ジャックデッキの歴史を5D's当時から使い続けるオタクが語る【レッド・デーモン】

はじめに

こんにちは、ORIHUBONです。
タイトルの通り、この記事ではジャックデッキの歴史を語っていきます。5D's放送当時、筆者は小学生で、ジャック・アトラスが大好きだったのでデッキも組んでいました。あれから紆余曲折を経た十余年、今では大会で結果を出す構築が散見されるほどの強さを持つに至り、環境で見る機会もそれなりに増えました。もちろん私も使っていますが、歴史を知っている筆者からすると、ジャックデッキが強い、という事実だけでご飯3杯はいけるほどの感慨があるのです。この感慨をどこかに書き記したく、あわよくば他の人にも知ってもらえれば、と思ってこの記事を書きました。

なぜわざわざ歴史を書き記すのか?と言うと、ジャックデッキは時代によって構築の考え方が全く異なります。時代によってあっちに行ったりこっちに行ったりして、2023年に現在の方向性へと固まりました。環境的に日の目を浴びるようになったのはその2023年からなので、それ以降のジャックデッキしか知らないという人も少なくないと思います。この記事を読んで、筆者の感慨が少しでも伝われば幸いです。


2008/4~2011/3(5D's放送当時)

5D's当時のジャックデッキは、一言で表す事ができます。ズバリ、「紙束」です。

はい。残念ながら当時のジャックデッキは、もはやデッキと呼べるかどうかすら怪しいほど、デッキとしての纏まりが一切ありません。一体どういう事なのか、解説します。

弱すぎる基本展開

この時代のジャックデッキがやることと言えば、アニメの様にバイス・ドラゴンを特殊召喚して、ダーク・リゾネーターを通常召喚し、レッド・デーモンズ・ドラゴンをシンクロ召喚、ターンエンド。冗談抜きでこれだけです。あまりにも弱い。

アニメを見ていないと聞いた事が無いようなカードが出てきたので、一応説明。こんなカードです。↓

当時は謎にプロモカード。リメイク待ってます
もはや実質通常モンスター

基本的には上記の様に、「特殊召喚できる星5」+「星3チューナー」の組み合わせでレッド・デーモンズ・ドラゴンを出します(というか、それしか出来ない)。当時の特殊召喚できる星5と言えば、以下のカード達です。

今でも有名。バイス・ドラゴンの上位互換
先攻でも出せる、それだけで輝く

あれ?ジャックと全く関係なくない?

そうなんです。5D'sアニメにおいて「1ターンでレッド・デーモンズを出す」場合、ジャックはバイス・ドラゴン+ダーク・リゾネーターの組み合わせばかり使います。そのため、他にまともなシンクロ補助モンスターが居ません。

え?だってシンクロテーマでしょ?と思う方に、ジャックがアニメで使用したモンスターを紹介します。

弱すぎるアニメ産モンスター達

ジャックが使うモンスターですが、とにかく弱いです。仲間の遊星やクロウは特殊召喚できるモンスターを多用し、シンクロ召喚へ繋げていきます。しかし、ジャックが使うモンスターはとにかく単体性能重視で、まるでエクストラデッキが無いかのようなモンスターばかり使います。

それでは、どんなモンスターが居るのか見ていきましょう。

別に高くない打点でデメリット付きの貫通
その打点で2回攻撃?の貫通
また貫通かよ!
チューナーまで貫通!打点も低すぎる

筆者が個人的に「貫通四人衆」と呼んでいるモンスター達です。展開補助モンスターは全然使わないのに、貫通モンスターはめちゃくちゃ使います。ちなみにこの当時の時点で弱いです。

