千葉県議会 折本たつのり一般質問及び答弁(令和5年12月6日)
千葉県議会 折本たつのりの一般質問及び答弁(令和5年12月6日)
質問項目
➀農と食の安全について
②少子化対策について
③護岸整備について
④水門・排水機場について
⑤災害対策について
⑥道路問題について
⑦教科書採択について
⑧外国人介護人材について
⑨観光誘客について
こんにちは。浦安市選出、有志の会の折本です。県議に就任して最初の登壇の機会を頂き感謝を申し上げます。本日は地元の内外から支援者の方々にお越し頂きました。誠に有難うございます。それでは順次質問させて頂きます。
➀農と食の安全について
最初に、農と食の安全についてお聞きます。
就任以来、私は農林水産常任委員会に所属させて頂き、小路正和委員長を始め、諸先輩方のご指導を賜りながら大変充実した議員活動を行わせて頂いております。誠にありがとうございます。御承知の様に、私の地元である浦安には農業も漁業もございませんが、生産地ではなく消費地の立場から、また県内で最も高齢化率が低く若い世代が多い市の代表として、消費や担い手の斡旋を通して本県の農林水産業を下支えし、延いては我が国の食料安全保障に貢献せねばならないと考えております。
そこでまず、県産農林水産物の輸出に関してお尋ねします。
先般の熊谷知事による台湾公式訪問に際しては、不肖私も、武田正光団長率いる行政調査団の末席に加えて頂き、台湾を訪れました。現地では、知事による県産農林水産物のトップセールスや観光誘客、政府要人への輸入規制撤廃にむけた要請活動の現場に立ち会わせて頂き、知事の卓越したリーダーシップに感銘をお受けしました。今回の知事訪台は、県産農林水産物の輸出拡大を目指す本県にとって歴史的な画期を成すと共に、日台友好の絆を強化する有益な機会になったと評価しております。
しかしながら、それに引き換えけしからんのがチャイナであります。周知の様に、先般、中国共産党政府は、先の福島原発のアルプス処理水放出を受けて我が国からの全ての農林水産物の輸入を禁止しました。既に本県は12年前の東日本大震災の発生時から水産物はおろか全ての農林水産物の輸入を止められており、莫大な機会損失を被っております。しかも中国は、国際社会に対して原発「処理水」を「核汚染水」と喧伝しておきながら、自らは福島原発を遥かに上回るトリチウムを排出している上に、我が国近海で中国漁船が獲った水産物は自国産として水揚げしているとの報道もあり、事実であれば許しがたい二枚舌の対応です。
これまで本県は政府への「年次重点要望」において、我が国に輸入規制を続ける国に対して「正確な情報を提供し、科学的根拠に基づかない過剰な措置をとらないよう、引き続き働きかけること」を求めてきました。しかし、政治的意図に基づいた経済的威圧を続ける相手に対して、このような働きかけを続けた所で何の意味もなく、彼等を交渉のテーブルに付けるためには毅然たる対抗措置を講じる他ありません。
そこで、私は先の令和5年9月議会における農林水産常任委員会での質疑を踏まえ、熊谷知事に対してお手許に配布の「先般の福島原発処理水放出を受けた中国政府による我が国への不当な措置を強く非難・抗議し、本県として政府に対し中国への毅然たる対抗措置を講じるよう求める要望書」を提出しました。知事、お読み頂けましたでしょうか。
これに関し、先の衆議院、東日本大震災復興特別委員会においては、国会「有志の会」から福島伸享衆議院議員が質問に立ち、政府に対して、「科学的根拠に基づかない輸入規制の撤廃を求める」といった形式的な要望を繰り返して「やったふり」をするのではなく、 WTOやRCEP、CPTPP、日中漁業協定といったあらゆる国際枠組みを通じた具体的な対抗措置を講じるよう求めています。
本県としても、被害当事者として、長年理不尽な思いをされている漁業関係者の思いに寄り添い、これ以上いたずらに「科学的な根拠に基づく対応」を働きかけるのではなく、科学的な根拠に基づかない対応を続ける中国に対して毅然たる措置をとるよう政府に強く要望すべきと考えます。そこでお尋ね致します。
アルプス処理水の海洋放出に係る中国の輸入停止措置に対して、今後、県はどのように対応するのか。
答弁→
【前田農林水産部長】
千葉県産農林水産物の中国への輸出については、東日本大震災以降、全ての食品に対する輸入停止措置が続いていることから、アルプス処理水放出後も特段の変化はありません。
