台湾と育くむ新しい観光
コロナ禍が収束したら......という、たらればの未来の話もいっこうに収まる気配を見せない状況のなかで、盛り上がりに欠けはじめた感がある。早ければ夏には......、遅くとも秋には......、年内には必ず......、希望的観測は次々と裏切られ、予定の後ろ倒しを余儀なくされている。
しかし、遂にコロナが収束し、インバウンドが再開できる時がきたとしたら、一体どういう人たちが1番のりでやってきてくれるのだろうか。
無料配信トークイベント『ニューノーマル、新しい観光』開催
台湾は、迅速で徹底した水際対策やオードリー・タンら専門人材の活躍により早期に新型コロナウィルスの封じ込めに成功した。観光再開についてもその動きは早く、5月には、防疫旅行・安心旅行・国際旅行の3ステップのプランが発表された。
最初の2つのステップでは感染防止対策のための規制緩和を行い、関係者のモニターツアーなどを通じて、安全な国内旅行のノウハウを確立。その後、さらなる規制緩和に加え、観光振興策として旅行事業者や地方自治体に助成金を付与する。
そしてステップ3では、感染リスクの少ない国から旅行者を受け入れる。早ければ10月には海外からの旅行者を受け入れ始めるとのことだ。
ポストコロナの観光再開にあたっては、トラベルバブルが迅速かつ、効果的な対策として取り沙汰されるが、これを実現するには、互いの国の感染リスクの状況や入国条件の調整など、なかなかハードルが高い。互いに健康を認め合い、求め合う相思相愛の関係が必要なのだ。
台湾から日本を訪れる観光客は、2019年には489万人となった。台湾の人口は、2,378万人。よって、人口の4分の1強が日本を訪れていることになる。年に何度も訪れる人も多い。
日本から台湾への旅行者は昨年、200万人を超えた。人気渡航先ランキングでは1位(JATA)となっている。
健康面(コロナの状況)で、日本側に若干、難があるかも知れないが、まさに相思相愛である。
聞くところによると、台湾では日本を訪れたい気持ちの現れなのか、最近は、日系のショップやレストラン、イベントなどは大行列となり、盛況なようだ。
コロナ以前には日本に関する情報が溢れんばかりだったが、コロナ禍とともに情報は減少。オンラインマガジン、初耳 / hatsumimiの日本関連の過去記事へのアクセスも激増しているという。
一方で、いち早く国内観光の再開と振興に取り組んだ台湾では、国内旅行の人気が高まっている。昨年が、地方創生元年となった台湾では、地方に魅力的な観光コンテンツが次々に生まれていることもこの流れを後押ししているようだ。
国境がひらかれ、台湾からの観光客が再び日本を訪れた時に、彼らの期待を裏切らないように、私たちもコンテンツに磨きをかけておく必要があるだろう。なぜなら、日本は、まだ国内旅行さえままならない状況にあり、豊かで新鮮な観光体験を提供できるのか、不安が残るからだ。
しかし、何よりも懸念されるのは、外国人観光客を受け入れる気持ちの準備がしっかりと整うかどうかではあるが......。
コロナ後の観光は好きものたちの再訪からはじまる。台湾からの訪日客はまさにそういった人たちだ。収束の早かった台湾では観光再開の取り組みも早い。ポストコロナの観光を考えるとき、彼らから学ぶことは思いの外、多いに違いない。
トークイベント『ニューノーマル、新しい観光』では、コロナ禍によるこの危機を好機ととらえ、これからの観光を様々な角度から登壇者と考えていく。
SESSION 2:
台湾と育くむ新しい観光
登壇者プロフィール
小路 輔
「初耳 / hatsumimi」編集長 2002年よりJTBグループでインバウンドやビジットジャパン関連の業務に従事する。2012年よりスタートトゥデイ(現ZOZO)にてZOZOTOWNの海外事業を手掛ける。2014年にFUJIN TREE TOKYOを設立、2019年に朝寝坊屋(創業70余年)を事業継承する。日本と台湾のカルチャーやライフスタイルの交流をテーマに活動し、著書に『TAIWAN FACE Guide for 台湾文創』『+10テンモア台湾うまれ、小さな靴下の大きな世界』などがある
伏谷 博之
ORIGINAL Inc. 代表取締役_タイムアウト東京代表 島根県生まれ。関西外国語大学卒。大学在学中にタワーレコード株式会社に入社し、2005年代表取締役社長に就任。同年ナップスタージャパン株式会社を設立し、代表取締役を兼務。タワーレコード最高顧問を経て、2007年 ORIGINALInc.を設立し、代表取締役に就任。2009年にタイムアウト東京を開設し、代表に就任。観光庁、農水省、東京都などの専門委員を務める。
堀口 ミイナ
ナビゲーター トルコ・イズミル出身 日本とトルコのハーフ早稲田大学政治経済学を卒業後、大手総合商社(三菱商事)に勤め、2017年よりタレントに転身。母国語の日本語・トルコ語に加え、英語・スペイン語を扱い、ラジオナビゲーターとして活躍。ワインエキスパート テキーラマエストロ小型船舶操縦士1級の資格も持つ。