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【考察】ドラマ『恐怖新聞』の最終回について

このしばらく見ていたドラマ『恐怖新聞』が、最終回を迎えました。
今回は、その最終回について、書いてみたいと思います。
文中にはドラマのネタバレを含みますので、知りたくない方は自己責任でお願いします。

『恐怖新聞』といえば、つのだじろうが描いたホラーマンガで、たぶん読んだことはなくてもざっくりとあらすじは知っている、という人も多いのではないかと思います。
実は私もそんな人間の一人でして、ドラマを見始めてから、ネット上でマンガの最後を知ったぐらいでした。
というわけで、マンガの方の詳しいあらすじは、こちらをどうぞ。
ドラマの方は女子大生の小野田詩弦を主人公に、突然恐怖新聞を送りつけられるようになった彼女の葛藤や周囲の人々との関わりなどが描かれて行きます。

で、最終回。


恐怖新聞を見ることによって寿命を削られた彼女は、老衰で死亡します。
そして、あの世の入口? っぽい場所で、配達人である鬼形礼から再び人間として生まれ変わるか、それとも恐怖新聞の配達人になるかの選択を促されます。
自分が配達人になれば、礼がまた人間として生まれ変われると知った詩弦は配達人になることを選択します。
そして月日は流れ、ある時、詩弦はかつて自分が助けた少女の元に新聞を配達することになりました。
少女は、配達人が昔自分を助けてくれた女性と知って、「こんなことをするのなら、なぜあの時助けたのか」と迫ります。
その言葉に胸を突かれた詩弦は、結局少女に新聞を渡さないままそこをあとにしました。
その結果、詩弦は鬼によって地獄に連れ去られてしまいます。
詩弦を地獄に連れて行った鬼は、礼でした。
礼は元人間ではなく妖怪・件(くだん)によって造られた操り人形で、詩弦に話したことは全て嘘だったというのです。

最終回を見た当初、私はけっこうショックを受けました。
まず、あんなにいろいろ苦しんだ主人公が、まったく救われない最後だったこと。そして、原作マンガの主人公である鬼形礼がここでは人間でさえなかったということに。
ですが、時間が経つうちに、あの最後に出て来た鬼形礼は、本当に鬼形礼だったのだろうか? と思うようになったのです。
まず、詩弦が選択を促された時、礼は言っていましたよね。
「もし契約者の元に新聞を届けられなかったら、恐ろしいペナルティがある」と。
そのペナルティが、この「地獄に落とされる」ってことだったのではないのか、と思いました。
そして、そうなると、あの礼が本物であるか否かは、怪しいぞ――と、思い始めたのです。

ドラマでずっと登場していた礼と、この最後に登場した礼が、本当に同一人物であるという保証はありません。
鬼と化した礼は、元人間という話は嘘である、と言います。
ですが、こちらが嘘である可能性も、あるではないですか。
少なくとも「鬼形礼」というキャラクターが原作マンガを受けてのものであるならば、彼が「元人間である」のは本当のことです。
つまり、鬼はペナルティの一環として詩弦を絶望させるために、「鬼形礼は件の操り人形であり、これまで見せた優しさや真摯さはもちろん、過去話も全てでたらめである」と言ったのではないか――と、私は考えたのです。

もちろん、これはあくまでも私の考えにすぎず、ドラマの製作者たちが意図したのはまさに描かれたとおりの最後であるかもしれません。
また、礼が人であろうと鬼であろうと、結局救いのない最後だったことに変わりはありませんしね。
ただ、最初の方の詩弦が礼を隣の部屋の病弱な息子だと思い込んでいろいろ話すシーンの二人のやりとりがなんとなく好きだったので、礼は元人間だったと私自身が思いたいだけなのかもしれません。
ちなみに、あのシーンはどっからどう見ても礼は「あやかしだろう」と思える雰囲気で、このキャラがこのあとどう話に関わって来るのかと、ワクワクさせられました。
まあ、こんなやりきれない話になるとは、思ってもいなかったですけれどもね。

というわけで、最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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織人文
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