マナイズムレクイエム制作秘話~キャラクター制作の裏側 ミシャ編~


どうも皆様こんばんは、織坂一です。
前回は2人目のヒロインのカナタの制作秘話を語らせていただいたので、今回はラストヒロインであるミシャのターンです。

前回のカナタのキャラクター秘話はこちらから↓




ミシャの人物像

ミシャの人物像についてですが、作中におけるヤベー奴兼ラインバレル君の成長兼ヘレ・ソフィアの闇を語るための存在でした。

ただ、これをそのまま出してしまうと結構人格的にとんでもないキャラが出来上がってしまうのは想像がつくと思います。

なので、ヘレ・ソフィアの敬虔な信者である『光輪を仰ぎし者』の一員であると同時に、引っ込み思案で、人に気遣う子ということにしました。
…いや、本当はラインバレル君が『ミシッピ』に着いた瞬間、誰も助けてくれなさそうだったので、ミシャに出張ってもらったんです。

ちなみにこの時点で、例の業の深さは発動しています。


まぁ、業の片鱗を見せた後は扱いに困りました。
だってもうお姉さんポジはカナタに取られてますし、あんな能力のミシャがカゲフミを差し置いて出張るのもなぁ…と考えた結果、ラインバレル君の古傷を抉って、かつヘレ・ソフィアの~といった人物像になった訳です。
彼女の中にある優しさなんて、彼女が完全な悪に見られないための慈悲です。ヒロインを悪役として出す訳にはいかなかったので。


彼女は所詮三番手

実は当作(以下、マナレクAMと表記)ではヒロインに優先順位があります。
薄々お気づきの方もいらっしゃると思いますが、一番手はカゲフミです。
二番手はカナタ、ミシャは三番手です。


まぁ、この順番もラインバレル君にとって過去を乗り越えるために重要な順ですね。
でも、ミシャの最期の改心がなければ、カナタの最期がなければカゲフミのターンは来ないのですが…。


なので、そういった意味では、ミシャは一番手なのかもしれません。糧になるためのね。


カナタと同じくヘレナに似た女性

マナレクAMにおいて、ラインバレル君の過去の傷は重要であり、出演頻度の低い姉のヘレナは欠かせないキャラクターです。


しかし、ヘレナとの過去を掘り下げればラインバレル君の罪過に辿り着いてしまいますし、ラインバレル君が自身の罪過に気付くのはギリギリまでとっておきたかったんです。
なのでカナタ同様、ミシャも姉であるヘレナに似た少女と出演してもらいました。


詳しくはキャラクターデザインにて堀り下げますが、ヘレナとミシャは瓜二つです。


まぁ、自身の罪過に深い人物に似た見た目の少女がいるとなったら、ラインバレル君も気にせざるを得ませんしね……。


ミシャの業

正直語りたくないですが、ここは避けられないところなので語らせていただきます。


ミシャは幼い頃に生き別れた兄によく似たラインバレル君を見て、大好きなお兄ちゃんが自身の元に帰ってきてくれたと思い込んでいます。

これが後々、ラインバレル君達一行を破局させる原因の1つとなります。つまり、彼女は元来『原初の災厄』並のトラブルメーカーだったのです。


まぁ、これだけならいいのですが、ミシャは実のお兄さんに恋愛感情を抱く、ちょっとアレな子です。
それをいったらルシェラもそうなのですが、ルシェラはちょっと特殊なので外しておきます。詳しくはルシェラのキャラクター制作秘話にてということで。

正直ここまで読むと、「この下り必要か?」と思うかもしれませんが、実はなければならなかったんです。


というのも、2つ程理由があります。


1つめが、ラインバレル君がミシャとヘレナと違うこと…つまり、自身の抱いていた家族の温かみはヘレナしか与えられなかったことです。
これがより、ラインバレル君の中で血の繋がった姉弟の替えは効かないことを証明したかったんです。


もう1つが、ヘレ・ソフィアの出自です。
彼は前作の中ボスであるソフィアと似ていますが、全くの別人物です。
しかし、ヘレ・ソフィアはソフィアの肉体がないと神として存在出来ません。


その複雑さは彼の制作秘話にて語りますが、ソフィアもソフィアで結構生い立ちが複雑でしたよね。
そしてマナに恋した経緯や自身の初恋が破れ、ソフィアが辿り着いた愛の形…これこそヘレ・ソフィアにとっての地雷でした。
なので、血というものはこの作品には結構重要しなければいけない要素でもあります。


この2つを満たすために、ミシャ・ウンディカラムというキャラクターが生まれたのでした。


またこの業があったからこそ、ラインバレル君の強化が可能となりました。そのシーンは1回しかなかったんですけど。


何故、ミシャはラインバレル君を兄だと思い込んでいたのか

これはラインバレル君と同じように、見た目です。
ミシャはあの瞬間、ラインバレル君と出会った瞬間に、生き別れたお兄さんが帰って来たと思い込みました。


実際不幸なことに、ラインバレル君は見た目も内面もミシャのお兄さんとそっくりです。


それこそ、彼女の中での歪な恋愛感情となり、やがてそれはラインバレル君達の仲を壊そうとしました。
初案はここでミシャが離脱し、「やっぱり放っておけない!」となったラインバレル君がミシャを探してセカンドさんと遭遇するといったものでした。


