国内最大級の展示会のレポート
はじめに
個人として大きなお仕事を頂いたのは、この「東京インターナショナルギフトショー」という毎年2回春と秋に開催される国内最大級の展示会で、ある出展社のブースデザインからだった。
全国津々浦々、自治体の商工会や組合、中小企業、大企業、町工場などなど多種多様な顔ぶれが一堂に介し、ビジネスチャンスを勝ち取りにアイデア製品や革新的な製品をはじめとした多種多様な製品の商談を行う。
この展示会に初めて足を運んだのは7、8年前くらいだったと記憶している。
当時は会場も来場者も出展社もお祭りのような活気に驚いたのを覚えている。
コロナ禍を抜けてその活気は以前の様子を取り戻しつつある・・・と言いたい一方でそうでもない側面も見えてきていて、それは具体的には何なのか?その何かは今後の展示会のあり方に大きく影響する要因になるのではないかと思い、展示会にもっと足を運ぶと同時に今度レポートに残すことにした。
以前の展示会にあった活気の裏に見え隠れするもの
ここ一年展示会関連の記事やレポートなどに目を通してきた。
私自身もここ数ヶ月の間、過去の出展企業に直接電話にて展示会出展状況を伺っていた。出展社との会話では相手も本音ではない可能性もあるのでここは私の邪推も含まれるが、ぼんやり見えてきたものがある。
・出展社の体力格差
・来場者のテンション
ー 出展社の体力格差
出展にかかるリソースはブース規模が大きければ当然それに比例する。
出展小間数に応じた出展費用、ブース設営にかかる費用、社員の交通費、宿泊費などの金額の面。
また、パンフレット・POPなど販促物の発注、出展にあたる主催者への提出物、商品を運ぶトラックや業者の手配、施工業社との打ち合わせ、出展製品の選定などの労力や時間の面。
…リソースとしてあげた上記はかなり荒削りですが実はもっと細かい工程を踏んでようやく出展という形が整ってくる。
これらを半年に一回ペースでルーティーンとして続ける企業や団体は組織体力が強く、多くは大企業かそれに近い企業、あるいはちゃんと地方活性を考えていて、財政のやりくり上手な自治体や組合が、毎年お金のかかった(であろう)ブースをどーん!と構えているのです。
展示会出展準備には大体3ヶ月〜4ヶ月くらいを要します。そうなると展示会の準備は通常業務と並行するのが当たり前になるためそもそも企業の人員がカツカツだと相当厳しいですよね。
それでもコロナ前まではそんな企業や団体もまだ多かった肌感ですが、最近はそれが実現できる団体・企業が少なくなったように思います。
(それはギフトショーだけでなく他に展示会にも共通しています。)
中小企業や町工場、個人事業の方々は自治体や組合のプラットフォームのもと1小間のブース、数が多ければ、ブースとは言い難いもはや”立ちスペース”で商談の場を与えられる事となります。
ちなみに電話調査では、プラットフォームでの出展あるいは単独出展にしても出展回数を年一回に減らして展示会準備をする企業・団体が少なくありませんでした。
そんな現状を抱えつつも展示会(商談会)に出展する以上はそんな状況を跳ね返すくらいの気概と、抜かりない準備がないとなかなか成果には結びつきづらい。。。
ということも言えるんですね。
展示会は出展さえすれば商談ができるというのは遠い昔の話。
それを知った上でどうするかが問われる、体力維持をするためにどう乗り切るかが熟慮が必要になってくるところです。
ー 来場者のテンション
展示会場を回っていると、積極的な商談シーンを見かけることが少なかったように思えた。主催者が用意した商談ブースもガラガラ・・・。
来場者は例えばどんなことを思っているのか。
既存の取引先を除いては
「いつものところに同じブース出しているけど、特に目新しいものはないな」
「とりあえず話だけ聞いてみるか。」
とかそういった声が聞こえてきそうだった。
もちろんブースによっては盛況の所もあるだろう。
ただそれは本当に盛況なのか?さえ疑いたくなるくらいブースに留まっている人がまばらだった。
これは跳ね返ってくる話だが、主催者含めて来場者を飽きさせない施策が必要だと感じた。毎回なし崩し的な開催ではせっかく発掘意欲のある来場者もテンションがダダ下がり。予想できるもの、すでに認知されているもの、分かりきっているものに興味やワクワクは湧いてこない。出展者がお金を出しているならそこは主催者側にも意見するべきだし、主催者側も毎回同じ流れだけでなく、もっと趣向を凝らしたワクワクを提供したら来場者を促すきっかけになるかもしれないですね。
