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ニーアシリーズは対の存在で構成されている。

先日、アニメ『ニーアオートマタVer1.1a』の放送が再開され、一挙に4話分が放送されて、シーズン1が終わりました。
そちらの感想は、昨日ブログに書いたので、そちらを見ていただくとして……。

見終わったあとに、あれこれ考えている時にふと気づいたことがあるので、今回はこれについて書いておこうと思います。
念のため書いておきますが、これはあくまでも私の勝手な考察にすぎませんので、そのあたりは、ご理解下さい。

さて、気づいたことは何かと言いますと、タイトルにも書いたとおりで、ニーアシリーズは対の存在によって構成されているのだな……ということでした。
『対の存在』。
ペア、ですね。

オートマタでいうと、2Bと9Sとか、2Bとポッド042とか……あるいはアダムとイブとか、デボルとポポル。
ペアだったり、コンビだったり、二人一組で、離れがたくて、どちらか一方がいなくなると、もう一方も成立しなくなるもの――ニーアシリーズって、そういうもので構成されているのだなと、そんなふうに思ったのです。

きっかけは、アダムとイブでした。
ゲームではアダムが途中で死んで、イブが残され、A・Bエンドのラスボスとなります。
アニメでは、イブが途中で死んで、アダムが残され、やはりラスボスとなりました。
アダムとイブは、一見すると双子のようですが、性格は違います。
アダムはクールで、イブに対して突き放しているように見えます。ゲームの方では、自分が死を体験したいがために2Bと戦って死亡します。あとに残されるイブのことなんて、考えてなかったのではないかと思われます。
一方のイブは、粗野で、考えるより先に行動するタイプです。そして、兄であるアダムが大好きです。アダムこそが世界の全てと言っても過言ではありません。
そんなイブなので、兄を失い、失意のどん底に突き落とされて、狂い、暴走し、ラスボスとして2Bたちの前に立ちはだかります。
ですがアニメでは、彼は兄を守るために死亡します。
そして、彼を失ったアダムは、今までのクールさを失って、やはり狂って暴走します。
その姿は、私にレプリカントでのポポルの暴走を思わせました。
結局、二人はどちらが残ってどちらが死のうとも、片割れを失うことによって残った側が狂って行くのは、同じなのかな……とも思いました。

それでふと、ニーアシリーズ、更にはその前の『ドラッグオンドラグーン』にまで考えを広げてみました。
そして、片方がいなくなると壊れてしまうペアが、案外多いのだということに、気づいたのです。

レプリカントではそもそも、ゲシュタルト体とレプリカントの関係自体がそうです。
ゲシュタルト体が消滅すると、それに対応した遺伝子を持つレプリカントは、黒文病になって死んでしまいます。
この設定から、主人公ニーアと魔王ニーアは対ですし、ヨナとゲシュタルト体ヨナも対になっています。
もちろん、キャラクター同士もオートマタと同じく、いくつものペアが存在しています。
双子のアンドロイドのデボル・ポポル、エミールと姉のハルア、カイネとテュラン、そしてニーアとヨナ。
どのペアも、共に存在していなければ、おかしくなってしまう――そんな感じの部分があります。
カイネとテュランはそこまででもなかったのかな……とも思えますが、テュランは最後、カイネを助けてほしいとニーアに懇願しています。

対の存在が共にいなければ、狂ってしまう――それは、もしかしたら「人は一人では生きていけない」ということを抽象化したものなのかもしれません。
ただ、二人だけでは、世界は閉じてしまう――ようにも思います。
タロットカードでは、1は全ての始まり、2は陰陽・調和、3は創造・コミュニケーションといった意味があるとされています。
実際、『物語』はどういう視点で語るにせよ、登場人物が三人いてはじめて、広がりを見せるように思います。

ゲームのオートマタが、多くの人に受け入れられた要因の一つは、その最後Eエンドが、2Bと9S、二人だけの生還、二人だけの完結ではなかったからなのではないか……と今回思いました。
オートマタには、A2という、「三人目のヨルハ」がいて、彼女はバンカーや人類会議とは別の思惑を持って行動し、そして最後は彼女もまた、生還を遂げています。

二人が基準だった『ドラッグオンドラグーン』から、同じく二人が基準で、でもニーアがカイネのために自らの存在を捨てる『ニーアレプリカント/ゲシュタルト』を経て、二人+一人で生き残る『ニーアオートマタ』へ。
ある意味これは、進化? 変化? と言っていいのかもしれません。

でもだとしたら、『ニーアリィンカーネーション』は、いったいどんな道を進むのだろう……と少し楽しみにも感じるのでした。

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織人文
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