マナイズムレクイエム制作秘話~キャラクター制作の裏側 ヘレ・ソフィア編~
どうも皆様こんばんは、織坂一です。
前回で主人公陣営のキャラクター制作秘話が終わったので、今回は作中一の外道であるヘレ・ソフィアの制作秘話について語っていこうと思います。
ただ、今回はネタバレを多大に含みますので、まだ本編未読な方は閲覧するのを非推奨します。
前回のミシャのキャラクター制作秘話はこちらから↓
ヘレ・ソフィアの人物像
ヘレ・ソフィアについては、物語中盤もとい、この世界の真実を執筆するまでなあなあな状態でした。
そもそも敵方であることと設定は最初から決まっていましたし、かといってリアム君のように自覚アリであんなことをしてしまうと性質が悪いのもあります。
しかし、実際執筆してみたところ、結構利己的な人物になってしまいました。
第1話参照になりますが、彼は自身を犠牲にして世界を救うのではなく、自身が世界を救うために世界より自身を選びました。
ここの時点で伺える通り、彼も彼でまた自分勝手な人物でもあります。
傲慢というよりも、プライドが滅茶苦茶高いような感じです。そういった面は、彼の肉体となっているソフィアと似ていますね。
73話の内容解説では、人を見下して、自分が与える側だから傲慢な態度を見せると書いたものの、よくよく考えたら「ちょっと考えたけど、その視点が歪みすぎてんじゃね?」となりました。(後述参照)
後、ソフィアとは別人とはいいましたが、ヘレ・ソフィアの独白では彼も極端というか潔癖症というか……類似点が多い件についても否めません。
まぁ、これらのことは全体像ですし、最初は中立の立場であると見せかけるため、愛情深い人物といった感じに誤魔化しました。(実際はその反対ですが)
彼が繁栄を司る神でありながら、何故愛情を嫌うのかについては、ぜひ本編の方をご覧下さい。
ソフィアとの類似性
これは『ゲヘナ・ハーモナイズ』やソフィアの制作秘話にて明かしていますが、ヘレ・ソフィアとソフィアは全くの別人です。
ヘレ・ソフィアはセーナとソフィアとの融合体であり、どちらかが欠けてしまうと神として機能しません。
結果、神(ヘレ・ソフィア)の所有物もとい片割れだったソフィアが堕天することで、ソフィア・アールミテという存在は生まれました。
そして『ゲヘナ・ハーモナイズ』終了後、ソフィアはセーナへと連れて行かれては色々されてしまい、元の自分であるヘレ・ソフィアとなるよう改良されます。酷い……。
実質、ヘレ・ソフィアはソフィアの肉体を所有している訳なので、完全に別人といったらおかしいかもしれませんが、一応性格などは違います。
ソフィアは自己愛が強いのに対し、ヘレ・ソフィアはどちらかというと利他的ではあります。普段はね!!
ただ、リアム君との戦いにおいては「正直世界が滅ぶのは駄目だけど、ちょっと自分も試したいことがあるから一旦終わりにしてもいいよ」といったスタイルとなっていました。後、自分が欠けたら人類の繁栄は無くなってしまいますからね。
その試したいことは後に明かしますが、なんというか意地汚いソフィアに比べて、ヘレ・ソフィアはなんか人間寄りの視点ではないんですよね。
あくまで神様としての視点を持つ別の存在……なので類似点はプライドが高いところと見た目ぐらいですかね。
彼の悪事(?)