しかし、本措置に追従する国や地域があり、本県にも影響が出ていることから、全国知事会を通じて、「中国政府等に対し、即時に撤廃するよう強く求める」といった内容の緊急要望を二度にわたり国に行ったところです。
今後とも、県産農林水産物の安全性をPRするとともに、他の自治体とも連携しながら、国に対し、規制撤廃や事業者支援などの適切な対応を求めてまいります。
次に就農支援についてお尋ねします。
地方の高齢化や人口減少で農業人口が減り続ける一方で、新規就農者も減り続けています。昨年令和4年度の全国の新規就農者は45,840人と前年度より12.3%減少し過去最低を記録しました。本県も農業の担い手は平成2年の約12万1千人から令和2年には約5万人と、過去30年の間に半分以下に激減しています。本県の新規就農者は、過去10年の動向をみると、全体として300から400人程度で横ばい傾向であり、その割合でみると、農家子弟の親元就農が減少傾向にありますが、その一方で、新規参入者は増加傾向にあります。こうした傾向を捉え浦安の様な都市部での就農支援を強化すべきと考えます。
そこでお尋ねいたします。
県では農業に関心のある都市部の若者の就農相談などの支援にどのように取り組んでいるのか。
答弁→
【前田農林水産部長】
県では、県内14か所の就農相談窓口や、農林水産業への就業を支援する関係者が一堂に会した就業相談会などを通じて、都市部の若者も含め就農相談に対応しています。
また、都内で行われる就農フェアへの出展や、有楽町の「ふるさと回帰支援センター」での就農セミナーの開催など、首都圏における本県への就農希望者の相談に応じています。
さらに、本年9月に開設したマイナビ農業の特設サイトにおいて、千葉県での就農の魅力を発信し、都市部の若者に対しても本県での就農に興味を持ってもらえるよう、取り組んでいるところです。
【要 望】
就農支援に関して、本県の新規就農者を増やすために、浦安のような都市部の若者に対して農業への関心を促し、就農につなげる窓口を設置する必要があると考えます。現在、県内に相談窓口は14か所あるということだが、浦安を含む葛南地区の管轄は柏にある東葛飾農業事務所であり、浦安市民からは疎遠と言わざるを得ません。是非とも葛南地区での窓口開設や就農イベントの開催など、さらなる取組を進めていただくよう要望します。
また、国は、新規就農者への支援として、就農準備資金と経営開始資金を毎年150万円ずつ5年間支給しているが、はっきり言って少なすぎます。就農後の所得も、本県が「農業経営基盤強化の促進に関する基本方針」に示した新たに農業経営を営もうとする青年等の所得目標は一人当たり270万円程度であり、このような全国の平均年収にも満たない所得で若者の就農を期待すること自体困難です。ただ、これは一義的には 国の責任ですので、是非熊谷知事におかれましては、国に対して農家への戸別所得補償を含む抜本的な支援の拡充を要望していただくようお願い致します。
昨今の物価高騰により生活困窮者が増加しております。そこで本県として新規就農者を含む農家の所得向上に向けた支援策の一環として、米や野菜など県産農産物を買い上げ生活困窮者に配っては如何でしょうか。お尋ねします。
農家の支援の観点から、低所得者世帯向けに県産農産物の配布を実施すべきと思うがどうか。
答弁→
【前田農林水産部長】
物価高騰の影響を受けている低所得世帯や子育て世帯を支援するため、農産物などを提供する事業を実施している自治体があることは承知しています。
一方、県内農家を支援する観点から、県産農産物の配布を実施する場合は、需要拡大の効果が継続的に得られるかなど、十分に考慮する必要があると考えています。
県としては、需要が伸びている品目の作付拡大などにより収益性を高めるほか、農地の集積・集約化の推進、スマート農業の導入支援などによりコスト縮減を図ることで、農業者の支援に努めてまいります。
【要 望】
実需と競合しないと思われる、余剰米や規格外の野菜などの農産物の配布について、調査研究をしていただきたいのでお願いします。
