高校時代のバットへのこだわり
今となっては運動不足人間だが、高校時代は野球部に所属していた。野球部といっても、不動のレギュラーで絶大な信頼を勝ち得たエースという華々しいものではなく、足が遅く、守れないといったなかなかに使いづらい選手で、自分たちの世代になってもベンチ入りの当落線上にいた。
普通の公立校でこれなので、それなりにやばいことが伝わると思う。
そんな自分でもバッティングだけは人並みにでき、それなりに体格もあったので、最終的には代打専門という枠でベンチ入りを果たした。
守備が壊滅的にヘタだったのも理由のひとつではあるけれど。
そんな自分のバットへのこだわりは、みんながあまり使わないバットを使うこと。うん、我ながら薄いことを言っている。
みんなが使わないのには、飛距離が伸びない、振り抜きにくいなど、それなりの理由があるのだが、使われないものの中には決して悪くないバットも含まれていた。
Vコングだとかスカイビートだとか目立つやつばかりが使われて、その他大勢となってしまったバットが日の目を浴びないのは不憫だ。この世は1軍だけの世界じゃない。そう思うと、牛乳を加えたコーンフレークのような綺麗な五角形になっている1軍と比べると目立たないが、飛び抜ける一芸を隠し持っているかもしれない2軍3軍に愛着が湧いてくる。
実際、自分が3年生になってから夏大までの期間に愛用していたバットは、先輩にも使っている人を見なかった、そして同期達にも選ばれなかった、これ使う人いる?次の試合に持って行く?どうする?とたびたび議題に挙がるシルバーのバット。
グリップエンドを見るとおそらく1からナンバリングされたであろうシールが貼ってあり、その番号は「16」。良い番号だな。
夏大までのラストスパート期間、レギュラーメンバーと比べたら薄っぺらいけれど、13番の男と16番のバットで良い思い出を作れたと思う。2軍3軍でもできることはある。
今、後輩達はあのバットを使ってくれているのだろうか。
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