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商品貨幣論6  ―重商主義と現代日本 ルサンチマン―

コルベールの重商主義は
①産業保護振興政策
②デフレ推進
③関税による保護貿易
これにより国力は増大し富国強兵は達成しましたが、経済格差が生じ国民の大部分である第三身分だけが疲弊し、結果国内政情が不安定になりました。

因みに憎悪に対する復讐感情の「ルサンチマン」という言葉はフランス語だったりします。

③は保護貿易で国内産業を守るという単純な説明なので省きますが、
①は日本でいう所の「護送船団方式」と呼ばれる手法です。
17世紀のフランス、絶対的富を確保したルイ14世の時代に行われた①は、日本の高度経済成長期と国富への方向性が全く同じであることが分かる証左でもあります。

さて、現在の日本は
①市場原理による自由化政策
②デフレ推進
③自由貿易
これにより17世紀フランスとは真逆の、国民も国力も疲弊し、経済格差が生じ国民の大部分である一般庶民が疲弊し、結果国内政情が不安定になりました。

当時のフランスと現代の日本とでは、①と③が違いまして、
共通するのが②なのです。

さて、以上から17世紀フランスの重商主義政策と、現代日本の経済政策のどちらが優れているのか、比較してみましょう。

重商主義は
②で格差社会を作り第三身分だけを疲弊させ国内政情を不安定にしましたが
①の産業保護振興と、
③の保護貿易で強大な「国富」を国家に齎し、
「富国強兵」を達成しました。

一方で現代日本の小泉政権以降の経済政策はこうなります。
②で格差社会を作り一般庶民だけを疲弊させ国内の政情を不安定にし、
①の産業保護振興をせず競争で淘汰を行わせ、大企業のみを生き残らせ、
③の自由貿易で強大だった「国富」を流出させた。

①③で国家の富を流出させてしまっているので、富国強兵どころではありません。
GDPが世界2位から3位に転落し、30年も経済成長しない国である日本は、
「国家の弱体化」を招いたわけで、実は

コルベールの重商主義政策の方がまだましな政策である、

と言えるでしょう。

はっきり申し上げれば、

現代日本は
17世紀、近世から近代への黎明期、
まだ王権神授説が隆盛だった時代のフランスよりも

浅薄愚劣な経済政策を行っている、

ということです。

さて、
コルベールの重商主義政策の欠点を補って、
より良い経済政策とするにはどうすればよいでしょうか?

それは②のデフレの解消、格差是正です。
それをしさえすれば、重商主義政策は格差社会を作り第三身分だけを疲弊させ国内政情を不安定化させることはなかったでしょう。

実はフランソワ・ケネーはこの「格差是正」をこそ強く訴えていた最初期の経済学者です。
といいますか、経済学そのものがこのフランソワ・ケネーの「格差是正」の理念のもと生まれた学問と言ってもいいかもしれません。

しかし、私はケネーはここで選択を誤った、と思います。

ケネー本人が第三身分の農家出身で苦労人。
特権階級に対する農家への仕打ちに対し「ルサンチマン」があったのかもしれません。

フランソワ・ケネーは自身の重農主義において、重商主義の

①産業保護振興
②デフレ推進
③保護貿易

のうち、良い政策であった
①産業保護振興と
③保護貿易も、

②のデフレ推進と
一緒に全て否定してしまったのです。


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