次に有機農業についてお尋ねします。近年自民党政権による主要農作物種子法の廃止や残留農薬基準値の緩和、食品表示法の改正などによって、食の安全に対する不安が高まっていると感じます。さらに最近では、ウクライナ戦争の勃発を受けて、肥料や農薬などの資材や飼料価格が高騰し、輸入依存のリスクが顕在化しました。こうしたなかで、有機農業への関心が高まっております。国は「みどりの食料システム戦略」において、2050年までに輸入原料や化石燃料を原料とした化学肥料の使用を30%削減、耕地面積に占める有機農業の割合を25%(100万ha)に拡大するといった目標を掲げております。
本県も令和3年策定の「第三次千葉県有機農業推進計画」において、2030年までに有機農業の面積を1200haに拡大する目標を掲げておりますが、平成30年度末には800ha、令和3年度末には775haと、目標達成には程遠い状況です。有機農業を拡大するためには、学校での有機給食の導入などよって公共調達を増やしていくことが有効ですが、そのためには先ずは一般の消費者の側においても、有機農業への理解を増進する必要があります。そこでお尋ねします。
有機農業に対する消費者の理解増進に向けて、県は具体的にどの様に取り組んでいるのか。
答弁→
【前田農林水産部長】
県ではこれまで、有機農業について、生産者の商談会への出展支援のほか、学校給食での利用拡大を図るとともに、イベント等でのPRなどに取り組んできた結果、有機農産物の認知度は、令和4年度調査で約4割となっています。
引き続き、米ぬかなどの有機質肥料や防虫ネット、太陽熱による土壌消毒技術などを活用した、環境負荷の低減につながる有機農法と、県内生産者の取組事例をPRし、消費者理解の増進に努めてまいります。
【要 望】
例えば、ネオニコ系農薬のリスクを周知啓発することなどによって、食の安全の観点から関心を持ってもらう取組を要望します。
②少子化対策について
次に少子化対策について質問します。
少子化は内なる最大の国難であります。昨年令和四年における我が国の出生数は、77万人とついに80万人台を割り込み、さらに今年は70万人台前半にとどまる見通しです。全国の合計特殊出生率は、令和4年で1.26なのに対し本県は1.18に過ぎず、共に過去最低レベルの危機的な水準です。残念ながら、私の地元である浦安市の合計特殊出生率は、県平均をさらに下回る0.92であり、少子化対策は浦安の最優先課題であると認識しております。
一方で、既婚女性の出生率を示す合計結婚出生率は、凡そこの30年で1.7から1.9の間で推移しております。したがって、出生率を押し下げている最大の要因は未婚率の上昇にあることから、県市は国の少子化対策と連動し、婚活支援などのあらゆる手を尽くして若者の結婚を促進していく必要があります。
その際、若者に結婚を躊躇させている大きな要因として、子育て負担などの経済的な理由がある事は重々承知しておりますが、同時に結婚や出産によって家族を営むことに対する価値観の変容、多様化も未婚化の少なからざる要因であると考えます。つまり、そもそも結婚し家族を持つことに価値を見出せない若者が増えているのも一面の事実なのです。知事は本議会で「多様性尊重条例」を上程されましたが、目下我が国と本県が直面する少子化という危機的状況に際しては、むしろ祖先を敬い子孫に命を繋ぐ共同体としての家族の意義や、親子の絆を見つめ直す「家族尊重条例」の制定こそ必要ではないでしょうか。
それはさておき、兎に角、若者たちに早期の教育段階において、結婚や出産を含むライフプランを考える機会を提供する必要があると考えます。特に女性に関しては、国の「少子化社会対策大綱」で定められているように、「妊娠・出産等に関する医学的・科学的な知識を提供する」取り組みを早期の段階で実施する必要があると考えます。そこでお尋ねします。
若い世代のライフプラニング支援や、若い世代が妊娠・出産等に関し適切に判断・行動できるよう支援することについて、県の取り組みはどうか。
答弁→
【知事】
若い世代が結婚・子育て・仕事等を含めた将来のライフデザインを希望どおり描けるようにするためには、その前提となる知識・情報を適切な時期に知ることが重要です。
このため県では、大学生等を対象とした、妊娠・出産に関する医学的・科学的な知識や、パートナーと協働して行う子育ての大切さなどに関するセミナーを開催しています。
また今年度、高校生等に向け、仕事や結婚・出産等のライフイベントに関する正しい知識を解説する動画を作成し、学校や市町村等と連携して、多くの若い世代がライフデザインに活用できるよう周知してまいります。
