マナイズムレクイエム制作秘話~キャラクター制作の裏側 カナタ編~
どうも皆様こんばんは、織坂一です。
大分間が空いてしまいましたが、今回は『マナイズム・レクイエム ~Allrgory Massiah~』の第2のヒロインであるカナタ・ハルミの制作秘話について語っていこうと思います。
前回のカゲフミのキャラクター制作秘話はこちらから↓
カナタの人物像
カナタの人物像はプロットの時点で決まっておりまして、「頼れるけど男にだらしないお姉さん」といった感じでした。
実際、彼女はかなりの惚れっぽい性格で、割愛しますが過去でも男関係に色々と難のある人物です。
最初はこれだけだったのですが、「やっぱお姉さんキャラといえば、主人公を引っ張っていかないとね!」というベタな発想から中盤から退場まではずっとラインバレル君の一縷の光となっていました。カゲフミとは別の意味で。
後、憎悪が通貨のこの物語において、彼女にもなにかなくては…と考えた結果、彼女の過去と『収集隊』での散々な日々+『血濡れの剣』を抜けてからの娼婦としての設定が付け足されました。
また、彼女は最初からラインバレル君を導く役だったので、色々聡い上に、ただ犠牲になるのは嫌だったので、惚れた男にはとことん尽くすといった要素も足しました。
多分、カナタは本編を読むとかなり闇の深い人物ですが、業の深いミシャに比べたら全然マシです。(なお、これは私の個人的意見です)
裏社会の女王として君臨するまで
ここは47話のネタバレになってしまうので、駆け足で行きますが、彼女はラインバレル君と出会うまでは商業国・『オリベ』にて裏社会の女王として君臨していました。
普段は一端の娼婦を気取っていますが、まぁ~~結構裏で暗躍した結果、そういった方々とのパイプも太ければ、そのぶん悪い大人もやってきます。
しかし、彼女はラインバレル君と出会うまで「金と男さえあればいいや」な価値観だったため、正に酒池肉林といった生活を送る日々……。
いくらあんな形で『血濡れの剣』に入隊したとはいえ、これはまぁ中々すごい価値観ですよね。まぁ、正直彼女の肉親が撒いた種なんですけど。
でも、カナタは学はないが地頭が良い方なので、『血濡れの剣』には先がないと思ってました。
現に、『血濡れの剣』は80話の時点でルシェラ・リンカ兄妹によって壊滅させられています。
まぁ、そもそも『収集隊』を抜ける前のカナタは若干鬱状態入ってたので、辞めるのはほぼ確です。
以降は、自身の美貌と情報収集能力などを活かし、『オリベ』で生きていくのですが、このときの彼女も彼女でどこか空虚でした。
そりゃあそうですよね。衣食住にも困らなければ、欲しいものはなんでも手に入る毎日なんて送ってからそうなりますよ。多分。
なので、裏社会の女王として君臨してもなお、彼女は空虚。
あの日失われた『コルド・ブランシア』という少女となんら変わらなかったのです。
ただ、彼女の男性に尽くしたがる性分は彼女が元々持つもので、お姉さん気質も幼い頃からあったものという補足はしておきますね。
そして彼女は自身の運命と出会う――……
既知感ありまくりのムーブですが、カナタはラインバレル君と出会ったことで彼に一目惚れ。
ラインバレル君一行の目的を知るや否や、力になるといっては翌日にはもう仲間になりたいと志願していました。
いっておきますが、カナタは最初ラインバレル君に貢がせる気満々でした。そりゃああのときのラインバレル君の財布にはかなりの金額があったので。
なのにじゃあ、なんでお金ではなくラインバレル君の仲間に加わったのか…なんて、そりゃあ簡単な話です。
ラインバレル君の顔です、顔。
裏設定ですが、ラインバレル君の容貌はカナタのドストライクです。ボール投げられたら、なにがなんでもホームランを狙いに行くぐらいには。
結果、ラインバレル君に一目惚れをしてしまったカナタは、持ち前の意中の男性には尽くす性分を発揮。こうして退廃的な女王様から恋する乙女+頼れるお姉さんになったのでした。
まぁ、裏社会で女王やってたときもお姉さん性分が強かったので、一部の人からの人望もありましたし、自身の利益のために、人に好かれようと持ち前の愛嬌の良さで色々してましたしね……。
しかし、彼女にも転機が……
カナタがラインバレル君一行に名を連ねて『ラジアータ』を目指す途中、彼女にも転機が訪れます。
その転機というのが、狂界を越えた後にカゲフミと共闘して寄った街での出来事ですね。
『原初の災厄』の追求により、カナタはトラウマが刺激されます。そんな中、ラインバレル君が『原初の災厄』とカナタの間に割って入り、酒場を一旦出ます。
この頃のラインバレル君は、カナタのことを自身の姉であるヘレナと重ねていました。
なので、ラインバレル君的には「姉に似た親切なこの人が汚わらしい訳がない」と思っている訳ですね。
けれども、カナタはそんな言葉には絆されず、自身が如何なる人間かを暴露。そしてその上で、ラインバレル君の優しさに触れ、ここで完全敗北。