はい、ここからはネタバレになってしまうので、まだ本編未読の方は閲覧非推奨です。まず、一旦彼の悪事を晒して次へ進みたいと思います。
簡単に済ませますが、彼の悪事は以下の通りです。
①自分の都合で世界を1度終わらせた
②(『マタ』に抗体を作る&自分の教えが馴染むよう)人間を改造していった。
③自分が行動できないときのために、自身の眷属を造る
ザッとこんな感じです。
先程の「1回試したいこと」というのは、②の人間の魔改造ですね。
『マタ』は1度罹れば死に至りますし、なにより元々呪力に耐えられない人だとさらに致死性が増します。
そんな人間も大体3割弱いるので、その3割を守るためにもヘレ・ソフィアはこういった手段を取りました。流石にこれは庇えない。
後、自身が動けないというのは所謂神様が人間に過干渉することで、色々神様側のルールを破らないためのものです。
しかし、彼は様々な悪事を犯した一方で狂界を設けたり、安易に『ラジアータ』へ足を踏み入れないように狂獄まで作りました。
他にも、『光輪を仰ぎし者』の魔術師を通して人間に啓示を与えたり、自身の眷属を人間側に生むことで制御装置も創り出しています。
結構これは神様としては過干渉な方らしく、こんな愛し方(?)も人間との関わり方も、他の神様から大批判を食らっています。
でも、ヘレ・ソフィアはこれを良かれと思ってやっているんで、やっぱどこかおかしいんですよね。
ヘレ・ソフィアのやり方は神様や我々人間から見たら、歪んでいるとか「神様として人間に過干渉しすぎじゃない?」と思うかもしれません。
しかし、彼は人間をこの手で管理しなければ満足出来ないといった、また歪みに歪んだ性癖の持ち主です。
これらの性格などが合わさった結果、彼はこのような悪事を働いてしまうのでした。
ただ、3作目の『マナイズム・レクイエム ~Allrgory Massiah~』(以下マナレクAM)では改心したので、この後は少しまともに神様をしてると思います。
この先の話を書くかどうかは未定なので、はたして彼がどうなったかは分かりませんが……。
マナレクAM本編で見られなかった彼の一面
こんなことをやらかして浮いている訳ですから、ヘレ・ソフィアは神様の中ではぼっちっぽいですよね……。
しかも、彼はまだ神様になってマナレクAMの時点では1300年程度しか経っていないので、まだまだ神様としては若いです。
なので、ソフィアと同様友達がいないのではないかと思いますが、どうかご安心下さい。友人というか同族がいます。
一応、ヘレ・ソフィアを慕う若い神様もおり、ヘレ・ソフィアはそんな自身を慕ってくれる同族にはとても優しいです。
ヘレ・ソフィアは基本面倒をみたがる気性なので、それは人間も同胞も変わりありません。
ただ、同族相手だと少し甘めですかね。
また、彼は意外とスカした顔をして激情家です。
73話で焦ったときはともかく、76話で本心を明かした際は結構怒鳴ったり色々してます。表情はそこまで変わらないんですけどね。
これは第4作目の『マナイズム・レクイエム ~Miserable Daemon~』(以下マナレクMD)でも同じで、彼は涼しい顔をしながらも、場面によっては怒りや屈辱と言った表情も見せてくれます。
こう言った部分も、ソフィアとは少々違いますかね。
ソフィアはキレるか、笑うか、見下すかの3択しかないので。いや、『ゲヘナ・ハーモナイズ』では激怒してたか……。
ヘレ・ソフィアは今後マナレクMDでも登場してくるので、一体主人公であるシックとどんな絡みが見れるのか楽しみにしていただけると幸いです。
体を回収されてから、神に至るまでの経緯は?
これは先程軽く明かしましたが、深く語るとコンプライアンスに引っかかるので、R18指定をしなければいけません。(もし、見たい方がいるというのであれば別で書きますが)
語れる範囲で語ると、ソフィアとして人と成って、肉体を回収され、その後片割れであるセーナに尊厳をボコボコにされた挙句、人間のときの記憶(主にマナのこと)を抹消されます。
ですが、ソフィアはヘレ・ソフィアに至る経緯でセーナと融合し、その際に忘れたはずの尊厳ボコボコタイムを思い出し、セーナのしたことがトラウマとなってしまいました。
よくもまぁ神様として機能していたなと思うかもしれませんが、基本彼の神性はセーナのものなので、智慧や肉体があっても、主導権は基本セーナが握っています。
そのため、77話でヘレ・ソフィアが自身の願いを思い出そうとした瞬間、必死にセーナはヘレ・ソフィアを止めたのです。思い出したら、神としての存続に支障が出ますからね。
こうなると、セーナもどこか機械的と言うか……まぁ、セーナは機械的な面はありますね。おかげでヘレ・ソフィアは暴走しないのですけど。いや、してるよ暴走。