他にも見ていきましょう。

装備魔法で良いだろ
これも装備魔法で良いよ
何がしたいんだコイツは
アニメの印象だけは一流

いや〜、酷いですね。この通り、展開なんて知らんと言わんばかりのモンスターがほとんどです。

強いて言えば、このカードでしょうか。

う〜ん、ギリギリの性能…

このカードはシンクロ補助モンスターと言えなくはないです。ただし、自身のレベルが捨てたモンスター依存であるため、手札コストさえ自由には捨てられません。これなら先ほど特殊召喚できるレベル5モンスターとして挙げた「THE トリッキー」で良いです。

結論を述べると、まともにレッド・デーモンズの召喚を補助できるモンスターはバイス・ドラゴン以外は居ないと言っていいです。ここで挙げたモンスターが全てではありませんが、もう全員こんな感じなのでこれ以上は辞めておきます。

まず当時のレッド・デーモンズ・ドラゴン自体が全く強いカードではないのに、それを出すのも一苦労、そして出せた所で何にもならない。これが放送当時のジャックデッキでした。本当に絶賛放送中なのか疑ってしまいます。

スカーレッド・ノヴァ・ドラゴンの登場

物語後半から、レッド・デーモンズの進化形態としてスカーレッド・ノヴァ・ドラゴンが登場しました。軽く5000を超える高打点&効果破壊耐性があるため当時は割と強い方で、切り札としての格は十分あったと思います。

強制脱出装置だけは辞めてください

しかしながら、強いと言ってもそれは出せれば、の話。レッド・デーモンズを出す事すら精一杯の現状で、このカードを出すなんてとてもとても…。

まずレッド・デーモンズのシンクロ召喚で手札2〜3枚を消費しているのに、そこからチューナー2体を出さないといけない。そもそも、星5+星3チューナーの基本展開に全く貢献しない星1チューナーを採用しなければ、スカーレッド・ノヴァに繋がらない。そのうえ、レッド・デーモンズのデメリット効果のせいで、攻撃力の低いチューナーはターンをまたげない。の三重苦です。

一応、スカーレッド・ノヴァの召喚を補助するカードも登場します。まずは「クリエイト・リゾネーター」です。

え、よわ…

まずレッド・デーモンズを出すのが一苦労だと言ってるだろ!とツッコミたくなります。

いやいや、まだサポートカードはあります。スカーレッド・カーペットです。

え、よわ…

だからレッド・デーモンズを出すのが一苦労だと言ってるだろ!!!!

え、よわ…

だから!!!レッド・デーモンズを!!!

はい。まずレッド・デーモンズ・ドラゴンをシンクロ召喚する段階でつまずいているというのに、それが既に成功している前提のカードばかり登場します。どうすりゃいいんだ

待望のサーチ魔法が登場

そんな状況の中、遊戯王5D'sの放送も終わりが近づいてきた頃、ついにジャックがサーチ魔法を使用します。

書いてる事は強そう

同名縛りもコストも制約も無いという、サーチ魔法としてはこれ以上無いほど完全無欠のカードですが、この時代はサーチするリゾネーター側が弱すぎるためこのカードも弱いです

ちなみに5D's最終回のラストデュエルでは、やっとまともなシンクロ補助モンスターが何体か登場し、ジャックデッキ強化かと思いましたが、この当時は一切OCG化しません

ジャックデッキを3年使い続けたアウラ
(出典:「葬送のフリーレン」第10話)

この時代の総括

以上を総括すると、「レッド・デーモンズ・ドラゴンの召喚が精一杯にも関わらず、召喚した所で何も出来ないし、それなりに強い進化形態も出す余裕が無い」という事です。

テーマやカテゴリとすら呼べない、文字通りの紙束だった名残が、【レッド・デーモン】でも【リゾネーター】でもなく【ジャックデッキ】という呼称です。今となっては呼び方が3種類あって表記揺れがすごいことになっています。

2011/4~2014/3

一言で言えば、氷河期時代です。新たな召喚法、エクシーズ召喚と共に新番組・遊戯王ZEXALが開始し、遊戯王5D'sの放送が終了しました。当然ながら、もうジャックがアニメで新しいカードを使う事は無いわけです。使った所で弱いけど