3日間の来場者を左右した今回、それに学ぶこと。
3日間の開催のうち、今回大きく来場数に影響したであろうと思われるのは
初日の「雪」でした。
交通機関が乱れ、昼には止むといった雪も、雨に混じりながら夕方まで降り続きました。
ある出展者に話を聞くと、降雪当日は当然来場者は少なかったようです。
お昼からの来場者も、帰路を考えてか早々に切り上げている光景を目にしました。
展示会レポートや記事を目にすると、アフターコロナで来場者の質や流れが変わったとありますが、それ以前にシンプルに「天候」から影響を大きく受けやすいということは周知の事実。
そう言えば、昨年2023・秋のギフトショーも最終日は台風の大嵐でした。いうまでもなく来場者は目で見てわかるほど少なかったです。
1日が雪で潰れて損失を考えると結構痛いところです。3日間やそれにかかった経費を300万と考えると100万近くは損する可能性も高まります。
では残り2日で来場者の動きはどう推移するか。それに対して出展社はどう対応するべきか。
・ ①来場者はそのままをキープするか最終日に向けて来場が減ってくる。
・ ②来場者は2日目以降に集中して来場する。
それに対して、出展社は、
①なら仕方ない、今できることを考えて動くしかない。
②準備不足が露呈するか否かの分かれ道である。
ブースに来場者が集中すると対応スタッフが足りなくなる。そんな時にちゃんとした資料などを案内として残してさえおけば対応しきれない時でも名刺交換だけで繋ぎ止められる。ただ、資料もない、ブースも滞留時間が保てない、見づらいなら来場者はすぐに立ち去ってしまう。
だって残り2日で展示会場回るんだもん、時間ないよね??
やはり出展社はただ出展するだけではダメで、あらゆることを想定し準備を進めることがいかに重要か。そうなるとブースのつくり方だって少し意識して考えてもらってもおかしくはない。
出展社の心意気
ギフトショーについて開催前に50社を超える会社、自治体に電話で問い合わせしてきた。
出展の見合わせ、自社でやり切る、リソース不足、出展社が陥るさまざまな問題を見てきた。
会場に行っても以前のギフトショーよりも元気がないなと感じた。出展社の思ったような成果や感触が得られないという理由の他にない。
出展の準備が足りていない出展社は見てすぐにわかる。
展示会という看板に期待しすぎたのか、電話で問い合わせした時の本当の答えなんだと思った。
総括
今回メインのギフトショー(東棟)と同時開催展(西棟)とで大きな差があった。
前回は施工側だったので、そこまで会場を回れなかったこともあり、この差の存在は気に留める程度だったが、来場者目線で見た時の感想としては、、、
東棟よりも西棟の方が、遥かに面白さとワクワクが感じられた。
おそらく西棟で同時開催されているLxD始めとした日本の伝統工芸や手作りのアイデア商品、自治体の地場商品などはまだまだ賑わいがあってどんどん伸びると思う。
各出展社におけるブースからの作り込みや出展に対する気概に、スタッフの活気やアイデアを尽くした集客の仕掛けなどは見ていて非常に楽しかった。加えて西棟の広々とした回遊しやすい小間どりもよく、疲れにくさを感じた。
一方で東のメイン会場は出展社のずし詰め状態で小間位置や配置もあまり良いとは言えず、会場を歩いてただ疲れるといった感想。
もしかしたらこれも来場者のテンションを下げる原因なのかも。。
そしてもしかしたら、ギフトショーこのまま行くと・・いや行けるのか。
企業電話アンケートの中でチラホラ聞こえた「海外や他で販路を模索する」など見切りをつける所も出てきている。
また、本来東棟で出展するカテゴリの方も西棟で出展されていたり。これも興味深かった。
出展者の感度、主催者の感度が今後求められそうな気がします。
決して簡単な事ではないけれど日本最大級の展示会がみんながお金払ってでも来たいと思えるような魅力的な展示会に発展するような今後になればと思います。
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