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未明ライナーノーツ②「チャイナブルー・スカイライン」
仮タイトルは「bailong race」。和訳すると「ペーロン競争」。長崎の伝統文化で、舟を漕ぐお祭り(?)ね。
制作時期は「胡思乱想」とほぼ同時期。アルバム候補曲を俯瞰で並べたときに、メジャー調でポップな楽曲が足りなかったことから、制作に取り掛かった。部屋の中でひとり、ギターでコード弾きながら、「ラララ」とか「チュチュチュル」とか適当に口ずさんで音を取りながらスマホのGarageBandにメモして作っていった。使ってるコード進行の影響もあるだろうが、ちゃんと肉体を通してるからか、結構開放感ある?曲になったと思う。同様に作ったのが、のちに出てくる「残月と夜の輪郭」「太陽」「早晨」など。
ドラムトラックについては、garagebandのメモ時には簡単な8ビートを打ち込んでいるが、logic pro X上で編集・ダビングする際に、「Drummer機能」を使っている。パターンを自動で生成してメモ時のドラムから差し替え、その後フィルや細かいところを手作業で直していく方法を取った。ベースのフレーズとバスドラムの位置を合わせてくれる機能もあり、打ち込みながらも生っぽさが出た要因。(一部の曲は、一から打ち込んでいるが。「惑星SOUL」など。)
ギターのサウンドについては、左のやや歪んだバッキングと、右奥の方に聞こえるコーラス掛かったニューウェーブ的なギターの2種類。ちょうどこの時ギターのエフェクターを買い替えており、それまでのマルチ「GT-1」からコンパクトエフェクターに切り替えている。オーバードライブの歪みには、より芯があり、コーラスは艶っぽい。
で、今回は全部自分でボーカルも入れており、この曲がアルバム上一曲目のボーカル曲。歌入れ前のトラックを何度も聴き、イメージを膨らませて出た言葉が「チャイナブルー・スカイライン」。海辺の高速道路を走っていたら、雲の形が龍のようで、助手席は…などイメージを膨らませて歌詞を作っていく。
「きみがいるならいつも 晴れのち晴れだって」
これほど希望に満ちた歌詞は、なかなか自分からはまず出ない。今回のアルバムはよくこんな言葉が出てきたな、というところが多々ある。その最たるものが、ちょいイタ系の(?)「太陽」だったりする。
その一方で、自分の声は嫌いだ。巷には心底羨ましいと思える声ばかり。それは声質・音色だけの話じゃなくて、社会的な「声の大きさ」とかもあったりする。タレント、インフルエンサーとか、「この人が居れば、言えば、歌えばなんでも成立する」ような。
とにかく自分の声が嫌いだ。
それなのに何の才能も、運も、縁も、ルックスの良さも、カリスマ性も無い自分は、小さく歪ながらも「声」を残すことを優先したのだが…、そこに理由らしい理由はなくて。自分のような、数多居る音楽家の中でも特に弱い「種」は、まず存在しないことには「希少種」にもなり得ない…。
一応、歌声の補正は全曲バリバリにかけてます。そこは逃げも隠れもしない。「昔のプロミュージシャンは、補正なんてかけないでレコーディングしたもんだ」って、見知らぬ人に怒られるだろうなあ。自分としては是非ともそうしたいところなんだけど…。できる限り整えて理想的な形で出す、現状のひとりで何処までできるか突き詰めてみる、コレが自分なりのせめてもの誠意であった。