【デーモン】の強化

新規と呼べるものは殆どありませんが、強いて言えばジャックとは一切関係の無い大昔のテーマ「デーモン」にスポットが当たり、たまたま名前にデーモンが含まれているレッド・デーモンズもその影響が少しだけありました。

このカード自体は5D's前からあります

今見ると信じられないくらい弱い罠ですが、これでも採用が検討されるくらいのパワーだったと思ってください。

【征竜】環境での注目

余談ですが、ジャックデッキとは一切関係の無い所で、レッド・デーモンズ・ドラゴンが環境レベルの注目を浴びる事がありました。それが伝説級の環境破壊テーマ、【征竜】です。

このテーマはレベル7の大型ドラゴンを中心として、ランク7エクシーズやレベル8シンクロで攻めるデッキです。当時は征竜ミラーも多く発生していたため、特に強かったランク7エクシーズ2体に対し、レベル8シンクロのレッド・デーモンズ・ドラゴンが未だかつてない噛み合いを見せたため、征竜で採用されるようになりました。その2体が以下。

生成したトークンで色々できる
単純に強いコントロール奪取

特殊召喚したトークンにより破壊耐性を得るドラゴサックに対して、守備表示モンスター、つまりトークンを一度の攻撃で全て破壊するレッド・デーモンズが有効に働きました。さらに、ビッグ・アイはコントロール奪取効果を使用すると攻撃できなくなるため、レッド・デーモンズを奪うとビッグ・アイが破壊されてしまうのです。

【征竜】は基本的に最大打点が2800であるため、それよりも攻撃力が高いというのも大きな評価点でした。素材縛りの無いレベル8シンクロでこの打点を超えているのがレッド・デーモンズくらいだった事も相まって、相手のビッグ・アイで奪われにくい高打点モンスターとして、征竜がミラー意識で採用するカードにまで昇格しました。

あまりにも短い栄光

しかしながら、この栄光は長くは続きません。そもそも他テーマの栄光に乗っかってただけ

今までは、前述の通り素材縛りの無いレベル8シンクロで2800打点を超えているのがレッド・デーモンズくらいだったから使われていたに過ぎません。注目されてから間もなく、ライバルが登場します。

もう一人のボク

はい。アニメが終わっても続いていた、漫画版遊戯王5D'sに登場したレッド・デーモンによって、皮肉にも原典のレッド・デーモンズはその座を奪われる事になります。

先ほどはドラゴサックやビッグ・アイへの対策として有効だったからと述べましたが、同じ打点かつ、より汎用的でより強い効果のカードがあるならば、そちらが優先されるのが非情な現実という事です。まあジャックデッキとしては普通に強化されてるので、嬉しいんですけど。

ちなみに漫画版のジャックが使ったカードはこの時代にはあまりOCG化されておらず、その中で有用なカードも上述のレッド・デーモンくらいしか無いので、この項では割愛します。

この時代の総括

ジャックデッキとは全く関係の無いテーマの話で水増しみたいな形になりましたが、結論ほぼ何も無かったです。漫画版のレッド・デーモンがOCG化したくらいでした。

2014/4~2017/3

遊戯王ZEXALの放送が終了し、遊戯王ARC-Vの放送がスタートしました。新たにペンデュラム召喚が登場し、OCGは大インフレ時代を迎えます。今まで見向きもされていなかった融合召喚、儀式召喚、果てはアドバンス召喚までが環境までのし上がりましたが、ジャックデッキには一切関係ありません。また氷河期時代…と思っていた所に、革命が起きます。

大革命

出典:「遊戯王ARC-V」第64話予告

そうなんです。なんと遊戯王ARC-Vにジャック・アトラスが登場しました。

先ほども述べたようにOCGは大インフレ時代に突入しており、アニメにジャックが登場した事で、その恩恵を多く受ける結果となりました。このARC-V版ジャックについては賛否両論ありますが、少なくともジャックデッキという面においては大成功であったと言っていいと思います。

