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オリジナル・ゲームポエム『殿、粗相でござる』

オリジナル・ゲームポエム『殿、粗相でござる』

デザイン:出島将大、改訂:岡和田晃 

Ver 1.2

※2021年10月21日の「FT新聞」No.3193で、ゲームポエム『殿、粗相でござる』が配信されました。「FT新聞」はゲームブックの専門出版社・FT書房の日刊メールマガジンです。

※FM湘南ナパサで2020年11月17日20:00-に放送された、東海大学広報メディア学科学生による生放送「こちらラジオ番組制作部」にて、遠隔授業で行われた本作の制作に関連した内容が放送されました。

〈はじめに〉

 このゲームは4人でプレイします。プレイ時間は、約20分です。
 時代設定は架空の戦国時代。プレイヤーが演じるキャラクターは「殿」1名と「家臣」3名に分かれます。
 大河ドラマや時代劇のパロディで、ゲーム内で起こることはすべてフィクションである、という前提でプレイします。

〈1:不易の内容決定フェイズ〉

 はじめに、「家臣」たちが「殿」に、誠に不易な事をして切腹を命じられてしまった場面から始まります。
 まずは「殿」が、不易の内容を決めてください。滅茶苦茶な言いがかりでかまいません。
 「殿」は怒髪天を衝く勢いで激怒していますが、それでも「余はまこと慈しみ深い大名ゆえ、この国に益がある者であれば、そなたら3名のうち1名のみ、特別に切腹を免じてやってもかまわんぞ」と言います。
 そして、「余はこの国で最も偉大であるからして、たとえ余のみに益が出るものであろうとも、それは国のためになるものとして認めてつかわす」と、言い添えます。
 とにかく、「殿」を満足させればよいのです。
 「殿」は有能な人物のみ生き残らせること、「家臣」は他を出し抜いて自分が生き残るのが目的です。

〈2:専門分野の選択フェイズ〉

 「家臣」にはそれぞれ専門としている職業があり、それぞれプレイヤーに選ばせます。自由に相談して選んでかまわないのですが、1分経っても決まらないようならば「殿」が強制的に割り振ってください。
 「家臣」の専門分野は《武術》、《医術》、《農業》の3種類があり、それぞれ1つを割り当てます。
 「家臣」の提案は、選んだ職業に沿ったものでなければならず、提案を通して他の「家臣」より自分が有能なことを証明しなければなりません。

〈3:キャラクター名の決定フェイズ〉

 専門が決まったら、演じる「家臣」のキャラクター名を決めてください。戦国時代風にしなければなりません。歴史考証は厳格なものではなく、「〇〇助」「〇〇郎」「〇〇左衛門」など、プレイヤーがパッと思いつくイメージで構いません。
 「殿」の名前も、必要ならばこのときに決めてしまってください。

〈4:申し開きと提案フェイズ〉

 続いて3人の「家臣」はじゃんけんをし、勝った者から時計回りに、「殿」への申し開きと、提案を行います。
 申し開きは、卑屈なくらいへりくだるものであることが求められます。その後、「自分を生かしてもらえれば、こんな素晴らしいことができる」ということを「殿」に提案します。
 提案された「殿」は、「家臣」の申し開きと提案のそれぞれについて、気になったところを詰問します――口から出任せを防ぐように、大いに粗探しをしましょう!
 粗探しの際、「殿」を選んだプレイヤーはロールプレイを介し、過剰なくらい、趣味嗜好を家臣に伝え、「家臣」のロールプレイをしやすくさせます。
 これを1周します。1周目が終わったら、「殿」は1周目を吟味の材料とし、「家臣」たちに1周目と同じ順番で、2周目の提案をさせます(今度は、申し開きは不要です)。2周目の提案は、規模も期待できる効果も、1周目よりも大掛かりなものでなければなりません。今度も「殿」による詰問(粗探し)が行われます。
 2周目が終わったら、「殿」が生き残らせる「家臣」を1人選びます(「天晴じゃ!」と言って指差しましょう)。選ばれなかった「家臣」は、辞世の句を詠んで切腹します(辞世の句については、5・7・5であれば、季語は入れなくてもかまいません)。

〈5:特別ルール・切り捨て御免!〉

 〈申し開きと提案フェイズ〉で、次の事態が起こった場合、2周目の終わりを待たずに、「家臣」または「殿」が処刑されてしまいます。

A:「家臣」が殿の詰問に上手く答えられなかった場合や、辻褄が合わなかった場合、「その者を連れて行け!」と「殿」が言い放ち、侍たちがその「家臣」を連れ去っていきます。「家臣」は「お慈悲を!」「あ~れ~!」等、最後にロールプレイをして下さい。

B:英語をはじめとした外来語のように、戦国時代にそぐわない言葉を使用した場合です。和製英語も駄目です。「家臣」が申し開きや提案の中で外来語を使用した場合、他の「家臣」が「粗相!」と言い放ってください。そうした場合、「殿」が「そなた、〇〇とは何であるか?」と尋ね、「家臣」が上手く説明できなかった場合は、ただちに「殿」に切り捨てられてしまいます。プレイヤーは、切り捨てられる様子をロールプレイしてください。

C:「殿」が外来語のように戦国時代にそぐわない言葉を使用した場合(和製英語もNG)、「家臣」は「粗相!」と叫び「殿、〇〇とは何でござる?」と聞き、説明できなかった場合、「殿御免!!」と言いながら斬り捨ててかまいません。
 この国では、「舶来」の言葉を使用する者は厳しく罰せられ、それは「殿」であろうと例外ではありません。謀反者となり斬り捨てられてしまいます。

〈6:ゲームの終了〉

 「家臣」が1人になるか、「殿」が切り捨てられればゲーム終了です。最後に、結末を皆で相談し、ロールプレイと握手をして終わりましょう。

〈免責事項〉

 このゲームはユーモアを基調としているため、成熟した大人の自己責任による運用を前提としています。1人でも不快に感じる人が出たら、ただちにゲームを中止してください。

※本作は、東海大学文芸創作学科で2020年春学期に岡和田晃が開講したゲームデザイン論での課題レポートの最優秀作を改訂し、当人の許諾を得て掲載したものです。

※本作のPDF版は以下からダウンロードできます。


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