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セッターが大会ルートを解説!【予選】パラクライミングJC第1戦2022年度

10月に開催されたパラクライミングジャパンシリーズ第1戦【予選】。大会チーフルートセッターの“マーシー”こと中島雅志さんが、課題のポイントについて解説してくれました。


マーシー:「前日はずっと滝のような雨を浴びながらルートを作っていた。これまで経験した中で過去最悪の状況だった(笑)。今回、ホールド感は悪い。それを濡れた状態で登るというので難航した」

予選のルート壁。ルートは5つ設定された

▼成立したのは2クラス

競技では選手は、障害の種類や程度によって、いくつかのクラスに分けられ、その中で競い合います。
(※クラス分けについては以下の記事に)

そして、4人以上の選手が集まると、そのクラスは成立となります。成立したクラスでは、予選2ルートを登った成績の上位3選手が決勝に進みます。今回、成立したのは【男子B2】【男子AL1】の2クラスです。

4人未満でクラス不成立の場合は、課題に【Road to final】のホールドが設定され、2ルートとも、このホールドを保持または通過することが、決勝進出の条件となります。

赤の課題のトップ手前、クラス名が記されたステッカーの横のホールド(赤丸)が【Road to final】

▼青ホールド課題

①ルート目:男子B1 男子B2 男子B3 男子AL2 男子RP3
②ルート目:女子B1 女子B2 女子B3
※①ルート目よりも②ルート目の方が難易度が上がる。


マーシー:「デュアルテクスチャーという白い部分はツルツルしているハリボテが多用されているルート。その上にホールドがついているが、視覚障害の選手にはホールドを探すのが難しい。そこがポイント。最大傾斜は手前に20度。壁が多面体なので、それ以上の傾斜があるところもある」

最大傾斜は手前に20度

▼緑ホールド課題

①ルート目:女子B1 女子B2 女子B3 
②ルート目:女子AL2 男子RP1 ファンクラス


マーシー:「視覚障害者の女子選手 下肢障害の女子選手に対して、大きなスローパーやピンチに挑戦してもらおうと思った。上の方はかなり大きなホールドがたくさんついている。その辺りをしっかり抜けてくるかどうかが見所」

青と緑の課題にはボリュームのあるホールドが目立つ

▼黄ホールド課題

①ルート目:男子AU1 男子AL1 女子RP1 ファンクラス


マーシー:「車いすの選手も登るルート。手順を1回ミスるとその後が苦しくなる。その辺りに気をつけて登ってもらいたい。車いすの選手が登るルートは、セットするときも両腕だけで登って作る。片足だけの選手が登るルートは片足だけで登って作っている」

黄と赤の課題には細かいホールドが散りばめられている

▼赤ホールド課題

①ルート目:男子RP1 女子AL2
②ルート目:男子AU1 男子AL1 女子RP1


マーシー:「上の部分に大きなホールドを使っていて、そこをしっかり抜けて行けるかというのが見どころ」

▼黒ホールド課題

②ルート目:男子B1 男子B2 男子B3 男子AL2 男子RP3


マーシー:「視覚障害の選手は、見えない状態で手探りをする中で、これだけ大きなホールドをどう処理していくかというのが見どころになってくる。今回、ルートの計画を練る中で【ガイドとの連携を崩す】というのがテーマ。そこはしっかりサイトガイドとクライマーが連携をとってうまく処理をしてもらいたい」

予選最高難度の黒の課題

予選の模様は、日本パラクライミング協会のユーチューブチャンネルにアップされていて、解説を踏まえて観ると、より楽しむことができます。是非ご覧ください!

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