しかし、ここで尺を使っても大して意味はありませんし、ミシャのキャラも大分立った後です。ならば後は、末路へ向かって堕ちてくれという作者の都合で、あんな急展開に陥りました。
…いや、個人的にはあの後のリアム君とのやり取りの方が重要だったんですよ。


まぁなんにせよ、ミシャはただ見た目と性格のよく似た他人を見て、自分の送って来た空白の時間を埋めたかったんです。


なにより、ミシャが『光輪を仰ぎし者』にいたのは、いつかヘレ・ソフィアの口から兄の安否を聞ければよかったという勝手な理由です。
いや、神様がはたして(しかもあの性格)個人の安否を知らせるかなぁ…と思うでしょうが、ミシャはまだ16歳です。まだ子供なんです。カゲフミやカナタのように成人してないし、精神的にも未熟なんです。


後、結構2人の別れ方がエグいですからね。
住んでいた村が『ゴースト』に襲われ、お兄さんは周囲で親とはぐれた子供とミシャを連れて逃げるも、お兄さんは子供を庇って戦火に呑み込まれているので。
そこで、「必ず追い付くから!」とお兄さんがいってしまったせいで、余計にミシャの中で希望があったのでしょう。


詠唱について

ミシャの詠唱については、彼女の事情や業を聞いたら、一発で「あー、そういうことか!」と答え合わせになるように設計されています。


何度もいっていますが、マナイズム・レクイエムシリーズにおいて、詠唱は自身の人生を現すものです。


なので、ミシャの場合は夢見る少女といった感じですね。
彼女傍にはいつだって亡き兄がいて、いつか彼と再会出来ますようにと揺り籠の中で幻想に耽る赤子のようなイメージです。


「Fall on(愛の揺り籠に揺られるはの部分)」は本当は天から墜ちるといったものを使いたかったんです。
でも語彙力と英単語などの知識に疎い私には、それに近しい単語を探すことは出来ず、結局これで泣く泣く納得しました。


後、ミシャの詠唱はルビに悩み倒しました。本当。
でも、アンドロギュロスという単語だけは入れたかったので、割と無茶をしましたね。


アンドロギュロスは両性具有を示しますが、ミシャの業に当てはめると、大好きな兄を離したくない(同化したい)といった意味合いがしっくりきました。


それと結構な昔に人伝ですが、アンドロギュロスとは背中のくっついてしまった存在だと聞いたことがあったので(真意は分かりません)、詠唱に「背中を合わせた双生児」とそのまま利用しました。

能力について

ミシャの能力はラインバレル君の強化です。
いや、強化も出来るんですけど、本編ではラインバレル君が『罪業』の使用を代償なしに出来てるしか見せ場がありませんでした。


なので、内容解説で語ったと思うのですが、ミシャの能力はラインバレル君の加護の他にも強化などが可能です。


ちなみに強化や加護を受ける対象が出来るのは、ラインバレル君だけです。なんでだって? それは彼がミシャのお兄さんに似ているからです。一体このネタはどこまで擦り続けられるの……?


元々、ミシャはあのとき兄が亡くなったことに気付いていますが、また逢えると期待を裏切れていません。
と同時に、あのとき彼女の中ではどうして兄さんは最後まで私を守ってくれなかったのかと、兄を憎んでもいます。


結果、彼女の“法”は芽生えたのですが、この強化と加護の対象はお兄さんのみに作用します。
ですが、ミシャがラインバレル君をお兄さんと幻視したこと・それを認めてしまったことでラインバレル君のみに作用する能力へと変容したのでした。


ちなみに、この変容には『原初の災厄』が一枚噛んでいます。やはりか。

キャラクターデザインについて

キャラクターデザインについてですが、ラインバレル君と似ている以外に特にこだわった部分はありません。


あったとすれば服装ぐらいですかね。
最初は修道服をまんまもってこようとしたんですが、それだと色々アウトっぽいので、「「それっぽい」」に留めておきました。
後、カラーリングは友人に泣きついてしてもらいました。またか。


ミシャのキャラクターデザインはこちら↓


最後に

今回はマナレクAM史上『原初の災厄』に並ぶ問題児の制作秘話となりましたが、一応彼女も重要なキャラということだけお分かりいただきたいです。


まぁ個人的には執筆してて、イライラしたキャラでもありました。
しかし、彼女がいなければラインバレル君は飯事を繰り広げ、そのうちカゲフミに見捨てられたと思います。


そういった面では、ミシャという存在がいたことに作者はひたすら感謝しきれません。愛せるかどうかは別としてね。


そして次回は、いよいよ作中きっての外道であるヘレ・ソフィアのターンです。



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