もしもあの子がとんでもない性格のあの子でメンバーにいたら…という世界線のお話 第7話
美玲さんの家から去り、自分の家へ帰ってきた
あまり長いはできないから美玲さんと小坂さんが姉妹ということしか聞いてはなかった
どうやら真・みーぱんファミリーでこの事を知ってるのは渡邉さん、上村さん、丹生さんだけらしい
三人とも美玲さんから聞いたとか
他のメンバーは知らない
あの後美玲さんの部屋へ戻り平然としてたつもりだったが丹生さんからLINEが来た
『夜、お話しない?』
着信音が鳴る
『丹生明里』の文字
○○:…もしもし
明里:ごめんねー急に
○○:いや大丈夫だよ
明里:あのさ、美穂とひなのからなにか聞いた?
…悩んだ
言っていいものなのかと
いくら丹生さんが知ってても…でも嘘はつけない
○○:…聞いたよ
明里:…そか、聞いたか…
明里:めちゃくちゃややこしいからちゃんと聞いてね
なんか投げやりな言い方というか…丹生さんには珍しい言い方だった
○○:わかった、ちゃんと聞く
明里:よし!まず、あの二人はものすごく珍しい共通点がいくつかあります
○○:共通点?
明里:うん、まずその1、ご両親がいない
○○:……え、待って…
明里:とりあえず最後まで聞いて、質問はあと!
○○:は、はい
明里:その2、ご両親が亡くなった理由が同じ、10年前、トラック運転手が居眠りしてトラック運転して大事故、テレビとかで大々的にやってた事件ね
○○:…知ってるそれ
明里:明里も…あの事故でお互いのご両親を亡くしてる
……そんなことあったのか
小坂さんも美玲さんもそんなの微塵も出してない
明里:その3、お互い祖父母に引き取られ養子縁組したの、そうすれば親権は祖父母になるでしょ
○○:なるほど、それなら施設とか行かなくて済むし、法律上、事故でご両親無くしてるから問題ない
明里:そういうこと、そしてその4!菜緒はおじいさんが父になりました、みーぱんさんがおばあちゃんが母になりました、お互いそれぞれ養子、そして片親状態
明里:ちなみにお互いの親が再婚したきっかけは娘達が招待したライブらしいよ?そこで御付き合いして再婚…これ二年前の話ね、以上みーぱんさんから聞いたお話
○○:…丹生さん、本当にややこしい…
明里:でしょ!おばあちゃんがある日お義母さんになって再婚したら妹が同じグループのメンバーで同じ境遇だよ?だからみーぱんさん悩んじゃって
○○:気まずいより悩むね、確かに
明里:うん、それにあの性格でしょ?菜緒に対して申し訳ないが強くてさ、恨んでるとかはないから菜緒に
○○:まずメンバー同士だからね、そんなギスギスできないしね
明里:それ言ってたよ、だから菜緒は関係ないしむしろ義妹になってくれるなら嬉しいけど、手放しで喜べないって…複雑すぎて
○○:確かにね…反対も賛成も…わからないよね
明里:うん、どうしたらいいかな?長引かせたらだめだよね?
丹生さんの言う通りだ
長引かせたらこじれる可能性がある
…小坂さんにも聞きたいが…いや本音は言わないな
あの子はなかなか口が固い
○○:丹生さん、とりあえずこの話は僕に預けて欲しい、丹生さんはこのままでいて
明里:いいけど…
○○:言いたいことはわかる、でも丹生さんはまず仕事と美玲さんのケアをしてあげて?これはデリケートな問題だから慎重に動く、でも早期解決はしたい
明里:……うん、分かった、○○さん信じるよ
○○:ありがとう、丹生さん
明里:○○さん
○○:ん?なに?
明里:○○さんは花マルちゃんだね!じゃあね!
通話は切れた
さて……どうするか…
あれから数日が経った
まずあの二人の行動、小坂さんが身内の話をしてたか慎重に調べた
主に仲がいい高橋さんから世間話しながら聞き出したが特に話はしてないみたいだ
高橋さんに話してないなら他は無いはず
……やっぱり本人聞くべきなのか…でもそこまでマネージャーが踏み込むべきなのか…
混乱してきた…どうする…
控え室前の廊下の壁にもたれて考えにふけってた
トントン…
ん?肩叩かれた?
振り向くとそこには…
美月:考え事?
山下さんが立っていた
○○:あ…山下さん、すみません…ちょっと考えてて
美月:大丈夫だよ…変わらないね
○○:え、なにがですか?
美月:難しい顔してる時は何か悩んでたり考えてる時だよ、昔から変わらない
○○:あ…気づかなかった…て、山下さんなんでここに?
美月:隣のスタジオで乃木中の収録、そっちはひなあいでしょ
○○:あ、そうか…
美月:…私が悩み聞けるレベルじゃないみたいね
今気づいた
いつものヘラヘラしてだる絡みしてくる山下さんではない
多分僕の雰囲気に気づいたのだろう
本来の真面目な山下さんになってる
○○:…僕ですらわからない問題で…
美月:そっかぁ…○○くんでもだめな問題ね
簡単にだが山下さんに話す
ただし小坂さんと美玲さんの名前は出さず
美月:……私でもだめだごめん
山下さんは少し考えてこういって来た
美月:まだ待ち時間だよね?
○○:あ、はい、トラブルあったみたいでまだ長引くみたいで
美月:こっちもだよ、多分ここのスタジオ全体みたい
○○:そうなんですね…
美月:乃木坂の控え室来てくれない?
○○:え!だめですよ、僕は日向坂のマネージャーですから
美月:中は入らなくていいよ、控え室の前にいて
○○:控え室の前ですか?
美月:ある人呼ぶ、きっと何かアドバイスはもらえるはずだから
心臓がドクンと跳ねた
山下さんが呼ぶ人…それは絶対的に信頼してる人…
でも…聞いてしまう
○○:…山下さん…その人って…
美月:こんなかたちで呼ぶのは複雑だろうけど、あの人しかいないから
やっぱり…やっぱり…だ
僕の運命さえ変えた…命の…恩人を…
美月:○○くんが悩むんだから呼び出すよ…そんな○○くんみたくないから…
美月:…飛鳥さんしかいないでしょ
目を潤ませながら笑顔を浮かべる美月さん
○○:…ありがとう…美月さん…
僕も泣きそうになっていた…
『美月さん』
昔の呼び方になっていたのは気づかないぐらい…
動揺してたのかもしれない
こんな時に不謹慎だとは思う
けど…
やっと会える
飛鳥さんに…
続く……
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