(再質問)若者のライフプラニング支援に関し、ご答弁では、高校生や大学生、一般向けの動画配信やセミナー開催が中心とのことでしたが、公立中学校での結婚、出産を含むライフデザインに関する教育はどのように行われているのか、お答え願います。
【冨塚教育長】
公立中学校では、学習指導要領に基づき、保健体育科において、思春期での体の変化や、妊娠が可能となる体の機能の発達等について、また、技術・家庭科においては、家庭生活と家族の大切さ、家族・家庭の基本的な機能などについて学習しております。
さて、少子化対策を進めるうえで、新婚や子育て世帯に対して、子育てや教育にかかる経済的負担の軽減を進めることによって、お子様を一人でも多く生んで頂く政策が重要です。その一環として、私は今回特に、県営住宅における子育て世帯枠の拡充についてお尋ねいたします。現在本県には、令和5年3月末で15,680世帯が入居しておりますが、そのうち子育て世帯の入居率は2,348世帯と、全体の約15%に止まっております。一方で、県営住宅に入居する外国人世帯は940世帯あり6%を占めております。
県営住宅の入居要件を見ますと、子育て世帯は収入制限が緩和される裁量階層と、当選倍率が高くなる特枠該当者の両方に当てはまります。しかし裁量階層でも収入基準は世帯月収が214,000円以下に制限されており、対象世帯は相当限られてしまいます。
一方で、東京都は、結婚予定のカップルや子育て世帯が都営住宅や公社住宅に優先的に入居しやすくするため、若年夫婦や子育て世帯向け住宅の募集枠を月40部屋から150部屋へと大幅に拡充し、さらには結婚予定者向け住宅を年間250部屋新設しました。本県の子育て向け住宅は4月募集で8部屋、7月募集で10部屋に過ぎません。
また当選倍率も、本県は2倍で4回以上落選すると3倍になるのに対して、東京都は、子ども1人または2人で5倍、ひとり親世帯や子ども3人以上の多子世帯は7倍の優遇倍率になっています。こうした事例を参考にし、本県としても子育て世帯向けの住宅の拡充や月収制限など応募要件の緩和、当選倍率の引き上げなどに取り組む必要があると考えます。そこでお尋ねします。
県営住宅において、子育て世帯に対する支援を拡充すべきではないか。
答弁→
【小川都市整備局長】
県では、住宅に困窮する子育て世帯に対して、生活の安定を図ることができるよう、低廉な家賃で県営住宅を提供しています。
具体的な支援施策として、18歳未満の子どもを扶養している世帯に対し、子育て世帯限定の住宅を提供するほか、一般住宅の抽選時に優遇措置を講じています。さらに 小学校就学前の子どもがいる世帯には、入居資格の収入基準の緩和を行っています。
今後とも、地域の需要等を踏まえながら、限定住宅の提供戸数を増やすなど、子育て世帯がより入居しやすくなるよう取り組んでまいります。
【要 望】
県営住宅に関して、本県の子育て世帯向け住宅は、現状では千葉、船橋、野田、八街の四市のみとお聞きしています。浦安にも県営住宅は361部屋ありますので、是非とも本市にも取り入れていただくよう要望します。
③ 護岸整備について
次に護岸整備について質問します。
四方を海と川に囲まれる浦安にとって、水害対策は市民の安全の要です。旧江戸川護岸の耐震改修工事は、これまで大方完了し、あとは堀江船溜まり、通称「堀江ドック」を残すばかりとなりました。これまでの県のご尽力に感謝申し上げます。ただ、この堀江ドックについては、現在も施設内に多くの係留船や沈船が残されており、今後施設を整備するに当たって、県市が協力して撤去に取り組み、護岸耐震対策に早急に着手する必要があります。
そこでお尋ねします。
堀江ドック内の係留船や沈船の撤去に向けて、どのように対応するのか。
答弁→
【池口県土整備部長】
堀江船だまりは、昭和41年に整備されたものですが、現在、船だまり内の水域には、多数の係留船や沈船が残されています。
そのため、係留船等の撤去指導や撤去処分に向けて、県と市の役割分担などについて、協議を進めているところです。
堀江ドックにおける護岸耐震対策にどのように取り組むのか。
答弁→
【池口県土整備部長】
堀江船だまり(堀江ドック)周辺の護岸については、既に整備している上下流の高潮護岸と同様に、地震による浸水被害を防ぐため、耐震対策を図る必要があると考えています。
現在、浦安市と将来的な護岸の形状などの検討を行っているところであり、引き続き、耐震対策の早期着手に努めてまいります。
