優秀で鬼のように厳しい副会長は実はツンデレな女の子 19
波乱だった修学旅行が終わって一週間が経った
いつもの学園生活に戻り授業も始まった
ただ、一部の生徒達は授業を受けずにとある場所にいた
あやめ: …本当に公安は解散ですのね
○○: ああ、蓮加に…生徒会にバレちゃ俺達の仕事がやりづらい…
美波: 私達は影でなくてはいけませんからね
○○: そういうことだ、ことある事に公安を頼られちゃ意味ねぇからな
桜: 難しいお話ですねぇ
あやめ: …至極簡単なお話ですよ?
桜: 考えるの苦手なんですぅ
美波: あやめ様…桜は単純思考なので…
あやめ: …はぁ
○○: とりあえずだ、蓮加と祐希ちゃんには改めて解散を告げる、あと斑目さんにもな
あやめ: 斑目さん…?斑目さんってこの学園の理事をなさっている…
美波: 斑目製薬の会長様ですね
○○: ああ、その斑目さんから公安委員会の設立と援助を受けてたからな
斑目製薬
日本の製薬シェアの6割を占めている大手製薬会社
病院の処方薬はもちろん家庭向け薬品のシェアも独占してる状態の企業
独自の研究施設があり世界有数の高度な技術を持つという
あやめ: まさか斑目さんが公安を…なぜです?
○○: 斑目さんは最近の学園の乱れ…校則違反の多さが気になったらしくてな、俺もそれは感じてた
そこでバックアップするからって極秘に公安を新たに設立しようって話になった
あやめ: 私は途中参加で○○様に大まかには聞いてましたが…理事が絡んでたとは
○○: じゃなきゃ勝手にやれねぇよ、生徒会出し抜いてな
あやめ: でも結果的にはそうなってしまいましたが…
美波: そうとは言えません…私達…いえ、○○様が影で動いたからこそ生徒会は今纏まりつつあります
あやめ: 確かに…
○○: おいおい、俺は生徒会を手助けしただけだ
生徒会自ら率先したんだよあいつらの努力だよ
桜: あのー私の活躍のおかげもありますね♡
あやめ: …あなたは大阪だけでしょ
桜: それでも頑張りましたよぉ?
あやめ: …あなたと話をしてると頭がこんがります…
桜: おバカさんなんですねぇ
あやめ: あなたに言われたくありません!
美波: …あやめ様、そのへんで…
あやめ:…すみません、取り乱しました
??:ふっ…若さ故の過ち…結構じゃないか
部屋の扉を開け立っている人物…
オールバックにサングラス…そして学園の制服…
…怪しさ大爆発の人物が立っていた
あやめ:…どなたです?
ここは学園の旧校舎の教室
普段は立ち入り禁止になってる区画
一般生徒はもちろん入れない…
しかし怪しげな人物は堂々と立って不敵な笑みを浮かべている
美波:…あやめ様、お下がりください
桜:……
いつの間にか美波さんと桜さんは私と○○様を守るように前に立つ
桜さんは先程と違って顔つきが変わる
??:…ほお?一瞬で前に…瞬歩か
サングラスの男性は悠然と立っている
美波:…何者です…ここは立ち入り禁止ですよ
??:…知っているよ、私は呼ばれたから来たまでだ
あやめ:…呼ばれた?
私達は一斉に○○様を見る
あやめ:…この方を呼んだのは…
○○:ああ、俺だ、すまねぇな黙ってて…美波、桜、大丈夫だ
美波:…はい
??:…なるほど、君を守る矛と盾か…素晴らしいじゃないか○○
○○:…ま、なんだ別に強制はしてねぇがこうなっちまった
??:それは人徳と呼ぶのだよ
……あのサングラスの人、○○様と親しく話をしてるところ、大丈夫ですわね
ただ、慇懃無礼というか横柄というか…色々引っかかりますわ
美波:……○○様、この方は?
○○:こいつは牧村デューク虎吉だ、小学生ぐらいかな、飛鳥馬グループのパーティで出会ったのがきっかけで知り合った
あやめ:……デューク?
美波:……虎吉…
桜:お名前いっぱいで大渋滞ですぅ
あやめ:さ、桜さん!
牧村:構わない、言われ慣れている…こうだからな
牧村さんはサングラスを外す
……○○様以外驚いてしまった
桜:外国の方ですかぁ?
牧村:見た目はな、こう見えてハーフなのだよ
…どう見えても彫りの深い外国人の方そのもの
日本語を流暢に話してたから納得です…
○○:牧村…すまねぇ、お前の力を借りたい
牧村:…その前に二点ほど私から話がある
○○:なんだ?