カナタは過去が過去ですし、彼女の周囲に寄って来る人間も人間です。
そんな中で、ラインバレル君のような善人の優しさに触れ、「このままで本当にこの人に惚れてしまいそう」、「そして自身の命を捨ててもいいと思えてしまう」と危機感を感じた訳です。
彼女は過去が過去ゆえに、自分自身が大事でした。
なにより守りたいのは自尊心、今の立場、確約された豊かな生活、それを築ける自分自身……それ以外必要もなければ意味もなかったのです。
だから、純情な乙女として、本来ある尽くし性のある自分を浮上させないでと、過去にあった自分に戻るのが怖かった。
その弱さを詰めたのが「だからどうかそのときが来たら…わたしを見捨てて、ラインバレル」という一言でした。
ちなみに
余談ですが、カナタの改心となった24話は元々こんな話ではありませんでした。
いつかどこかで語った気がしますが、『マナイズム・レクイエム ~Allrgory Massiah~』(以下マナレクAM)での登場人物はラインバレル君が最後覚醒に至るための糧です。
そのため、あまり重要性というか含みも深さも求めてなかったので、ただカナタがラインバレル君を好きだと自覚する回でした。
しかし、ご指摘を受けて「なら、もういっそここでカナタの闇深さと、彼女の恐怖も深掘りするか~」となり、あんな最悪な告白シーンと変わり果てた訳です。はたしてどちらが良かったのかは本当に謎です。
詠唱について
これもキャラの構想というか、プロット(カナタの末路)が出来た時点で決まってました。
カナタにはカナタなりの罪過があって、さらには裏社会での過去もあり、彼女は自身を心のどこかで毒女と蔑んでいました。
ゆえに、「“私は水底に棄てられるべきもの、しかし私は現世へ浮上してしまった”」が一節目になりました。
そして、二節目の「“しかし毒の皿と化したこの身は、いつか私を棄てたあの人へ届くべくそれまで私は生きるのだ”」は彼女の欲深さと生きる意味を現わしています。
自分はもう堕ちるところまで堕ちてしまったけれど、いつか自分を救ってくれる人に会うまでは死にきれない……そんな意味が込められています。
なので、そんな彼女を現すとしたら化け物。その中でも美しいと説あるセイレーンの姉妹であるテルクシエペイアがいいかな~と詠唱のルビに振らせてもらいました。なんか詠唱も水が関係してますし。
ちなみにですけど、人って水中だと身動きが上手く出来ないじゃないですか。そういった自分の抱えたトラウマはどうしようもないという意味でも水底というワードを起用しています。
能力について
カナタの普段の能力は自身の呪力で相手の呪力に干渉し、同調した上で様々な効果を出します。
それこそ精神的攪乱だったり、三半規管を潰したりなど効果は様々。
なにより、彼女の能力の真骨頂は同調なので、呪力操作で相手を殺すことも可能です。ただ自分も死にますが……。
この能力は結構貴重で、彼女が『血濡れの剣』に所属していた頃はカナタしか適合者がいなかったスーパーレアな能力です。
しかし、彼女が『血濡れの剣』を抜けて以降、カナタ程と行かずとも、同調能力を有した仕手は結構発掘されているようです。
ちなみに、この能力が決まった時点で、カナタの最期は決まってました。なんて非情。
キャラクターデザインについて
これはね~~~結構悩みましたよ。ミシャもですけど。
いや、外見はすぐに決まったんですけど、お洋服が散々決まらない上に、本編じゃ町娘みたいな格好ってあるんですよ。いや、あんな格好の町娘なんていちゃ駄目でしょうに。
なので、カナタはラインバレル君と『ラジアータ』に向かう前に一旦戦闘服として着替えたということにしておいて下さい。
カナタは基本肉弾戦や攪乱、陽動が得意なので、結構軽装です。
でも、パンツスタイルにするとなんか違うな~と思った結果、あんなセー○ーム○ンみたいなデザインになってしまいました。
後、彼女は唯一ピアスやチョーカーなど付けていまして(ラインバレル君は呪具なので除外)、結構華美さも取り入れています。靴もヒールですし。
結構配色に困ったのですが、そこは友人に助けてもらいました…ありがとう……。
身長は平均より少し高めで、スタイルは結構いい感じです。それをきちんと描けていないのは私の画力不足です。申し訳ありません。
そんなカナタのキャラクターデザインはこんな感じです↓
最後に
少々長くなってしまいましたが、カナタもカナタでカゲフミ並みに重要なキャラではありました。
ただの惚れっぽい恋愛脳のお姉さんではなく、彼女の魅力は正直何千文字どころで伝えきれません。
なので、ぜひ彼女がどんな人格者でどんな過去を抱え、どんな最期を迎えたのか本編で確認していただければと思います。
そして、次回……とうとう私の地雷がやってきます。
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