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主人のファッションショーが突然始まった


昨日のことです。

夕食の片付けを済ませ、ゴミ出しも終わって、さあここからは自分の時間。寝るまでに時間があるので、リビングでのんびりKan Sanoを聴きながら読書をしていました。

すると2階にいた主人がリビングへやってきました。

「おりちゃ、これどう?ばっちり着てみたんだけど!!」

ドアを開け、さっと入ってきた主人はなぜかおめかししていました。藍色のカットソーに、紺のパンツ。そして、先日奮発して買ったばかりのベージュのコート。ん?さっきまでパジャマ着てたのに、ずいぶん元気だな・・・。テンション高めの主人。そして本を読んで静かなわたし。 

「んっふ。いいんじゃない」

どうやら、新調したコートと秋物の洋服をコーディネートしていたようです。ふふ、女子かい。

「やっぱり、この服かっこいいよな!どう?」「いいと思うよ。あー、でもわたしボタンを外したほうが好きだなー」「そう?」

そうしてボタンを外し、鏡に向かって左右を向いたり、髪をなでてみたり。かっこつけている主人を見ると、思わず吹き出しそうになります。そんな私をよそに、主人は自分の姿に満足したのか、コートを脱ぎながらこう言いました。

「おりちゃ、これ着て。着た感じが見たいから。」「えー、わたし本読んでるんだけど・・・」「いいから、いいから!」

まあ、なんだか今日は楽しそうだし、ここはお付き合い。本をテーブルに置き、主人が脱いだコートを着ます。身長180センチ、JリーガーよりJリーガーらしい体形の主人の洋服は、わたしが着るとぶっかぶか。

主人はというと、ほかのジャケットを着始めました。年に数回開催される、ファッションショーの始まりです。(いつも突然に)

まずカーキ色のミリタリージャケット。シンプルなデザインでよく似合っています。

「うん、おれなんでも似合うわー。キムタクみたい(主人にとってイケメン=キムタク)」「うんうん、似合ってるよ!」

お次は同じメーカーの紺のテーラードジャケット。がっしりした体形には、流行りのオーバーサイズの洋服よりも、びしっとした服が合います。

「かっこよくね?」「うん、決まりすぎだね」

ワインを飲んで少々酔っぱらっている主人は、だんだん調子が出てきたのか、再び2階のクロゼットに向かいました。えっ、まだ続くんかい・・・。ほんの少し沈黙したあと、主人は階段をどたどたと降りてきました。すると、なんだか様子が変です。

「おりちゃ・・・、なんかこれ、小さくない?」

主人は、別のテーラードジャケットを着ていました。ですが、おなかの近くをよく見ると、ボタンを中心に放射線状にしわが広がっていて、明らかにきつそう。

「ふふ、ちょっとさ、太ったんだと思うよ」「・・・おかしいなあ(笑)」

この頃、主人のお腹周りが太くなったなぁと思ってました。もともとスイーツ男子。そして今年は特に運動する機会が減っています。

「そういえばおれ、ワイシャツの首元も最近きついんだよね・・・ あ!あの洋服、着れるかな??」

主人はまたもやダッシュで2階へ。休日はほぼリフティング、おしゃれして出かける機会なんてほとんどないのに、いったい何着あるんだい。今度は黒のノーカラーのジップジャケットを持ってきました。

・・・たしかその洋服、去年買ったときはぶかぶかだったっけ。さて、どうなるのかな。主人もどきどきしながら着ています。

「ん?これ、去年は緩かったのに、首もお腹もぴったりになってる!おかしいなあ。うん?洋服が縮んだのかなあ苦笑」

首を横に傾げ、おおげさにとぼけた姿に大笑い。涼しくなってきたし、これからもうちょっと運動をしようね、そして間食を減らそうと話をして主人のファッションショーが終わりました。

あー、よかった。だいぶ時間が過ぎてしまったけれど、もう少しだけ読書ができる。そう思い、読みかけの本を手に取った瞬間。

「おりちゃ♩この服全部、クロゼットにしまってきて」

へっ???? リビングには散らかったジャケットが。

「え、わたし、本読み・・・」「おれ、酔っぱらっちゃって運べない。あとよろしく♩」

さっきまでシャキッと着替えてたじゃん。そう言いかけたけど、酔っ払いにあれこれ言うのも面倒。もー、今日は特別、運んであげよう。

主人の大きなジャケットを両手に持って階段をそろりそろりと昇ります。ご機嫌な主人は手ぶらであとからついてくるだけ。そして最後に、

「床と壁には、洋服つけないようにね!」

うるさい! はよ寝ろっ!! わたしは心の中でつっこみます。


そうして主人は気分よく眠りについたのでした。


***


最後までお読みいただきありがとうございました(*´▽`*)

ではまた!


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おりちゃ
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