牧村:私の名前を呼ぶ時は虎吉と呼んで頂きたい
あやめ:…は?
美波:……
桜:虎吉さんよろしくですぅ
虎吉:ああ、よろしく
あやめ:桜さん、順応してますわ…
○○:相変わらずだな、名前へのこだわり
虎吉:私はハーフだが生粋の日本人だ、その誇りさ
あやめ:あの…虎吉さん?もうひとつは?
虎吉:ああ、重大な知らせだ…
『もうまもなく御前会議が始まる、緊急のな』
御前会議
学園の理事全員が出席する学園生徒へ向けたの何かを発するという集会
御前会議が開かれることは滅多になく何年か前に開かれたきり
開いたのはおそらくクソ親父しかいねぇ…
いよいよ動き出したか
何を企んでやがる
御前会議の開催を告げる校内放送が流れる
全校生徒は大講堂へ向かう
俺達は周りに気付かれずに行動する
あやめは手こずってはいたが美波、桜のサポートでなんとかなった
牧村は軽やかな身のこなしで先行してる
美波:○○様…あの方の動き、只者ではありません…
○○:あいつの祖先は甲賀の出なんだよ
美波:…甲賀ですか…
○○:ま、お前と馬が合うかもな
美波:どうでしょう…
牧村が先行し道を確保し大講堂に着く
ほとんどの生徒、職員が揃っている
俺達は目立たぬよう最後尾に並ぶ
○○:生徒会は最前列か
牧村:生徒会は式典の仕切り役と警備を兼ねてるからな
あやめ:祐希さん、重要な役目では?
○○:いや、クソ親父がいるなら不要かもな
あやめ:えっ?それは…
美波:始まります…
ザワザワと騒いでた生徒達だったが壇上にある人物が現れるとピタリと静まる
場の雰囲気はひりつく
長身で獅子のごとき髪型
何物を見透かすような眼光
周囲を黙らせるような威厳と畏怖
ナーファフォルガー学園理事長 飛鳥馬昌幸
○○の実の父親
昌幸:…学園全生徒諸君に火急に伝えたいことがある
マイクから通る静かな声
だかなにか威圧のある声でもある
昌幸:明日より我が学園は全寮制とする
わずかにざわめく生徒達
蓮加:全寮制って…急に
祐希:待って待って!いきなりすぎ!
最前列にいる生徒会、蓮加と祐希はさすがに動揺を隠せないでいた
さくら:かっきー、どういうことなんだろ?
遥香:…わからないよ…
この二人もまた状況が飲み込めてはいなかった
昌幸:本校舎より徒歩10分、そこから離れた場所に寮を建築した
寮は三棟……学年関係なく振り分けた
追って学園専用メールから諸君らが住む寮を通知する
なお、全生徒入寮すること、絶対だ
引越し準備もあるだろう、今日の授業は終了だ
私からの話は以上だ
話終えると早々と立ち去さる昌幸
牧村:相変わらずワンマンがすぎるな
あやめ:…あの方はいつもそうですから
○○:…クソ親父、なにがしてぇ…
○○は本能的に体が動き昌幸の元へ向かおうとするが…
○○の肩を誰かが掴む
黒田:○○様、どちらへ?
○○:黒田……
黒田永政
飛鳥馬昌幸の第一秘書
昌幸の懐刀と言われ秘書ながら権力を持つと言う
○○:また俺の監視してやがったな
黒田:とんでもない、たまたまですよ
○○:…いつも偶然なのか?
黒田:もちろんです
笑顔を見せるが眼鏡の奥の目は笑ってはいない
○○:クソ親父と話をさせろ
黒田:申し訳ございません、このあと総帥は会議があり時間がありません
○○:……あくまでも合わせたくないようだな
黒田:とんでもありません、時間が合わないだけですよ
再び笑みをこぼす
あの笑みはいつ見ても嫌悪を覚える
俺を見下すような笑み
黒田:…寮の振り分け、楽しみにしてろと総帥からの伝言です…○○様ご自身もです
○○:どういうこった…
黒田:時期にわかります、それでは
深々と会釈をして黒田は去っていく
あやめ:…いつ会ってもいけすかないですわ
虎吉:総帥の懐刀か…切れ者とはいえ○○には眼中ないという感じだな
○○:昔からああだからな、俺を蚊帳の外にしたがる
クソ親父だけじゃね…あの黒田も1枚噛んでやがる
御前会議は終了し全生徒解散となった直後にメールが来た
全生徒が驚愕した
この振り分けはなんだ……?
終わりの始まりを告げる通告だった
続く
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