マナイズム・レクイエム制作秘話~キャラクター制作の裏 リアム編~


どうも皆様こんばんは、織坂一です。
前回色々語らせてもらったのですが、結構話をまとめてなかったのでごちゃぁ……となって読みにくいと自分でツッコんでしまいました。

なので、前回はマナレクシリーズ制作の流れと世界観を決めることを色々吐き出させて……語らせていただいたので、今回からキャラクター制作秘話に話を移そうかと思います。

また、なにか拗らせた際は別で書くと思いますが、今回語るのはマナイズム・レクイエムの初代主人公のリアム君です。では、どうぞ。



リアム君の人物像

実はツイキャスでプロットを練っていたときは、あんな暴力至上主義で依存体質なキャラとまで決まっていませんでした。

ただ唯一決まっていたのは、怪我によって退役した軍人であること、さらにはマナを失った不幸な青年ぐらいでした。
ですが実際に物語を書くにあたり、やはりどうしようもない人間が転落していくというのは欠かせなかったので主人公らしかぬ人物像になるのは確定事項だったのです。

後は、怪我を負ってPTSDまで患っている、東洋人ゆえに迫害された過去があるという2点は決まっていたので、自然と臆病な人間ということは決まっていました。

しかし、これだけではつまらん!ああ、つまらんぞう!と格闘した結果、マナとの関係を恋愛感情1つに縛るのではなく、共依存という形にまとめました。
さらに、リアム君を主人公らしかぬ存在&どうしようもない人間に仕立てた決め手となったのは2話の「俺とマナだけは」の部分でしょうか。

ここで彼は守るものはマナしかなく、マナに縋ることでしか心の傷も癒せないという小物感を全面的に出すことに成功しました。

後、1章はリアム君の転落劇の始まりではありましたが、それと同時にリアム君がどんな人物かを固めた――はずだったのに。

問題は村にいる『ゴースト』をリアム君が駆除した後の洞窟探索の前ですね。彼はマナのお姉さんの友人にとんでもないことをしておりました

あの暴力主義バンザーイな性格はあそこで突然生えてしまい、「おっ、これはええぞ!(暗黒微笑)」となった結果、リアム君の霊碑街でのあの下りまで繋がりました。

おかげで、無事に力を手に入れて助かったはずが、どうしてここまで彼が鬼畜に見えるのか、そしてどこか憐れんでしまうような2連続を決められたのです。

これが、おおまかなリアム君の人物像ですかね。


彼の罪について

リアム君の罪とは、自身の名誉のためにマナを捨てて兵役に従ったことです。

これについては自然と出来上がってしまったので、実はなんも決めておりません。
そもそも、自分でもあそこまで深く書けるだなんて思わなかったんですよ。勢いでぶっ通し4日間も執筆した結果がこれです。

なので、彼の罪の言及については作者的にはしようがないです。

ただこういった転落劇を書くにあたって、当人になんらかの過ちがあれば好感度(リアム君の場合はヘイトか)を稼げるので、あんな理由を付けたしました。


実はソフィアとは対極的

あー、多分これは活動報告で語ったな。語りましたね。
実はリアム君はソフィアとは対極的な人物ではあります。

ソフィアもまぁ大概なのですが、マナには愛情深く、自身の想いこそ押し付けていますが、むしろそれは信仰に近い物でした。
そして『原初の災厄』に対しても同じなため、彼はマナがどんな存在になろうが、彼女こそ自身の最愛の人だと命を懸けていたのです。

ゆえに忠臣と称していましたが、リアム君は逆ですね。
自身の想いを押し付けている、これはソフィアと同じです。けれども根っこが違います。

ソフィアはマナのためならなんでも差し出しますし、遠隔ストーキング(もといセ〇ム)を行ったり、マナの身柄は預かるから『ファフニル』で一緒に暮らそうなど、正直金に物をいわせてはいますが、それも全てマナの身を案じてのこと。

ですが、リアム君はマナと一緒にいたい、マナが傍にいなければなにもかも意味がないと自己中心的な考えの持ち主です。

利己的か利他的か、これらが彼ら2人を対極的に分けた違いです。
ちなみに何故対極的にしたかというと、リアム君の身勝手さをより色濃くするためですね。おかげで彼は後半同情の余地もなくなってしまったのですが。


主人公によくある凄惨な過去

これはソフィアの記事を書いていて、書き忘れていたので急遽追記しています。

リアム君もソフィアやマナと同様、結構過去が凄惨です。
なにせ、祖父祖母を筆頭に「自分達はある英雄の子孫なのだ!」と戦地を転々としてるんですから。なんで?