④水門・排水機場について
次に水門・排水機場について質問します。前述したように、四方を海と川に囲まれ、地盤の低い浦安において、市内にある水門・排水機場は洪水や高潮、内水氾濫を防ぐ上で重要な役割を果たしております。ところが、昨年会計検査院の調査によって浦安市において千葉県が管理する堀江排水機場の耐震不足が明らかになりました。この堀江排水機場の耐震対策については、先の令和5年6月議会において宮坂なお議員が質問されましたが、その際の答弁では堀江排水機場と境川排水機場について耐震設計を進めているとの事でした。そこで、その後の進捗状況について、県管理の水門と併せてお尋ねします。
堀江排水機場など浦安市内の県が管理する水門・排水機場における耐震対策の進捗状況はどうか。
答弁→
【池口県土整備部長】
浦安市内では、現在の耐震基準で耐震性が確保されていない堀江排水機場、境川排水機場について対策を進めており、耐震工事の際に支障となる設備の移設に係る設計が完了したことから、現在、移設工事の発注に向けた準備を進めているところです。
また、猫実川の猫実2号水門、境川の東水門及び西水門については、耐震診断を実施し、その診断結果に基づき必要な対策を講じてまいります。
【要 望】
設計業務完了次第、速やかな工事着手をお願い致します。
⑤災害対策について
次に災害対策について質問します。
旧江戸川と東京湾に囲まれ、かつて「陸の孤島」と呼ばれた浦安において、災害時における水上での物資、人員の輸送体制は重要な課題であると考えます。
東日本大震災では、浦安市の埋め立て地区の大部分が液状化し断水被害に見舞われましたが、その際、海上自衛隊の水船が千鳥護岸に着岸し、市内に生活用水を供給しました。特に浦安市は、東京都への通勤通学者比率が48.6%と県内で最も高い一方、ディズニーに一日平均8万人近くの観光客が来園することから、ピーク時における滞在人口は、人口17万人に対して平日で20万人、休日は25万人に達します。したがって、震災などの大規模災害によって都県を結ぶ橋が崩落し鉄道や幹線道路が遮断された場合、再び陸の孤島と化して物流が途絶し、大量の帰宅難民が発生する可能性があります。
もっとも、同様のリスクは都内への通勤率が高い本県沿岸部の自治体も共有しており、東日本大震災の翌年には、東京有明港から千葉港まで自衛隊の艦船で帰宅困難者を運び千葉港から県市職員が千葉みなと駅に誘導する訓練が行われたと承知しております。
昨年、浦安市は本県と協定を締結し、港地区に緊急用船着場を整備しました。総合防災訓練の際には、海上自衛隊の艦船から給水車に水を移したり、遊漁船から救援物資を陸揚し、市内に運搬する等の訓練が行われております。しかし、こうした取り組みは、個々の基礎自治体で行うだけではなく、日頃から都県といった広域自治体や湾岸地域における近隣自治体との連携協力体制を構築し、水上バスなどを使った帰宅困難者の輸送訓練を重ねるなどして有事に備える必要があると考えます。そこでお尋ねします。
大規模災害時における海上輸送について、県の考えと取り組み状況はどうか。
答弁→
【知事】
災害発生時に、道路や鉄道が被害を受けた場合、陸上輸送が困難となることから、海上輸送を確保することは重要であると認識しています。
このため、県の地域防災計画において、被災者の救援・救護活動や緊急物資の輸送に対処するため、港湾3施設、漁港4施設などを指定するとともに、県の要請に基づき、関東運輸局が船舶の調達、あっせん等の協力を行うこととしています。
また、九都県市や関西広域連合と船舶の確保について協力体制を構築しており、今後も国や関係機関と一層連携を図るとともに、輸送拠点や手段の確保を想定した訓練を行うなど、災害発生時に円滑な海上輸送が実施できるよう取り組んでまいります。
⑥道路問題について(新湾岸道・「若潮通り」今川橋東詰・西詰交差点、美浜西エステート前交差点の歩行者信号問題)
次に道路問題について質問します。
まず新湾岸道路についてお聞きします。新湾岸道路については、浦安市においても長年の懸案であり、私も物流機能強化と防災減災、国道357号の慢性的な交通渋滞緩和の観点から促進すべきと考えます。ただ、浦安市は沿線市で構成される期成同盟に加盟はしておりますが、現状では浦安市域は検討段階にも入っておりません。今後浦安での計画を具体化するに当たり、都県間の検討が肝になると思いますのでお尋ねします。
