優秀で鬼のように厳しい副会長は実はツンデレな女の子 18ー1
あやめが調べてくれたおかげで姿をくらませた賀喜遥香の行きそうな場所はわかった
難波
ここ新世界からなら御堂筋線で二駅の距離
しかしあやめの提案でタクシーで行くことにした
電車で行ったら何も土地勘ない俺達は迷うだけ
それならタクシーに乗り土地勘のある運転手にナビゲートしてもらえば時間のロスは最小限で済む
そして俺らはタクシーの車内の後部座席に三人で座っていた
蓮加:難波に本当に行ってるかな…ただ生まれ育った土地だけで行くのは無謀じゃない?
あやめ:手がかりが少ない以上、SNSで書かれていた難波に行くしかありません
蓮加:でも行ったとしてもその先の手がかりがなければ意味ないわ
○○:だから今あやめが情報収集してる
あやめは車内でノートPCを開き耳にはワイヤレスイヤホンを片方だけ付けている
時々小声で話もしてる
蓮加:…あやめは一体何者?よくよく考えてみたら私達に会うタイミングといい、この手際の良さ…私の知るあやめじゃない
○○:………
蓮加:…○○、あなた、あやめのこの行動知ってるわよね?容認してるし驚きもしない…二人とも私になにか隠してない?
あやめ:蓮加さんそれは…
○○:…とりあえず賀喜遥香を見つけることが最優先だ、とにかく今は情報が欲しい…蓮加、この件が片付いたら全て話す
蓮加:……わかったわ
本当なら蓮加をここまで連れてくるつもりはなかったし賀喜遥香の失踪も言うべきではなかった
俺とあやめ、公安で探そうと思ったが…動揺し蓮加にも言ってしまった
何も手がかりのない事態、もう隠す必要もないしあやめや公安の力を蓮加の前で出すしかない
……話すのは終わってからだ
あやめ:…○○様、さくらさんは落ち着いて眠ってるようで先生に見てもらって美波さんも合流するそうです
○○:そうか…さくらちゃんにこの事は?
あやめ:言ってないそうですわ
○○:…わかった、美波には逐一俺達の場所を報告してくれ
あやめ:かしこまりました
蓮加:…賀喜さんは恨まれてたって言うことになるの?
○○:ああ、SNSに書かれてた裏切り者って言葉…それしかなかったがそれがずっと書かれていた
あやめ:相当恨んでいたのでしょう
蓮加:でもそれで賀喜さんに向けた言葉とわかったわね
あやめ:過去に消された記事を見つけたからわかりましたわ…賀喜さんの名前がありました
蓮加:消された記事…?ちょっと、それって…
○○:一刻を争うんだ…目瞑ってくれ
蓮加:…ほんとにあんた達なんなのよ…
タクシーは難波駅に着いた
あやめはまだ情報収集に手間取っていて有力な情報は得られてなかった
一方、蓮加も教師達に連絡し、生徒会を総動員して捜索させている
会長の祐希は新世界に和といて迷子になってたところに偶然史緒里達に合流、やはり難波へ向かってる
お互いを合流させたのは公安の生徒であることは言うまでもない
あやめ:…賀喜さんが難波に住んでた頃の学校から友人関係を洗っています…もう少しお時間を
○○:……頼む
八方塞がり…まったく糸口がない
…何か手がかりはないのか
その時美波から着信がきた
美波:○○様…難波へ向かっています
○○:すまないな…
美波:いえ…私の失態です
○○:美波には何の落ち度もない、気にするな
美波:…ありがとうございます…手がかりになるかわからないのですが
○○:ん?なんだ?
美波:さくらさんから聞いたのですが賀喜さんが寝てる時菜緒って名前をうわ言のように何度も言っていたそうです
○○:菜緒?
言葉にしてあやめを見る
あやめと目が合うとすぐ調べ始める
あやめ:…わかりましたわ、さくらさんと美波さんのお手柄です
蓮加:誰なの?菜緒って人…
あやめ:小坂菜緒……賀喜さんと友人関係にあったみたいです…これを
ノートPCを見せる
そこには屈託ない笑顔の賀喜遥香と…小坂菜緒という子が写っていた
難波駅に着いた
菜緒は何も言わなかったが無言の圧力で一緒に降りた
もう一人の友人…田村保乃も
菜緒が先頭に立ち黙って歩く
保乃:……なんで来たんや、あかん言うたろ
遥香:…修学旅行で来てて…ほんまは来るつもりなかった…でも…菜緒の顔見てわかった…このままじゃあかんて
保乃:言うたやろ?今の菜緒は昔の菜緒やない
遥香:だから…話し合って
保乃:……今の菜緒は…あんたへの恨みでいっぱいや
…保乃の声も届かへん…
保乃:……どうなるかわからへんのやで
コンコン……
ん?タクシーの扉から?
しかし誰もいない…
ふと駅のほうを見た
○○:…見つけたぜ蓮加、あやめ
蓮加:えっ?どこ?
あやめ:あれは…
○○:ああ、賀喜遥香だ…あと賀喜遥香のとなりに一人、先頭に一人、あれが小坂菜緒か
蓮加:ねえ、やばくない?あれって拉致されたんじゃ
○○:賀喜遥香の隣のやつは話しかけてる、そんな感じじゃねぇ…とりあえず着いていくぞ
あやめ:かしこまりましたわ
蓮加:う、うん
タクシーの扉を叩いたのは桜
LINEで「追いかけます」と来ていた
俺もわからないほどの隠密能力だ
しかし…なんだ、あの小坂菜緒が纏ってる存在感
闇……そのものだ、嫌な予感しかしねぇ
桜が先行してることは桜からのGPSを見てわかる
尾行は桜に任せることにした
俺達は離れて歩いていく
○○:今更だけどよ蓮加…やっぱりお前…
蓮加:着いていくわよ、賀喜さんは大事な学園の生徒…生徒会副会長が見捨てるわけないわ
○○:ま、そういうと思ったぜ
蓮加:…あと
○○:ん?なんだ
蓮加:…大切なお友達だから
○○:ふっ…そっか
照れた顔しながら言う蓮加
蓮加の口から友達なんて珍しいな
あやめ:…イチャつくのは後にしてくださいまし
あやめは大変なんです…○○様が次から次に頼むから
○○:すまねぇなあやめ、だが大切なことだからよ
あやめ:分かっています、小坂菜緒の身辺は探っておりますからご心配なく
○○:頼むぜ
三人の後を着いていくとどんどん寂しい場所へと
行く
桜からは「廃墟みたいな建物に入りました。周りには誰もいません」とLINEが来た
…定番中の定番だな
○○:…場所が分かった、急ぐぞ
あやめ:はい…かしこまりました
蓮加:わかった…
俺達三人は路地裏を走った
…間に合ってくれよ
【18ー2へ続く…】
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