル。展覧会の内容が、というよりは個人の体験に根差した評価になっていることは否めませんが非常に印象に残った展覧会でした。撮影可能だったり、スマホでの音声ガイドだったりというのも時代の変化っすね。





山王美術館 
開館記念展 ベストコレクション展

この春めでたく大阪・京橋に移転。移転される前の美術館に足を運んだことがないので比較ができないのですが、フロアごとに西洋絵画、日本画、日本近代画がコンパクト(というほど狭くない)にまとめられていて見応えがありました。日本近代画については、日本近代画の初期の頃から現代に近い時代の作品までが並んでおり、その変遷が非常に興味深かったです。個人的な好みで申し訳ありませんが小磯良平の作品を堪能させていただきました。






サントリー美術館 
特別展/美をつくし 大阪市立美術館コレクション

国内の美術館のコレクション展でしょ、という感じだったのですが日本画あり中国書画あり青銅器あり根付ありと非常に幅広いコレクションにただただ驚くばかりでした。コレクション展って、特に古美術系は一堂に展示することができない(スペースの問題や作品保護の観点から、など)ことが多いので、たぶん地元でも一堂に展示したことはないのではないかと思いますが、それが実現できるのは、当該館の大規模改修による休館中だから、というのも皮肉なものですよね。

現代的な商業施設の中で見る上村松園や北野恒富はそのミスマッチさが非常に新鮮でしたが、現代的でありながら上品な空気感が実はそれほどミスマッチでもないと言う、何を書いているのかわからない感覚が印象的でした。







国立新美術館 
特別展/ダミアン・ハースト 桜

絶対に本物の桜の方がいい、とわかっていても、それとは違う魅力があるんですよね。広い展覧会室を大きく使った展示構成だからというのもあるのでしょうが、これはこれでまぎれもない桜である、と。会期が春だったから、というわけではないのですがビールを飲みながらまったりと眺めたくなる(ダメ、ゼッタイ)、そんな展覧会でした。



もちろん、これ以外の展覧会も印象に残るものばかりでした。自分自身、展覧会の運営に携わる中で、展覧会に携わるみなさんのご苦労は理解しているつもりです。そういう意味からも全ての展覧会をご紹介したいところですし、まだまだ書き足りない気持ちでいっぱいなのですが…。
なにがいいと思うかは本当に個人の主観だと思うので、「自分が『いいな!』と思うものがいい」わけで「あまり相性がよくないな」と思うものは見なければいいだけの話。フェルメールがいいなと思う人もいれば、岡本太郎がいいなと思う人がいるわけで、どちらが正解とかはないのが美術というものなのだと思います。


ちなみにフェルメールも岡本太郎もピックアップしてはいませんが、どちらも「よくない」と思ったわけではありません。東京で見た「フェルメールと17世紀オランダ絵画展」も大阪で見た「岡本太郎展」も、もっとゆったりした環境でじっくり見てみたかった、という点でチョイスしていません。



ちなみに個人的な好みの傾向は「アンディ・ウォーホル」「バスキア」「ピート・モンドリアン」から「横尾忠則」「棟方志功」「古屋新」「白髪一雄」「小磯良平」と来て「川瀬巴水」「月岡芳年」と本当にバラっバラです。文章同様まとまりがなくてすみませんw