新湾岸道路の検討が進められているが、都県間を含む浦安市域の取組状況はどうか。
答弁→
【池口県土整備部長】
新湾岸道路の計画の基本方針では、国道357号の渋滞対策を促進することや、外環高谷ジャンクション周辺から、蘇我ならびに市原インターチェンジ周辺までの湾岸部において、ルートの検討を進めることなどが、示されているところです。
浦安市域については、国により国道357号の塩浜立体等の整備が進められているほか、県及び沿線市で構成される期成同盟会により「都県間についても検討を行い、計画を具体化すること」を、国等へ要望しているところです。
引き続き、沿線市と連携し、取り組んでまいります。
次に県道西浦安停車場線、通称「若潮通り」の交通問題について質問します。この「若潮通り」については、今川橋の東西にある交差点と美浜西エステート前にある交差点が平成30年に歩車分離式に移行してからというもの、歩行者の青信号が短くなり、交差点を利用する市民の方から、歩行者の青信号が短すぎて渡り切れない、赤信号の待ち時間が長すぎる、といった苦情の声を多数頂いております。特に今川橋交差点については、同じ青信号の内に東西の交差点を渡り切ろうとする自転車が交差点内を突進し、歩行者と交錯したり、美浜西エステートの様なスクランブル交差点ではないにも関わらず、斜め横断が常態化しております。
県警によると、同交差点での人身事故件数は、歩車分離式前の平成27年から29年までは、今川橋交差点で6件、美浜交差点で8件だったのに対して、移行後の令和2年から現在までは今川橋2件、美浜1件と一定の効果があった旨お聞きしております。しかし、その反面では、信号無視が横行して危険が増している上に、市民の交通利便性の観点からも、信号サイクルの見直しなど、早急に対策を講じる必要があると考えます。そこでお尋ねします。
まずは、県道西浦安停車場線、通称「若潮通り」の今川橋東詰交差点及び今川橋西詰交差点では、交通問題の改善に向けた検討が必要と考えるがどうか。
答弁→
【宮沢警察本部長】
ご指摘の両交差点は、県道を中心に自動車の交通量が多いことに加え、自転車と歩行者の交通量も非常に多いことから、県警としては、両交差点で歩車分離式信号を導入したことで、事故防止に一定の効果が得られているものと認識しております。
一方で、歩車分離式信号の導入後には、両交差点において自転車と歩行者の斜め横断が発生しているほか、道路利用者からは歩行者の青信号の時間の延長や、待ち時間の短縮などの要望が寄せられているところです。
そのため県警では、令和5年度中に両交差点において交通量調査及び分析を実施することとしており、これらの結果に加え、両交差点の交通実態や利用者の意見、要望を踏まえ、必要な改善を図ってまいりたいと考えております。
【要 望】
今回は、今川橋交差点についてご対応いただけるとのことでありますが、今後是非、美浜西エステート前交差点につきましても改良を検討していただき、一歩づつ着実に前に進めていただきますようよろしくお願いいたします。
⑦教科書採択について
次に教科書採択についてお聞きします。
いよいよ来年夏は、教科書改訂後における四年に一度の中学用教科書採択が行われます。私は、皇室を戴く我が国の伝統文化と固有の国柄に自信と誇りが持てる歴史公民教育を実現しなければならないと考え、そのために浦安市議会でも適正な教科書の採択を強く求めてきました。
現在、浦安市の教科書採択は、市川市との共同採択になっておりますが、私は浦安の教科書は、市民に選ばれた市長と議会が選任する教育委員が決定すべきとの考えから、単独採択への移行が望ましいと考えております。しかし、現在の採択地区である葛南西部採択地区では、教科書の調査研究を54人体制で行っており、仮に単独採択に移行した場合に単独での調査研究を行うと、多大の労力を要し教員の負担が増大する他、調査研究の質の低下が懸念されるとも聞いております。もっとも、本県は100人体制で調査研究を行っているとも聞いており、それぞれの採択地区で教科書の研究調査を行うことは非効率にも思えます。そこでお尋ねします。
市単独採択に移行した場合、市独自の調査研究を行わず、県の調査研究結果に基づいて採択を行うことは可能か。
答弁→
【冨塚教育長】
