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“隻腕”クライマーのパラクライミングTALK⑭

隻腕クライマー・大沼和彦が主催する、パラクライマーたちによるインスタライブ。日曜日の夜に不定期でゆる~く開催。悪ふざけだったり、パラクライミングへの熱い思いだったりが繰り広げられています。

今回は、ことし(2023年)3月に開催されたパラクライミング日本選手権のルート課題について、出場選手が語り合いました。


▼今晩のお相手は…

安良岡伸浩 選手(RP3)
ビーチこと濱之上文哉 選手(B2)

▼課題のテーマは“リズム感”だった(男子RP3&男子AL2課題)

大沼和彦(AU1):安良岡さんも、大会お疲れ様でした。日本代表選出、おめでとうございます。

安良岡伸浩(RP3):ありがとうございます。1年ぶりに代表ジャージに袖を通しました。

大沼:安良岡さんの登った決勝課題も、ゴール手前が悪そうでしたね。

安良岡:まさか、あそこでみんな団子になるとは思わなかったですね。

RP3クラスでは、決勝進出した3選手すべてが同じ高度に到達。タイムが結果を分けた

大沼:高野正さん(RP3)、カチを見落としたって言ってたんですけど?

安良岡:目の前にありますよ、あれを見逃すわけがないっていうレベルで。ムーブとして、ここになかったらおかしいだろうって。

ビーチ:高野さんは、見落としたって嘘ついてるってことですね?

安良岡:俺はそう思ってますけどね(笑)

成績僅差のRP3クラスを、タイム差で制した高野選手

大沼:そこに行く手前の左手ボテについている、なんかデュアルみたいなやつ、取った瞬間、すげーって鳥肌たちました。

安良岡:あそこは、みんなそうだと思うんですけど、結構よれてきたところ。ダイナミックな動きを要求されてたので、取れなかったときの怖さはありました。

デュアルをつかむ安良岡選手

安良岡:けど、問題は、その前から。あとで、セッターのマーシー(中島雅志)さんとお話しさせていただいたんですけど、僕たちが登ったルートって、登っていく上でのリズム感をすごく大事にしなきゃいけない課題だったって、登った後に気付いた。最近のリードの競技とかで、よくある課題のテーマが“リズム感”。休めなかった時にどういう風に登っていくかみたいなのがテーマになってるなって、常々感じてた。今回の課題は、まさにそれで。最後のレストポイントから、リズムよく行かなきゃいけなかったところ、それを見逃して、というか思いつかなくて、最終的に変なところで、無理なレストを入れたせいでよれて落ちた。

大沼:レストした後、そこからテンポよく行くっていうのが普通のクライミングですよね。

安良岡:なので、レストをしない結城周平さん(AL2)が最強だった。

大沼:1回ちゃんとチョークアップしてましたよ。

安良岡:そこから、リズムよく自分のペースで登ってた結城さんが、バッチリはまってた。

RP3・AL2クラスの選手が挑んだ課題を、唯一完登した結城選手

▼半月ホールド「ガーリック」が続く地獄…(男子B1~B3課題)

安良岡:ブラインドの課題も、すごく面白そうだった。目が見えていても、あれどうやって持つんだって感じだった。

ビーチ:あれは単純な強さで、もてるかどうかっていう。

大沼:あの半月みたいなやつに、ジブスってついていた?

ビーチ:前半の「ガーリック」というホールドなんですけど、ガーリックが始まったところには、外側がちょっとデュアルっぽいカチが、角度がついてるとこについていたが、変な角度がついてるから、足になった時にすごく乗りづらかった。手で持った時も、別によくはないんだけども、後半で、それすらつかなくなったところよりは、きっとマシだったんだろうなっていう感じ。

安良岡:1回、角度変わって上がったところの左足は、誰一人として使わなかったから、体がはがされるんだろうなって。

「ガーリック」ホールドに足をかけるビーチ選手

大沼:最後の落ちたところ、足悪くないですか?

ビーチ:本当は、あそこから地獄が続くらしい…左足はなんかあったけど、それに乗っけても、全然体重が乗せられてない感じ。かなり厳しい課題ですね。全部登り切ったら12Dぐらいあるらしいです。俺のところまでで12Bで、落ちた一手を取れば12Cで、そこから全部登り切ったら12Dになるっていう…何で、そこに2グレードも凝縮されてるんだ!
完登できなかったので、気持ちの悪い感じだけど、面白かったですけどね。

大沼:毎回、課題が進化していきますよね。

ビーチ:選手のレベルが当然上がっていけば、1位になるであろう人が、ギリギリ登れるか登れないかっていう課題に、グレードが上がってくる。

安良岡:僕は初めて参加したのが秦野の大会だったかな。でも、まぶし壁にテープがついているようなやつだったんですけど、その時の課題が悪かったっていうわけではないんですけど、その時と比べて、課題のテーマだったり、求められることっていうのが、すごくわかるようになってきたんで、やってる側もめちゃくちゃ面白いですね。どうなんだろうって考えながら、オブザべもできるし。

ビーチ:大会に出るモチベーションとして、単に順位がつくっていうところプラスアルファとして、コンペの課題を登ってみたいなってところもある。お金払ってでも登りたい課題っていう感じ。新しい人がそういうところを面白がってきてくれたらいいな。

安良岡:ホールドのあのフリクションは、大会じゃないと味わえないですからね。本当に気持ちいい。

(了)

▼障害別クラス分けについてはこちらの記事を↓

▼“パラクライマー”大沼和彦【日曜日のインスタライブ】23年3/12

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