見出し画像

月夜烏

真夏の支配を抜け出す秘密
始まりの新月へ羽ばたく 無垢な少女
寝静まる闇 懸命に翔けだした

天の川くだる 気だるさ ふり払う

今宵 ペルセウス流星群
太陽は陰り黒き翼
真昼を こえるほどの光包まれ

アナタ 降臨した

月の鼓動 開け放たれ 今
ふたつの創世を 紡ぎだす共鳴 はじまる

『踊りましょう…』 一夜かぎりの舞踏会
『嗚呼、時を流れる旅人よ 欲しいもの 何でもあげる
教えて ボクなら探しだせるよ
美しい音霊も まだ見ぬ神秘も 花咲いては枯れる 世の儚さも
魔法のように 君へあげよう』

愁い帯びし横顔は異界へ続く闇明かりのように空を見ている

純真な魂に与えられる切符 判は押された

   赤い月の誘い

妖艶乱舞に陶酔する日の神はこの地を強く照りつけ 狂おしい程の調に葛藤の嵐をおこす

時を忘れ月夜烏
  星屑の迷宮に取り残されし迷い子

「魂に 呼応してください……」

望む月に祈り捧げる
霧に湿らせた身体は 月明かりに煌めく

宿命の歯車 回りだす

「これ以上の幸せは望まない」抗えぬ罪と罰……

  光 世界を魅了した

月の神よ 月の神よ
闇の帳に身を委ね光放ち
照らされた火照りを冷ます 

『夢は 何のために見る?
夢は 叶えるためにある』
僕ならそう答えると 闇へ遊ぶ光の結晶
戻れない幻想へ 飛びたつ月夜烏

  沈まぬ真昼の月

鼓動へ続く アナタは十六夜
矢は放たれて宿命の新月輪

『誰の 愛にもなれない
   そう 君のものにも……』

「……何故 泣くの?」

月 一縷の清らなヒトよ
永遠の刹那に手を伸ばせど無窮をさ迷う

内なる純真を隠せないのは月人の証
染められた現世 煩悩に抗えぬ愛欲
地上の喧騒に飲み込まれ それでも一心に輝き続ける

 『幻に惑わされないで』

泣くことも出来ず 崩れ落ちた……!
振り向けばアナタは何処-イズコ-背に在る光 優しさは冷たく

 翼 広げ暁明けの空へ

嗚呼、冴えて美しい朔-サク-の月 再生の輝き 高鳴る胸のざわめき 三日月 空中ぶらんこ

2度と戻らぬ 今への第1歩
第4のゲート 閉じて夜明け前の十三夜
見上げれば 朝日 薄紫へ染まれ

虚空に鳴く月夜烏 遠く遠く 何処へ行く

  永遠の別れ 十五夜



いいなと思ったら応援しよう!