泥、砂、雪。冬の自転車競技、シクロクロスがおもしろい
現在、冬の自転車競技シクロクロスのシーズン真っただ中です。
そして2月3日(金)からは、オランダ・ホーヘルハイデを舞台にシクロクロス世界選手権が開催されます。
自転車競技歴5年、自転車ファン歴11年のわたくし。今日はシクロクロスの魅力と、注目選手を独自の視点でお届けします。よろしくお願いいたします。
シクロクロスとは
シクロクロス(Cyclo-cross)とは、もともとロードレース選手のオフトレーニングの一環として始まった、秋冬がシーズンのオフロード自転車競技です。
コースは1周が2.5〜3.5 kmの不整地の周回路で行われ、クラスによって定められた30分から60分の競技時間内で順位を競います。オリンピック種目ではないものの、自転車文化の盛んなヨーロッパでは、とても人気のあるスポーツです。
会場はたくさんの人、人、人!
大会について
シクロクロスの大会は各地で開催されており、世界のトップ選手が集まる主要なレースとして、UCIシクロクロスワールドカップ、スーパープレスティージュ(Superprestige)、X²O・バットカームルス・トロフェー(X2Oバドカマートロフェー・X2O Badkamers Trofee)などのシリーズ戦があります。
他にもヨーロッパチャンピオンを決める欧州選手権や各国のナショナル選手権があり、毎年2月にはシーズンを締めくくる世界選手権が行われます。
いかに速く走るか
シクロクロスの魅力のひとつは、バラエティに富んだコースです。
緑豊かな森の中や美しい湖岸の波打ち際、あるいはお城がそびえ立つ街中などに特設サーキットが設けられ、選手たちが速さを競います。
また、コース上には階段や「シケイン」と呼ばれる障害物が設置されていて、選手たちは自転車を担いだり飛び越えたりします。フィジカルの強さとテクニックの両面を問われる競技です。
ときに雪上レースや泥だらけのレースになります。
また、選手どうしの駆け引きはもちろん、天候や時間とともに刻々と変わるコースをいかに攻略するかが重要となります。ピットエリアではチームスタッフによる機材交換が行われており、シクロクロスは個人戦でもありチーム戦でもあるのです。
ワウトとマチューの一騎打ちか
そしていよいよ今週末に迫った世界選手権。注目の選手をご紹介します。
まずは最高峰の男子エリートクラス。
先日、優勝候補のひとりである現世界チャンピオンのトーマス・ピドコック選手(Thomas PIDCOCK・イギリス、イネオス・グレナディアーズ)が、まもなく始まるロードレースシーズンへの調整のため、世界選手権の不出場を決めました。
ピドコック選手不在の世界選手権で、注目するのはこちらの選手です!
ワウト・ファンアールト選手 Wout van Aert (ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)
1人目は、わたしのnoteに何度も登場している、お馴染みワウト選手です。
シクロクロス界からロードレース界へと活動の幅を広げ、昨年、ロードレースの最高峰ツール・ド・フランスではマイヨヴェール(ポイント賞)を受賞しました。
今シーズン、ワウト選手はレースに本格参戦。ますます進化したパワフルな走りを披露し、レースシーンを大いに盛り上げています。
マチュー・ファンデルプール選手Mathieu Van der Poel(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)
そして、これまで何度もワウト選手と名勝負を繰り広げてきたマチュー選手にも大注目です。
マチュー選手の冷静で粘り強い走りと、刃物のように研ぎ澄まされた集中力。世界選手権でもワウト選手と火花散るバトルを繰り広げることでしょう。
フェリペ・オルツ選手Felipe Orts Lloret (スペイン、ブルゴスBH)
そしてもうひとり注目は、現スペインチャンピオンのフェリペ・オルツ選手です。
オルツ選手は2017年、2018年に開催された宇都宮シクロクロスにて優勝した、日本のシクロクロスファンにとって馴染みのある選手。
国内選手が手こずる泥のセクションを飛ぶように走る、ワールドクラスのパワーとテクニックには度肝を抜かれました。
また、先日地元スペインベニドルムにて行われたUCIシクロクロスワールドカップ2022-2023第13戦では、9位という好成績を収めました。世界選手権もぜひ頑張ってほしいです!
そのほか、元体操選手のベテラン、ラース・ファンデルハール選手Lars van der Haar(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ) 、テクニックのあるローレンス・スウェーク選手Laurens Sweeck(ベルギー、クレラン・フリスタッズ)にも期待です。
強く、華やかに。
そして女子エリートクラスは、現世界チャンピオンのマリアンヌ・フォス選手 Marianne Vos(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)が欠場となりました。
今シーズンは若い選手たちが躍動しており、誰が勝ってもおかしくない激戦区です。
パック・ピーテルス選手 Puck Pieterse(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)
2002年5月13日生まれの20歳のピーテルス選手。バイクテクニックに長け、泥、砂、雪、コースコンディションが悪くなればなるほど、その実力を発揮しています。オランダチャンピオンでもあり、レーススタート前にはカメラに向かって笑顔を振りまく、キュートな選手です。
フェム・ファンエンペル選手 Fem van Empel(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)
長身を生かしたパワフルな走りを披露するファンエンペル選手。ピーテルス選手と同じく2002年9月3日生まれの20歳です。今シーズン、落車リタイアに見舞われたレース以外はほぼ表彰台にあがり、ワールドカップでは第14戦終了時点で7勝という実力の持ち主です。
そのほか、ルシンダ・ブラント選手 Lucinda Brand(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ)やセイリン・アルバラード選手Ceylin del Carmen Alvarado(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)など元世界チャンピオンにも注目です。
シリン・ファンアンローイ選手 Shirin van Anrooij(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ)
なお、優勝候補のひとりであり、いまもっとも勢いのあるシリン選手はU23クラスへの出場となりました。(本人Instagramより)
日本選手団も参戦!
また、今年は日本からも6名の選手が世界選手権へ出場します。
世界レベルにどこまで食らいつけるのか! ぜひベストをつくしてほしいです🔥
世界王者の証、アルカンシェル
世界選手権は国別対抗のチームラリーから始まり、ジュニア・U23・エリートのクラスによって行われ、優勝した選手(チーム)には、白地に虹色のラインのチャンピオンジャージが1年間授与されます。
アルカンシェルと呼ばれる、自転車選手であれば誰しもが憧れるジャージ。
さあ、アルカンシェルはいったい誰の手に。わくわくが止まりません!
おわりに
気がつけば3,000字超え。最後までお読みいただきありがとうございました!
なお、自転車の話はこちらのマガジンにあります。よろしければどうぞ。