大量の新規カード

チューナー側に特殊召喚効果あるだけで凄い
えっ非チューナーも特殊召喚効果を!?
新たなレッド・デーモンズも登場

アニメ産カードはもちろんの事、アニメへの登場を受け、当時OCG化されなかった5D's最終回のカードや漫画版のカードも次々とOCG化されていきます。

今でも採用される便利なカード
やや使いにくいが貴重な特殊召喚効果
召喚権を使うが1枚でスカーレッドを狙える
普通にめちゃくちゃ強い
弱めのディス・パテル
禁止カードもこの時期に登場しました

当時OCG化されなかった事が逆に功を奏し、インフレの波に乗る事ができました。

さらに、今後のジャックデッキの方向性を定める革命児が現れます。

革命児 レッド・ライジング・ドラゴン

マジでありがとう

アニメにも漫画にも一切登場していませんが、Vジャンプの応募者全員プレゼントとして登場したカードです。

このカードの登場によって、ジャックデッキの「特殊召喚できる星5」+「星3チューナー」=レッド・デーモンズ・ドラゴンという基本が根底から覆り、「星4」+「レッド・リゾネーター」=レッド・ライジング・ドラゴン、効果でレッド・リゾネーターを蘇生してレッド・デーモンズ・ドラゴンとなり、完全に別物となりました。

さらに新規はまだ続きます。漫画版のカードがプレミアムパックで2015年、2016年と連続でOCG化されました。

特殊召喚条件が緩すぎる(ジャック比)
展開に加えて後続確保まで出来る

この時代の総括

OCGがインフレしている時にジャックがアニメへ登場したおかげで、その恩恵を大いに受けた時代となりました。5D's時代が嘘のように展開効果を持つ新規を大量に貰い、紙束からファンデッキレベルへと昇格しました。

今までのジャックデッキからすると、まともな効果の新規が出るだけで泣いて喜ぶほどですが、同時期に登場したカードと比べて特出して強いわけではないので、ファンデッキ止まりではあります。それでも、ジャックデッキがまともにデッキらしいデッキになっているだけで、とても嬉しかった記憶がありますね。

2017/4~2020/3

ジャックが登場した遊戯王ARC-Vも放送が終了し、新たな召喚法・リンク召喚を引っさげ遊戯王VRAINSが放送開始しました。

ここで、当時やっていた人なら誰もが覚えているであろう、いわゆるリンクショック事件が起きます。

リンクショック事件

ヤバい(ヤバい)

フィールドにエクストラモンスターゾーンが新設され、融合・シンクロ・エクシーズモンスターは、リンクモンスター無しでは1体しか出せないという大幅なルール改定が行われました。

これにより、複数のエクストラモンスターを並べるデッキは根底から崩壊しました。界隈は荒れに荒れ、引退者も続々と現れはじめます。この時期は本当に暗黒期と言っても過言ではないほどの有様でした。

しかし、ジャックデッキはまだ希望が見えている方でした。レッド・デーモンズ・ドラゴンをどんどん強化していく、という方向性が故に、元々シンクロが最終盤面に1体しか居ない事も多かったからです(そもそもシンクロを2体並べる程の展開力が無かったとも言える)。

さらにはレッド・デーモン・ベリアルの蘇生効果もあるため、レッド・デーモンを2体並べる事も可能でした。展開力が無かったから逆に助かった、という悲しいのか嬉しいのか分からない現象ですが…。

そんな中、1枚でレベル8シンクロを出せるカードも何枚か登場し、安定感も少し出てきました。

レベル8シンクロの安定

バスター・モード強化
レッド・デーモンズ/バスターは弱すぎて無理
ゴドウィン新規だけど実質ジャック新規

どちらも素引きしたくないカードを採用せざるを得ないのがネックですが、それでも1枚でレベル8シンクロを出せるため安定感の向上に貢献してくれるカードなので、採用される事が多かったと思います。

さらに、2019年末~2020年初に掛けて、今後のジャックデッキにとても大きな影響を与える新規が登場し、ようやくデッキの終着点が定まりました。

最終盤面の確立

2019/12発売のLEGENDARY GOLD BOX、2020/1発売のエターニティ・コードで、ジャック新規が何枚か登場しました。

まさかのトリプルチューニング
トリプルチューニング補助
あんまり強くない
あんまり強くない2
めちゃくちゃ強い!!!