本編にもありますが、リアム君以外は碌に戦えないというか、リアム君も兵役によってある程度戦う術を知ったので、幼いあの頃はなにも出来なかったんですよ。

お兄さんとお姉さん、お母さんこそ良い人でしたが、祖父祖母とお父さんが完全にアウトです。

まぁお父さんに関しては、自分が第一優先な訳だったので、そこはお父さん譲りとでもいいましょうか。

ただ、実際本当に英雄の一族なのかについてですが、そんな訳ないでしょうに。

祖先こそ本当に東洋人なのですが、子孫を残すにつれて血は薄れてますし、あの剣自体、ご先祖様が戦場にて拾ったものです。つまり、リアム君のご先祖様は敗残兵です。

いや、まぁそうでしょうに……もしこれが本当なら、色々話が変わってきますからね。
ただ血が薄れたとはいえ、リアム君は珍しく東洋人っぽい見た目であり、髪の色も黒です。バリバリ西洋人のソフィアと比べたら結構違いがあります。

しかし、ソフィア同様見た目も原因であのような仕打ちが苛烈になります。

ただプロット作成の段階で、リアム君は結構不憫な境遇を送った人物なのは決まっていましたし、マナへの依存心と主人公によくありがちな境遇を現すためにこうなりました。

あのラストの英雄に固執したがゆえにマナを失ったというのは、完全にその場のノリで織坂が書いたものです。なので、あそこで出自のフラグ回収する気はありませんでした。


詠唱について

詠唱についてですが、実は秒で決まった産物です。
私は基本、最初から詠唱を練るというのは不得手でして、いつも土壇場で詠唱を考えるのですが、リアム君の場合既にイメージがあったのでスラスラと書けました。

彼の能力はそもそも決まっていましたし、例の干渉能力で『原初の災厄』を斃すことはプロットでも決まっていました。
けれどもそれだけではパンチが足りないので、ありとあらゆるものを喰えるという主人公によくあるチート能力を付与。

それとリアム君の性格も相まってあんな詠唱となったのです。

実はマナレクシリーズにおいて、リアム君とソフィアの詠唱に関しては段チで好きです。

特に「血の海を渡り歩き、血を啜り、骨と肉を喰っては肥え太る」の部分はよくもまぁ思いついたなと自画自賛していました。裏でね。

本文にもありますが、この詠唱とはリアムという青年——鬼畜外道が至った末のものなので、彼の抱えている加虐性を全面的に出しました。

後、悪食の狩人も突発的な異名であり、よくこんなん思いついたな~とつくづく思っておりました。おかげでマナレクAMじゃ辛い目に遭いましたよ。全く。

また、マナレク世界においての詠唱は自身の成り立ちを現わしているので、こんな感じに収まりました。この詠唱が自分自身を現すのはマナレクAMでも健在の芸当です。

ちなみに、ソフィアとの詠唱とも対極的になるように調整を取っています。
どうやら織坂は、リアム君とソフィアをどうしても対極的な存在にしたかったのも、ここでよく分かりますね。
ソフィアについては、後ほど彼の回で語るとしましょう。


邪神化したリアム君の成り立ちについて

これは前回も書きましたが、邪神化したリアム君は「何回生まれ変わっても本質が変わらない」のを元に創っております。

さらに、何十億もの人間の憎悪をその身に浴びたこととマナに許されていないという妄念に取り憑かれた結果、あんな情緒不安定な存在になりました。ビタミン剤やら安定剤の類がなきゃ精神を保てなさそうなのが不安です。

しかし内面は変わっておらず、むしろ自己嫌悪が肥大化したせいでラインバレル君は酷い目に遭いつつも、ときにはリアム君には救われるという事態に。

ちなみに、マナレクAMでは裏ではラインバレル君の好感度管理によって物語が変わるといつかTwitterで呟いていました。なんたる面倒。
リアム君もその中の1人に含まれており、好感度管理を慎重に行った結果、まぁそこまでラインバレル君は酷い目に遭っていません。

むしろ、あれだけ殺すといっておきながら、ラインバレル君が断罪者に至ろうとすれば止めてもいましたしね。
結局、マナの亡骸を砕いたことで全てが変わってしまったのですが。


最後に

まぁ、リアム君という人間の制作エピソードはこんな感じです。
最初から前提を穿き違えた愚者、力に溺れて道を踏み外した獣、主人公らしからぬ男とまぁまぁの言われっぷりですが、そんな愚かさこそリアムという主人公なのでした。

最初こそソフィアにお熱だった私ですが、マナレクAMを執筆したことで、結構リアム君にも愛着というものは湧いてきました。

そろそろ、リアム君との決戦は近づいているので、邪神化した彼が一体どんな末路を辿るかもぜひ注目してマナレクAMを読んでいただけると嬉しいです。

では、今回はこの辺りで失礼します。

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