
日本カトリック司教団「見よ、それはきわめてよかった――インテグラルエコロジーへの招き」を読む 座談会 2 第一部「観る」その② 成井大介×瀬本正之×光延一郎
なるい・だいすけ●新潟教区司教。「ラウダート・シ」デスク責任司教。
せもと・まさゆき●イエズス会司祭。「ラウダート・シ」デスク秘書。
みつのぶ・いちろう●イエズス会司祭。上智大学神学部教授。
前号では、はじめに成井司教に本文書作成の背景説明を、そして回勅『ラウダート・シ』と使徒的勧告『ラウダーテ・デウム』を貫く教皇フランシスコの問題提起を約つづめた第一部前半部分を瀬本師に解説いただきました。今号はそれに続き、主に光延師に第一部後半部分を解説していただきます。
正義と平和協議会による活動からの流れ
光延 第一部後半は「二 大地の叫びと貧しい人の叫び」という表題で始まっています。現代日本での具体的な問題を扱っている部分です。ラウダート・シの呼びかけに応える運動は、現在、カトリック教会の世界的な趨勢としては、修道会や各国司教協議会の「JPIC」が担当するようになっています。これは、Jは Justice、Pは Peace、ICは Integration of Creation すなわち「創造界の保全」ですので「正義と平和+環境・エコロジー」に関する委員会などです。
それで環境保全、被造物の保護などに関するカトリック教会の国際会議があったりすると、日本においては正義と平和協議会に招待状が来ておりました。ところが日本の正義と平和協議会は、その方面の知識経験には疎くて、受け皿になりうる状況ではありませんでした。ですので、この問題は回勅『ラウダート・シ』に基づく福音宣教全体に関わるものであるので、日本の教会と司教団全体で扱うべき問題ではないかということになり、司教協議会において対応がはかられてきました。
その実りが「ラウダート・シ」デスクの発足であり、そこで素案が練られてきた『見よ、それはきわめてよかった』です。
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