特にクリムゾン・リゾネーター+レベル4からスカーレッド・スーパーノヴァ・ドラゴンを召喚するという明確な展開ルートが産まれた事が大きく、ここにもう1体レベル4を追加できるとスーパーノヴァ+レッド・デーモン・アビスの上振れ展開となり、制圧盤面という概念がようやくジャックデッキにも実装されました。(この時はリンクモンスターが居ないと並べられないため上振れ展開できないのですが、すぐに出来るようになるためここで触れています。詳しくは後述。)

汎用性のあるモンスターの出張

さらに、この展開で使うレベル4モンスターは非チューナーであれば何でも良く、召喚権も使う事ができる点から、環境や構築に合わせて自由にカスタマイズできるという特徴がありました。使われていたレベル4は様々あり、呪眼などのテーマと混ぜる構築もありましたが、本記事では純構築で採用されていた代表的なカードを取り上げます。

同じエターニティ・コードで登場
素引き腐らない&後続確保が偉い

チェイム召喚時にお片付けをサーチする事で、チェイム単体でも妨害となり、レッド・ライジングを手札誘発で無効にされても1妨害は構えられるため、環境によらず採用するならこのカードという印象でした。

懐かしのモンスター

シンクロ素材としつつ風来王ワイルド・ワインドをサーチする事で、基本展開にレベル4を追加する上振れ展開を狙える黒き森のウィッチもよく採用されていました。増殖するGもサーチできるなど先攻展開を強められるカードですが、単体では何も出来ず誘発貫通もできない点が弱いです。

相剣が流行った時に

チューナーのトークンを生成してシンクロ召喚するテーマ【相剣】が環境に居た時は、そのメタカードとしてサイドデッキによく採用されていたトークンコレクターですが、ジャックデッキならばメインデッキから採用する事が出来ました。

この時代の総括

初動の安定感や誘発貫通、後続確保など課題は多くあるものの、ようやく強い最終盤面が作れるようになり、大きな前進となりました。この時代に登場したカードは、2024年現在でも展開の基盤となっているカードもあり、ジャックデッキにとって歴史の教科書に載せてもいいレベルの革命が起きたと言えます。

2020/4〜2023/3

遊戯王VRAINSが少し早い2019/9に放送終了してから半年ほど、新たな遊戯王・ラッシュデュエルが発表され、それを扱うアニメ遊戯王SEVENSが放送開始されました。これを持ってOCGを扱う新作アニメは終了し、OCGにも変革がもたらされる事となります。

リンクショックの終焉

とにかく安堵

リンクモンスターが居なければ1体しか展開できない、というルールが廃止され、2017/3以前のルールへと戻りました(ペンデュラムは除く)。これにより展開系のデッキは息を吹き返し、なんなら召喚できるモンスターゾーンが1つ増えた事で以前よりも展開力が上がるテーマもありました。

ジャックデッキも、前述したスーパーノヴァ+レッド・デーモン・アビスの上振れ展開が出来るようになり、成立さえ出来れば環境でも十分通用する最終盤面を獲得しました。

さらにこの後すぐ、非常に強力な新規カードが登場します。

混沌魔龍カオス・ルーラーの登場

強すぎて禁止になってしまいました

史上最強のレッド・デーモンズ・ドラゴンこと、混沌魔龍カオス・ルーラーです。

先攻で出しても全く意味が無いレッド・デーモンズ・ドラゴン達と違い、カオス・ルーラーは大量のアドバンテージを稼ぎつつ蘇生効果まで持っており、召喚しない試合は無いほどお世話になりまくったカードです。