詠唱について
ヘレ・ソフィアの詠唱についてですが、これはヘレ・ソフィアの名前だけは絶対に入れたいと、『ゲヘナ・ハーモナイズ』の時点で構成は組んでいました。
そもそも、ソフィアの名前自体ギリシャ語なので、そうなると統一感を出すために詠唱もギリシャ語に……そう決めたのが、悪夢の始まりでした。
正直、詠唱の内容自体はポンと出て来て、10分ぐらいしか掛かってないんですよ。途中で修正しましたが。
ただ、ルビだけで2時間近く費やして、あのような形となりました。
詠唱としては、なんだか神様っぽいというイメージで固め、結構容赦ない感じにしようと思ってました。(詳細はマナレクAM72話にて)
「“闇は光に消え、祈りを供物とするならば汝の願いはなにやらん?”」と人間に聞くスタイルを取っておきながら、二節目で「んじゃ、今から浄滅するわ」という突き放し方が個人的には好きですね。
で、神様やその眷属だと本来「再誕せよ(Rebaval)」の部分が「刮目せよ(Carpe diem)」に変わるんですよ。
ヘレ・ソフィア的には「甘んじてこの罰を受け入れなさい」という意味が強く、本来の意味である「今を大切にしなさい」とは少し意味が違います。それがマナレク世界においての詠唱の不思議。
「Akrivis」はギリシャ語の「ἀκριβής」であり、意味は「厳密な」という意味です。確か。
で、「exousiai」が能天使を現しますが、またまた捩じった解釈で弁明や容赦といった語源に寄らせていただきました。
つまり、情状酌量の余地があるなら聞くが、それ以外は許さんぞといったニュアンスですね。
能力について
ヘレ・ソフィアの能力は色々ややこしく、マナレクAMで使っていた彼の方力である『罰』は2種類に分かれています。
そのうちの1つである『連鎖』は人間の成長に干渉します。つまり、精神的にも肉体にも進化を止めてしまうと言う訳ですね。
心身共に成長を見込めないようにするのは、怠惰や人に害を成す人間へのペナルティです。
しかし、まだこっちだけなら可愛いもんです。
もう1つである『血』が厄介で、こっちは系譜自体に干渉します。
要はこれを食らってしまうと、強制的に自分が末代にされる訳ですね。
ちなみにこれは絶対的なので、いくら繁殖行為をしようが、この罰からは逃れられません。
そして、これら2つを混ぜ、対象の肉体と魂の消滅に至らすのが彼の“法”である『連鎖と血が繋ぐは人々を救世する光の道なり』です。
リアム君とは違った即死効果ですが、リアム君と違うのが攻撃範囲の大きさです。
リアム君は国3つへの干渉が精一杯なのに対し、ヘレ・ソフィアは大陸2つは浄滅させます。怖っ。
なので、どこに逃げようと無駄であり、『原初の災厄』が必死に逃げ回っていたのはこれがあったからです。見つかったら大陸と心中コースですからね。
後は『光輪』と『全能』という能力があるのですが、こちらは出てきていません。
『光輪』は人々に智慧を与えることで、人々は繁栄していく……つまりは啓示ですね。
繁栄神としての彼は人類を生むだけではなく、導くこともまた仕事の1つです。
まぁ、このような能力を所有しているため、こんなお仕事を任されているのですが……。
そして、『全能』というのは未来視とその他にも、視界に映せばその物体や人間の人ととなりや構成を知ることが出来ます。すごーい。
また、未来予知による未来の引き寄せや因果を捻じ曲げることなどが出来ますが、こちらは代償を払わなければいけません。
なので、未来の引き寄せというのは、基本していないです。他の神様からも止められていますしね。
キャラクターデザインについて
これについては、ただただシンプルにソフィアの亜種って感じです。
ソフィアの肉体を借りている訳ですから、見た目が同一でないとおかしいですよね。
しかし、金髪赤瞳になったのは、セーナの影響です。(セーナが金髪赤瞳なので)
正直、彼にはこれしか語れるところはない!!
そんなヘレ・ソフィアのキャラクターデザインは、こんな感じです↓
最後に
彼は物語の中で敵役であり、世界の真実を知るには欠かせないキャラクターでした。
立場や物語中の役回りゆえに、外道ポジションになっていますが、まぁこんな敵役を描くのも結構楽しかったです。
しかし、このままだとあまりにも可哀そうなので、マナレクMDやただいま進めているある企画では、彼の良いところも出して行こうと思います。
後、個人的にはなんでもこなせるオールラウンダーな立ち位置なので、私自身書いてて楽しいのもありますね。
では、次回は突然後日談で出てきた通称・『血濡れの剣』の死神であるルシェラ・リアテルとリンカ・リアテルについて語ろうかと思います。
恐らく長くなるので、覚悟していただけると助かります。