『彼女の行方』【第10話】
「意外な場所」
6枚目の写真は那須に旅行に行ったときに撮ったものだった。
山の中にあるペンションに泊まって、ミュージアムや博物館を訪れた。
写真はクマの絵が描かれた看板があり、
奥に赤いレンガの建物が建っていた。
駅からそのままテディベアミュージアムに向かう。
奈緒が旅行の時に一番行きたがっていた場所なので、
パズルを残すならここではないかと思っていた。
写真に写っている建物を確認していると、
駐車場の方に歩いていくワンピースの女性が目に飛び込んできた。
茶色の巻き毛が光に当たってキラキラしていた。
今まではずっと彼女の影しか見えなかったが、
ついに追いついたのか。
はやる気持ちを抑えられず、思わず名前を呼んでいた。
自分にかけられたであろう声に振り返った女性は、
残念ながら別人だった。
落胆した気持ちを抑えつつ
テディベアミュージアムの中に入る。
奈緒の写真を受付で見せて、
預かりものか忘れものについて尋ねてみた。
忘れ物などは事務所で保管しているというので、
奈緒がいなくなって以降の日付で確認してみたが、
パズルを入れられそうなものはないようだった。
ひとまず館内で展示物を見て回ることにした。
家族でくつろいでいるシーンを演出しているものや、
パーティに参加するため正装しているものなど
ものすごい数のテディベアが飾られていた。
大きなクリスマスツリーの前で足を留める。
テディベアと写真撮影ができるスポットになっていた。
そういえばここで二人の写真を撮ってもらったっけ・・・
何気なくクリスマスツリーに目をやると、
見覚えのあるレースの袋が飾られていた。
蓮がプレゼントしたNの刺繍が入ったものだった。
館内のスタッフに声をかけ外してもらう。
受け取った中身は予想していた通り、パズルが7枚入っていた。
手元にあったパズルに嵌めてみる。
これでやっと外枠が固まった。
どこかの景色を映したもののようだが、
場所の詳細は謎のままだった。
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