このカードの非常に強い所は、スカーレッド・レインが落ちてくれればそれを回収して最終盤面の妨害を増やせる点、クリムゾン・リゾネーターに灰流うららを使われた場合にシンクロ召喚し、シンクローン・リゾネーターを拾えればレッド・デーモン・アビスに繋がる点があります。

さらに先述した使神官-アスカトルなど、1枚でレベル8シンクロを召喚できるカード達も、このカードの登場により大きく価値が高まりました。クリムゾン・リゾネーターを拾えば通常召喚から展開できますし、エフェクト・ヴェーラーを拾って妨害を増やしたりする事もできます。運要素はあるものの、拾えるカードの範囲があまりにも広すぎるため、どれかは拾えるのが非常に強かったです(過去形)。

深淵の獣(ビーステッド)の登場

2024年現在でも環境でよく見るカード、深淵の獣(ビーステッド)もジャックデッキと相性の良いカードです。というよりカオス・ルーラーと相性が良い

ビーステッド代表

汎用的に使われるカードですが、レベル2チューナーでレベル8シンクロを扱うジャックデッキには、レベル6で特殊召喚できる展開札としても有用であり、カオス・ルーラーで拾うカードとしても強かったです。

少し遅れて登場した強力なシンクロ

カオス・ルーラーやスカーレッド・レインで能動的に除外できるため効果も使いやすいです。特殊召喚、破壊、無効とシンプル強い事しか書いてないですね。

この時代の総括

新規と呼べる新規はカオス・ルーラーとビーステッドくらいしかありませんが、それらが環境レベルで強すぎるため十分な強化を貰えたと言えます。

2023/4〜

魔境だった2022環境も大量の規制により終幕し、新たな時代が始まりました。この時代の最初のパック(デュエリスト・ネクサス)では、遊戯王5D'sの主人公・不動遊星が使用したテーマの大幅な強化があり、さらにはシンクロ召喚をプッシュするような公式の動きが散見されるようになりました。

これはジャックにも何かあるんじゃないか?そう期待していた所、とてつもない大スクープが流れ込んできます。

ストラクチャーデッキ「王者の鼓動」

https://www.yugioh-card.com/japan/products/sd46/

ヮ…泣いちゃった…

このストラクチャーデッキの登場によりジャックデッキは大幅に強化され、構築も大幅に変化が起こりました。これ以降、大会での入賞/優勝報告も見られるほどのポテンシャルを獲得しています。

大感謝
(出典:HUNTER × HUNTER 第291話)

基本展開の変化

ストラクチャーデッキの新規により、基本展開が今までのクリムゾン+レベル4から大きく変化し、全くの別物となりました。

新たな基本展開は、この新規2枚を使ったものになります。

元の面影0

召喚時に下級悪魔族をサーチするソウル・リゾネーターと、そこからサーチしてシンクロ召喚に繋げられるボーン・デーモンが登場しました。

これによりクリムゾン+星4が手札に揃っていないと何も出来ないという状況が改善され、ソウル・リゾネーター1枚から展開が可能になります。このソウル・リゾネーターに召喚権を割く動きが強いため、今までのクリムゾン+レベル4の動きはほぼ使われなくなりました。

まだまだストラク新規は続きます。

新たなレッド・デーモンズ
僕の考えた最強のジャック新規

スカーレッド・デーモンは墓地へ送られるとレッド・デーモンズ・ドラゴンを特殊召喚する効果があり、それがS素材としてなら相手の攻撃表示モンスターを破壊する事ができます。

S素材の確保や相手モンスターの除去はもちろん、相手の超融合で盤面のモンスターが全て吸われてもレッド・デーモンズ・ドラゴン名称が場に残る点も優秀です(理由は後述)。