市町村の教科書採択については、公正性・透明性に疑念を生じさせないため、綿密な調査研究を行う必要があることから、県教育委員会では、市町村での採択が適切に行われるよう、全ての教科書の特徴を調査研究し、まとめた資料を提供しています。
市町村が単独で採択する場合、この資料の活用などにより、独自の調査研究を行うことなく、教科書を採択することは、制度上は可能となっています。
次に現在の千葉県の教科書採択では、教育委員会会議で教育長が提案した教科書に対して各教育委員が無記名投票で賛否を表する形で決定しております。しかし教育委員の表決は、本県の教育に大きな影響力を及ぼす上に、彼等の歴史観や国家観を映し出し、議会で選任する際の重要な判断基準にもなります。そこでお尋ねします。
県立中学校の教科書採択について、記名投票にすべきではないか。
【冨塚教育長】
会議での表決の方法は、千葉県教育委員会会議規則に「挙手」「記名投票」及び「無記名投票」の3種とすることが定められており、その都度、議案の内容を踏まえて、教育委員会会議で決めております。
これまでの県立中学校教科書採択では、外部からの働きかけに左右されることなく、静ひつな環境を確保し、公正かつ適正に行われることが求められていることを踏まえ、無記名投票となりました。
今後も、表決の方法につきましては、会議 規則に則り、教育委員会会議で決めることとなります。
(再質問)教科書採択に関して、答弁では静謐な環境な下での採択と仰いましたが、記名投票にすることの支障はないのではないでしょうか。例えば、最高裁判所裁判官の国民審査にしても、各裁判官の判決は国民による審査の重要な判断基準になりますが、その際に各裁判官の判決を公表することが静謐な裁判を阻害するとは言えません。そこで再度お尋ねします。
記名投票でも問題ないのではないか。
【冨塚教育長】
表決の方法につきましては、千葉県教育委員会会議規則に則り、議案の内容を踏まえて、教育委員会会議で判断することとなります。
本県の教科書採択において重要なのが「県立中学校教科書の採択に関する基本的な考え方」に示された五つの調査研究の観点であると思います。なかでも四番目にある「生徒が郷土や国を愛する心や誇りをもち、自信をもって郷土や国の特色・魅力を発信するとともに、グローバル社会に対応した資質・能力を育むための内容が充実しているか。」との観点が最も重要であると考えます。そこでお尋ねします。
県立中学校の教科書の採択に関し、今後、調査研究の観点を変える予定はあるか。
【冨塚教育長】
県立中学校で使用する教科書の調査研究に係る観点については、学習指導要領や県の教育施策、各中学校の教育目標等を踏まえ、採択に向けた調査研究を行う際に、教育委員会会議で決めております。
【要 望】
県立中学校の教科書採択における調査研究の観点については、4番目の観点を堅持するとともに、他の観点を付け加えるなどして、この観点を相対化させないように、また、埋もれさせないように要望します。
⑧外国人介護人材について
次に外国人介護人材についてお聞きします。
先般の行政調査団では、台湾の後、ベトナム・ハノイを訪れました。今年、日越国交樹立50周年の節目に、県議会の一員としてベトナム訪問の機会を得たことを光栄に思います。現地では、本県が実施する介護人材の留学生受け入れプログラムで協定を締結している日本語学校を視察致しました。本事業については先日市原議員も質問されましたが、慢性的に不足する介護人材を確保するため、本県が介護施設とのマッチングを行い、留学生の渡航費用や施設に就職するまでの学費、居住費を補助しています。令和元年に開始したプログラムでは、これまで4期184名の留学生が来日し、来年四月から一期生が介護施設に就職すると聞いております。
現地の学校を視察させて頂いた際には、まだ二十歳にも満たない若者たちが将来に夢を膨らませ目を輝かせておりました。しかしその一方で、学校職員の説明を聞くうちに一抹の不安を禁じえませんでした。というのも、学生たちは就職後に期待通りの収入を得られるのか。現在の円安物価高の日本で満足な生活ができるのか。思い描いていた理想と現実とのギャップに絶望し、離脱したり、怨みを遺して帰国する学生が続出するのでないかという不安です。なかには全国的に問題になっている技能実習生の様に、低賃金で過酷な労働を強いられた挙句、失踪したり犯罪に手を染める者が出ないとも限りません。そうなれば今後の日越関係に禍根を残すことにもなりかねません。
