『君の名は・・・』Vol.8
第6場b 街中 夜
下手から、男女が歩いてくる。手にビラを持っている。
女:(ビラを見ながら)アストレイア様はやっぱり生きていたのさ。
男:そうかな。生きているとは限らないだろう。
女:だって懸賞金つきだよ。
ルドルフ:すまない、それをちょっと見せてくれないか。
ルドルフ、ビラを真剣に読んでいる。
ルドルフ:一体どういうつもりなんだ・・・
コルドバ、レイラもビラをのぞき込む。
女:よかったら、それあんた達にあげる。
ルドルフ:いいのか。
男:ああ。俺たちには必要ないからな。
ルドルフ:ありがとう。
二人上手に退場。コルドバ、ビラを取り上げレイラと見比べながら。
コルドバ:(驚いて)これは・・・あんたがアストレイア姫!?
ルドルフ:しっ声が大きい。誰かに聞かれたらどうするつもりだ。
コルドバ:すまない。まぁ、今のレイラを見てもおそらくこの写真の人物だ
と気づくやつはいないだろうさ。
レイラ:私の首には懸賞金がかけられているからな。見つかったらもみく
ちゃにされて、町中を引きずり回されるぞ、きっと。
ルドルフ:これは罠か。
レイラ:わからん。どっちにしろ、あちらは動き出したというわけだ。
コルドバ:少し見えてきたぞ。サンドラ達は、王とその一家を殺し、自分た
ちがその後釜に収まったというわけか。
ルドルフ:そういうことだ。
コルドバ:荒れ狂う嵐の中であんた達を見つけたとき、何か事情があるのだ
ろうとは思っていたが、まさか、王家の人間とは思わなかった
よ。
レイラ:あの時はもう助からないと思った。家族の顔が頭をよぎって・・・
意識が遠のく中、私の名を呼ぶ声がして一筋の光が見えた。
神は私に生きよと、生きてこの世の過ちをただすよう命じられた。
私はこの国を立て直し、守っていかなければならない。
コルドバ:事が大きくてよくわからんが、俺にできることがあったら言って
くれ。協力するよ。
レイラ:ありがとう。恩に着る。
ルドルフ:そろそろ船に戻らないか?
コルドバ:そうだな。皆が心配しているかもしれん。
三人下手に退場。暗転。