日光おもてなしガイド その2 ー日光田母沢御用邸記念公園ー
3年ぶりに会った義父母をもてなす、日光ガイド。
前回の続きです。
日光植物園から車で2分ほどの、日光田母沢御用邸記念公園へ向かいました。
日光田母沢御用邸記念公園(国指定重要文化財)
1899年(明治32)に嘉仁親王(大正天皇)のご静養のために造営された御用邸です。
1947年(昭和22)に廃止されるまでの間、明治・大正・昭和の三代にわたる天皇・皇太子がご利用になったそうです。また、上皇陛下が太平洋戦争の時に約一年間、学童疎開をされた場所としても知られています。
移築・増改築を繰り返して
日光田母沢御用邸は、明治中期、この地にあった民間住宅(小林家別邸)に、当時赤坂離宮などに使われていた旧紀州徳川家江戸中屋敷の一部(現在の3階建て部分)を移築し、新たな部分を加えて造営されました。
その後も小規模な増改築を経て、大正天皇のご即位後、1918年(大正7)から大規模な増改築が行われ、1921年(大正10)に現在の姿になったそうです。江戸・明治・大正の各時代の用途の異なる建築が混在している貴重な建造物群で、2003年(平成15)に「国の重要文化財」に指定されました。
館内マップからも、増改築をくりかえした様子がうかがえます。
お屋敷を赤坂から日光へ移築って、大掛かりだっただろうなあ。
入り口で靴を脱ぎ、券売機でチケットを購入。さっそく案内ルートに沿って進みます。
和洋折衷 〜大正期の大規模増改築エリア〜
まずは、大正7〜9年に大規模な増改築をした場所。和洋折衷の、モダンな様式でした。
館内でもっとも眺めが良い場所にあるのは、謁見所。天皇陛下が公式の来客との面会に使用された部屋でした。
畳敷きの上に重厚感のある絨毯が敷かれ、部屋の真ん中には赤と金のテーブルクロスがかけられた机。書院様式の部屋に、きらびやかなシャンデリアが飾られていました。
御玉突所(おたまつきじょ)
明治の初めから皇室では、諸外国との交遊のために、ビリヤードを嗜んでおられたそうです。
床がきれい、ぴかぴか!
大正天皇が賓客や側近たちと食事をとった「表御食堂」は、美しい寄せ木張の床。長い年月がたっていてもきれいで、匠の技を感じました。
館内には中庭がいくつもありました。
意匠を取り入れた空間 〜紀州徳川家江戸中屋敷移築エリア〜
お次は、赤坂離宮からえっさほっさと移築された建物になります。
書院様式に数寄屋(茶室)風の意匠を取り入れた空間で、襖や障子にも工夫を凝らした、洗練された造りでした。
御学問所(梅の間)
天皇陛下の書斎として使用されていた御学問所には、丸い窓がありました。
他にも御座所(天皇陛下が日常的な公務をお執りになる所)、2階には、御寝室と御日拝所(ごにっぱいじょ)があります。また、各階には杉戸絵(一枚の大きな杉の戸に描かれた絵)があり、とてもきれいでした!
そしていよいよ三階の展望室へ…。ところが、階段には柵が。残念、ガイドツアーの方のみの公開になっていました。
御展望室 (非公開エリア)
3階にある御展望室は、田母沢御用邸に移築する以前の明治6年7月に、明治天皇が皇后と共に西洋料理を食したとの記録が残っているお部屋です。
せっかくなので、アルバムの中から写真を一枚。ガラスの丸窓のステンシルの模様がかわいらしかったです。
あたたかさと気品 〜小林家別邸部分〜
館内にはわたしたちの他に10名ほどの団体がいて、タイミングよくガイドさんの「ここから、建物の造りが変わります。」の声が聞こえました。なんでも、明治中期に造られた小林家の別邸で、おもに皇后様が使われた場所とのことでした。
皇后陛下の執務室として使用された皇后御座所は、淡いピンク色のランプが優しく灯る、あたたかさと気品のあるお部屋でした。
見どころいっぱい
「いやあ、広い広い。」義父も驚くほど、御用邸の中は迷路のようです。
よく見ると、畳のへりの模様が部屋によって異なっていたり、ランプのデザインが今見てもおしゃれだったりと、細工が楽しい。
とくに面白かったのが、御湯殿(お風呂)。浴槽がないの!
湯気をもうもうと立てて、サウナみたいな感じかなぁ。冬場は寒そうね…
庭園を歩く
出口へ向かうと、夫から電話がありました。「庭を歩いているから。」見学し終わった夫と義母を追いかけて、わたしたちも靴を履き、外へ向かいました。
御用邸の周りは日本庭園となっています。
大きなシダレザクラの木は、なんと樹齢約400年…! 春には見事な花を咲かせるのでしょうね。
外から見た御用邸。
外側にガラス戸があって、内側に障子戸。
こちらは黒塗りのガラス戸で、部屋には絨毯とシャンデリアが見えます。
静かでほっとする庭園です。
帰り際に、正門の前で記念写真を一枚撮影しました。
時計を見ると、ちょうど午後4時。車に乗り込み、宇都宮へ戻ります。
夕食に悩む
車内で、明日の予定と夕食について話し合います。夫は「自宅で食べる」(コロナが始まってから、我が家は一度も外食をしていません)、義父母は気を遣って「外食したい」。
はい、よくある親子の意見の食い違い…笑
結局、自宅で食事をすることになりました。
夫は義父母をホテルへ送って買い出しに。その間にわたしはシャワーを浴びて、サラダやお酒の準備をして。
午後7時にふたたび迎えに行って、自宅で夕食。
すみません、料理が苦手な長男の嫁は、人気レストランの品揃え豊かなテイクアウトに頼ってしまいました…(^◇^;)
ビールにワイン、そして義父と飲みたかった、とっておきのウイスキー。
締めに濃厚チーズケーキを食べて「あー、おなかいっぱい」という義父母をタクシー乗り場まで案内して「また明日!おやすみなさ〜い!」しっかりと手を振ります。
家へ帰って片付けが終わったのが、午後9時半過ぎ。夫からは「明日は5時半起きね。」は、はい…。
この日の歩数は8,456歩。歩き疲れたのと、遊び疲れたのと、ほんの少しの気疲れ…笑
もちろん、午後10時にはこてっと眠りましたとさ。
2日目に続きます(長い)。
最後までお読みいただきありがとうございました!