クリムゾン・ヘルガイアは、全ての効果が強いです。ソウル・リゾネーターをサーチできるため初動となり、レッド・デーモンズ攻撃時に裏守備に出来るため相手モンスターの全滅や破壊耐性の貫通、さらに墓地から蘇生する効果もあり、全てに無駄が無いです。

この2枚は、ストラク発売前は採用価値が無かったと言っても過言ではない原典のレッド・デーモンズ・ドラゴンを、大会向け構築でも2枚採用が主流になるほど救済します。本当にありがとうね。

この時点でかなり強くなっているのですが、まだストラク新規はあります。

簡単すぎる特殊召喚と簡単すぎるサーチ
やや癖はあるが小回りの効く妨害
あまり強くないが発動条件の緩さがウリ

新たな罠2枚はテキストに「レッド・デーモンズ・ドラゴン」の文字があるため、ヘルガイアやヴィジョンで展開しながらサーチし、最終盤面に追加するのが基本の動きになります。

また、ボーン・デーモンでヴィジョンを墓地へ送ってヘルガイアをサーチすれば、そこからソウルをサーチして初動とする事もできます。(この展開はクリムゾンを墓地へ送れないため通常より弱めの展開になります)

デモンズ・ゴーレムはそこまで強い罠では無いのですが、相手の手札誘発でシンクロ召喚が出来なかった場合などでも使えるため、最低限の妨害を構えられるという点で採用されるケースが多いです。

増えすぎる初動

実はストラクが発売する2週間前に、このストラクと相性の良いカードが登場していました。ソウル・リゾネーターをはじめ、全てのリゾネーターをサーチできます。

デメリット仕事してない

ストラク以前のジャックデッキは、1枚初動ゼロ、2枚初動すら揃うか怪しいうえ、揃った所で誘発1枚で止まり、厳しい制約があるため誘発ケア展開も難しい状況でした。

それが、ストラク発売以後は前述したボーン・デーモンの弱め初動も含め、脅威の初動15枚体制となります。

多すぎる

これに加えて、ボーン・デーモンを墓地へ送れる「おろかな埋葬」や「煉獄の災天」、汎用サーチの「スモール・ワールド」や「金満で謙虚な壺」等も初動札として採用する事ができます。故に理論上の最大枚数は以下の通りです。

多すぎる!!!!

当然ながら実際は全て採用される事はなく、この中から初動の適正枚数(個人差)を選んで採用していきます。

新たな新規、新たな展開

まだまだ新規は止まりません。

漫画版から魔改造

ソウル・リゾネーターに誘発を打たれた場合、ボーン・デーモンを素引きしていないと貫通できない状況を打破したカードです。基本展開とは異なる展開になりますが、十分強い展開ができるため問題ありません。

このカードの登場により、サーチ手段が無かったスカーレッド・レインに触れるようになり、無理なく採用する事が出来るようになりました。また、基本展開+フレイム・クライムで上振れ展開も可能になり、このカード1枚でしっかりと課題を解決してくれました。

新規の尻すぼみ

この後も新規が2枚登場しましたが、急に全てのやる気を失ったのか全然強くありませんでした。

いつの時代のカード?
発売前で転載禁止のため勘弁

この時代の総括

ストラクチャーデッキの発売と相性の良い強力な新規を貰い、現在に至りました。新たな基本展開と過剰なまでの初動により、安定感に加えて誘発貫通力もそれなりに手に入れ、環境でも十分戦っていけるテーマとなりました。

最後に

さて、ジャックデッキの歴史を振り返ってきました。当時の弱すぎる時代を知っているからこそ、環境で戦う今の姿に感動してしまいますね。今後も何かあれば追記していこうと思っていますので、KONAMI様、新規の方よろしくお願いします。強いやつで!

完全なる余談
現在放送中のアニメ「遊戯王ゴーラッシュ!」で、推しの六葉アサカがめちゃくちゃカッコいいので、よければ見てください。

イケメンの女が好き
(出典:「遊戯王ゴーラッシュ!」第95話)


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