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豆知識⑤ ややこしい経済学の派閥②

さて、それでは、ちょっと主流派経済学の方面をもう少し詳しく、ただし豆知識ですので、大雑把に見て行きます。

相関図では主流派経済学(青)ニューケイジアン、という学派があります。
左側にもポストケインズ、という学派があります。

この右側の青色のニューケイジアンはアメリカを中心に発展した学派ですが、元々はオールドケイジアン(ネオケイジアン)と呼ばれる学派が祖となります。

実はこの学派は

ケインズの理論の中核「有効需要の原理」を「主流派経済学的な文脈で解釈し、理解する」

ということを基本としており、

ケインズ経済学を必ずしも肯定的に継承している学派ではありません。

研究者たちは否定するでしょうが「反ケインズ的」な要素を含んでいます。

特に、ケインズの有効需要の原理の「不確実性」な部分を「何とか数学的に確実なもので証明することができないだろうか?」
という模索の結果、肝というべき「人間の不確実性」を「無視してしまおう」とする、

ある種の「ケインズ系の視座の排除」を前提としてしまう傾向があります。

本人たちは「ケインズの後継」を自認して「ケイジアン」を名乗っているのでしょうが、寧ろ

ケインズを否定する「ケイジアン」
オールドケイジアン(ネオケイジアン)
ニューケイジアン

という名称的に極めてややこしい存在が生まれてしまっています。

結果、ジョン・メイナード・ケインズを祖とするケインズ経済学は、「ケインズ革命」と言われる新たな経済学分野を創設した偉人にも関わらず、現時点では、

経済学の非主流の「異端派」としての扱い

となってしまっています。

因みに、この主流派のニューケイジアン的な人たちが提唱する学説から、日本の不況対策には効果を発揮しなかった

「リフレ理論(リフレーション理論)」

という理論も誕生しました。

逆説的に言うと、
主流派経済学というのは「数字で証明されるような、法則性を見出そうとする学派」
だということも分かるかと思います。

実は、アダム・スミスから始まる右側の青色の流れは「経済学」を「万人にとって絶対的な『数字』で表現できないか?」という試みの学派であると言ってもいいでしょう。

しかし、主流派経済学は大雑把な傾向を示すことには成功したかもしれませんが、多くの取りこぼしを発生させてきたとも言えます。

簡単に言うと、

経済は人間の思想が入ってくるわけです。

思想によって、人は計算には寄らない、非合理な行動をとります。

どんなに安い商品になったとしても興味をそそられず買わない人。
どんなに高い商品であろうとこだわりがあるために買おうとする人。
本来安い商品に、高値を付けてなんとか買って貰おうとする宗教団体。
本来高い商品を、閉店セールのため安値で売り払ってしまうお店。

全て「主流派経済学」では非合理な、不確実性であり、基本的に、計算の邪魔だからと「排除される」行動です。

しかし、思想・信仰に生きる者。
計算には寄らない非合理な行動をとる者。
本能を抑制し、理性で動こうとする者。
得になることを放棄し、他者のために生きる者。

そういった

非合理性と、不確実性の塊こそ「人間」なのです。


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