私は、安易な外国人労働力の受け入れには反対ですが、本県が誘致する以上は、介護施設とのマッチングで終わりではなく、就職後も彼等の境遇を責任を以て見守る必要があると考えます。そこでお尋ねします。
千葉県留学生受入プログラム終了後のフォローアップについて、どのように行っていくのか。
答弁→
【高梨健康福祉部長】
県では、外国人介護職員の交流の拠点となり、就労の促進や定着を目的とした千葉県外国人介護人材支援センターを設置し、英語・ベトナム語に対応できる外国人支援コーディネーターが、外国人介護職員の相談に対応しています。
また、外国人介護職員を雇用する施設向けに、生活支援等に関するセミナーや労務研修を実施するほか、外国人介護職員の交流会を開催するなどの支援を実施しています。
こうした事業を活用しながら、プログラム終了後のフォローアップを行い、介護現場で長く従事できるよう支援してまいります。
(再質問)ベトナム人留学生について再質問します。現地の学校職員の話によると、彼等は学生たちに日本の介護施設に就職すれば一年目で250万円、2年目で300万円、3年目で340万円の収入が得られると説明している様です。しかし介護職員の全国平均賃金は209,666円、千葉県でも223,530円との調査もあり、そのような収入が実際に得られるのか疑問です。そこで再度お尋ねします。
留学生の収入や労働環境についてどのように把握していくのか。
→答弁
【高梨健康福祉部長】
来年4月にプログラムの一期生が施設で介護福祉士としての就業を開始することから、事前に県で把握している受入施設の給料や待遇について、就業後の状況を各施設に確認してまいります。
⇒要望)留学生受入プログラムに関し、余談ではありますが、先日、成田市選出の雨宮しんご県議と共に、成田山新勝寺近くの永興寺(ようこうじ)にある柏原文太郎という人物の墓をお参りしました。柏原は、成田市出身の政治家、教育者であり、犬養毅や大隈重信らと共に、ベトナム独立運動の指導者で日本に亡命していたファン・ボイ・チャウやグエン朝のクォンデ王子を支援しました。また彼は、妻の安喜子と共に、ファン・ボイ・チャウが唱えた日本留学運動である「東遊(トンズー)運動」で来日した多くのベトナム人留学生の面倒を見たことから、彼等から「お父さんお母さん」と呼んで親しまれました。しかしながら当時の日本政府は、ベトナムの宗主国であるフランスとの間に日仏協約を締結し、彼等留学生に国外退去を命じます。ファン・ボイ・チャウは怨みを呑んで日本を逃れ、留学生の中には将来を悲観して自殺するものまで出たといいます。私はベトナム独立運動を支援した柏原文太郎は本県の誇りであると思うと同時に、政府の思惑に翻弄された彼らの無念を繰り返すような事があってはならないと願います。県当局におかれましては、こうした本県の歴史も鑑み、彼ら留学生の行く末に格別のご高配をお願い致します。
⑨観光誘客について
最後に観光誘客について質問します。
先の台湾視察では知事による観光誘客のプロモーションにも立ち会わせて頂きました。その上で、年間3千万人近くが来園する東京ディズニーリゾートを擁する浦安市として、県内への観光周遊を促す取り組みの重要性を認識しました。この問題についても先の6月議会で宮坂議員が質問されましたが、私からは、約12,000もの客室数を有する市内ホテルとの連携についてお尋ねします。
東京ディズニーリゾートを訪れる観光客の県内周遊を促すため、近隣のホテルと観光情報の共有を図るべきと思うがどうか。
答弁→
【野村商工労働部長】
県では、観光客の県内周遊を促進するため、県内各地の観光情報の発信のほか、鉄道周遊フリー切符の販売やデジタルポイントラリーなどを実施しているところです。
また、東京ディズニーリゾートを訪れる観光客にも、県内その他の観光地に関心を 持っていただくため、来場者が利用する主要駅等で 観光パンフレットを配布しているほか、団体ツアーを扱う旅行会社等に対して県内周遊の働きかけなどを行っています。
なお、ホテルなどにおける県全域の観光案内については、ホテルなどの立地場所や 営業方針などにより対応が異なるほか、観光情報の発信についても、客室テレビの活用など、様々な方法が考えられることから、今後効果的な情報共有のあり方について、宿泊施設関係者等と議論を深めてまいります。
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