見出し画像

『君の名は・・・』Vol.5

第4場a 海賊船 午後

 絞り緞帳。暗転幕が開く。海賊たち、甲板の掃除をしている。
 ルドルフとレイラも手伝っている。上手上から強い光が差し込んでいる。
 下手前からバケツを持ったマーニャ歩いてくる。レイラ、さりげなくマー
 ニャのバケツを持ってあげる。

マラガ:(額の汗をぬぐいながら、上手上の方を向いて)しかし、いつも思
    うんだけどよ。こうもだだっ広いと、掃除するのがいやんなるな。
グラナダ:広いもんか。貴族が乗っている豪華な奴に比べたら、豆粒みたい
     なもんよ。
カディス:違うよ。乗ってる人数が少ないから広く感じるのさ。(笑)
マーニャ:文句言わないの。
レイラ:マーニャ、コルドバは?
マーニャ:地図とにらめっこ。次に行く場所を考えているみたい。
マラガ:そっか~。次の獲物は何だろうな。血が騒ぐぜ。

 グラナダ、闘牛士のまね。マラガ牛のまね。

グラナダ:オレ!

 みんな笑う。マーニャとみんなで踊る。(掃除道具を持ったままタップ)
 ルドルフ、レイラも掛け声を入れる。
 メイポールダンス M4
 踊り終わって

グラナダ:昼飯食ったらシェスタだ。
マラガ:今日は何する?
グラナダ:天気もいいし昼寝でもするか。
カディス:それじゃいつもと変わらないじゃないか。レイラとルドルフもど
     うだい?
ルドルフ:ああ、おれも行くよ。
レイラ:後で行く。

 レイラとマーニャを残して、下手台上より退場。

第4場b  海賊船

レイラ:本当に愉快な人たちばかりだ。
マーニャ:そうぞうしいだけよ。
レイラ:それが、何より楽しい。
マーニャ:変な人。ねぇ、レイラ、あなたは一体何者なの?
     どこから来たの?

レイラ:さぁ、どこでしょう。宇宙のかなたから来たのかもしれませんよ。
マーニャ:(ふくれて)すぐ、そうやってはぐらかすんだから。
レイラ:いずれわかりますよ。それより、あなたたち兄弟には本当に感謝し
    ています。見ず知らずの私たちを助け、船に置いてくれて・・・

マーニャ:やめてよ。くすぐったいわ。そんな言い方。
     私たちは困っている人になら、いつだってそうするわ。
     だってそうでしょう?人はみんな幸せになる権利を持って生まれ
     てくるんだもの。当然のことをしているだけだわ。

レイラ:あなたたちのそういう考え方が好きです。

 マーニャ、好きという言葉に反応し赤くなる。
 グラナダ、下手台上より二人を呼びに来る。

グラナダ:お~い、二人ともいつまでもそんな暑いところにいたら干からび
     ちまうぜ。

レイラ:それもそうだな。今行くよ。

 レイラ、マーニャの手を取って、下手台上に退場。
 暗転幕、絞り緞帳途中まで下りる。