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Precious Stones 京我りく 感想記

公演期間:2024年8月2日(金)~9月8日(日)
公演会場: OSK Revue Cafe in Brooklyn Parlor OSAKA(通称「BP」)
出演者 :京我りく(8) 水葉紗衣(7) 結菜ほのり(11) 蘭ちさと(8)
     ひより芽依(3) ※カッコ内は年次、全員敬称略
観劇日時:2024年8月25日16時半公演
     ZAIKO配信 計10公演
(本町カフェは2024年9月1日に実施)

 2024年5月~6月に上演された華月奏さん主演の新しいPrecious Stones公演(以下「PS」)の、シリーズ2作品目。
 50分強の公演が3部構成となっており、1部・3部は華月PSと共通、2部がオリジナル場面である。主演は入団8年目の、京我りくさん。

 大好きなこの作品を隅々まで忘れないよう、無性に書き留めておきたくなってしまった。
 以下はあくまでも個人的な観劇(含・配信)記録である。とはいえ、もしこの駄文の長文が、後々どなたかが「京我PSってどんな作品だったのかな?」と調べたくなった際に僅かでもお役に立つことがあれば、それは願ってもないことである。


1部:PRECIOUS STONES

オープニング

 娘役さんのソロダンスで幕開け。14時公演はダンス・水葉さん/影ソロ・蘭さんコンビ、16時公演はダンス・結菜さん/影ソロ・ひよりさんコンビ。今公演はこのシーンが唯一の役替わり箇所である。
 幻想的で優しい曲とともに始まる。優雅なソロダンスのラストは、扉を両手で開きそして客席に向けて右手を差し伸べる素敵な振付。これがまさに「これから始まる夢のひとときを、あなたに」というメッセージになっていて、とても素敵だった。

1曲目:Wishing well

 上述のシーンに続き、京我さんと片手に羽根扇を持った3名の娘役さんが登場、娘役さん4人の羽根扇で舞台奥の京我さんを隠してスタンバイ。
 背景LEDのまばゆい映像演出とともにパァっと曲が始まる。羽根の覆いが解かれて京我さんが登場!
 最初の歌詞がサビでもある構成。
 「私達の想いよ歌になって あなたの胸に優しく響け 私達の願いは昨日
  よりも あなたの笑顔を素敵に」…※
 なんと素晴らしい、舞台人たる皆さんの想いを形にした歌詞だろうか!公演パンフレットの主演挨拶で京我さんが、大切にしたい想いが表された歌詞である旨語っておられるが、皆さんの歌い方からもそれが十分に伝わってきて、開始早々ハッピーな気持ちになれる。
 2回目の※歌詞のときは、「あなたの胸に優しく響け」のところで右拳で胸を優しくトントンする振付があり、それが個人的に好き。あとは間奏の部分で5人揃って左手を上に挙げながら右手でホウキで掃くようにサッサッサッサとやる振付も。
 個々人が目立つというより、全員で届けます!という感じの曲。
 京我さんがソロで歌う「めぐり会えた この素敵な出会いに」の特に「めぐーりあえた」が凄くエエ声で好き。

 余談だが(とはいえ重要)、この曲の京我さん登場時、私はとんでもない衝撃を受けた。何という華やかさ…!本当に、目が焼けるほどまぶしかった。宝塚も含めたら歌劇観劇歴は10年ほどになる私だが、これまで目の前で拝見して「とんでもない美形!」と感じる方は複数いても、「目が焼ける」感覚になったのは恐らく京我さんが初めてである。凄かった…
 もう一つ、個人的に京我さんの鼻の形(鷲鼻というのか)が好みどストライクである(生で観てそう気付いた)。正面・横顔、どの角度から見ても超美人さんで勿論お顔全体が好きなのだが(面食い)、特に鼻の形が素晴らしく綺麗だと思う。生観劇時、1曲目の大半は京我さんのお顔に目線も意識も持って行かれていたのが正直な話(笑)

2曲目:Precious time

 京我さんと娘役ヒロインの水葉さんが前場から残っての曲。洒脱で軽やかな雰囲気。隣同士に住む男女(大人びたメロディの口笛を吹く京我さんと、大好きなお花たちに水やりをしている水葉さん)が互いにベランダで過ごしているうちに偶然出会って…という感じの設定。
 歌詞にある「楽しい時間はいつも 駆け足で過ぎ去る 一度きりの人生だから yes, precious time」がその通りすぎる。
 以降はほぼ「ダバダ ドゥバ ディバ ドゥバ」のような歌詞だが、お二人の表情や絡み方から会話が聞こえてくるかのような楽しい場面。運動部がウォーミングアップでやるクロスステップっぽく横に移動する振付のときの京我さんの腰の入ったステップが好き。
 楽しそうに踊っていた二人が最後のサビ前におでこコツンし合った状態から京我さんが水葉さんの目を見てちょっと抑えめの声で言う「Let's sing」が特にキュンと来る。その後二人は追いかけっこしたりキャッキャするが、京我さんが水葉さんから逃げたりひょいといなくなったりするので、水葉さんがちょっと拗ねてしまう。それでも最後に京我さんが「ほら、おいでよ」という風にしつこく手を差し出し続けると、とうとう折れた水葉さんが駆け寄ってきてくれてハッピーエンド。お互いに顔を背け合った状態でのプチ駆け引きのお芝居がお二人ともとても上手。
 曲終わりの決めポーズ(京我さんが水葉さんの後ろから両肩を抱いた状態)から次の曲が始まると、お二人が一度顔を見合わせてから捌けていく姿に「ここも含めてデュエットダンスっていいよね~!」となるやつ。

3曲目:Road to the glory

 「栄光への道」という意味のタイトル。今公演で唯一、一切歌唱が無い場面。出だしから輝かしい感じが漂う曲調で、BGMとして聴いていても元気になれる。
 1曲目と異なり、全員に個々の見せ場がある。
 ビックリなのは、この短時間で娘役さんが1曲目(羽根飾りのついたお団子キャップ姿)と髪型を変えていること!!計ってみると、この曲の頭から登場する結菜さん・蘭さん・ひよりさんトリオは約2分半、2曲目にフル出場の水葉さんに至っては僅か1分50秒での早業!!凄すぎる!!!!
 ドンドンドン×4回の拍に合わせて京我さんがピシっと4度ポーズを取っていく振付がいい。娘役さんがズラリ並んでのスカートはためかせも観られて美しい。
 京我さんと踊る結菜さんがステップの進行方向に関係なくずっと京我さんを笑顔で見つめながら踊っていて、二人で踊れることを心から喜んでおられるのが伝わってくる

 後半には京我さんと水葉さんのリフトという、歌劇のデュエットダンスいちの見どころが登場。これがまたよく考えるととんでもなく凄い!!
 水葉さんは京我さんと組んで踊るなか、リフト直前に飛び乗る進行方向と逆の動きをする(右腕同士を絡めながら京我さんの正面で上体を預けるイメージ)。そこから素早く京我さんと腕の長さぶんだけ離れ、2歩ほどの助走で跳び上がる。
 持ち上げる京我さんは、両脚をサッと引いて低い体勢になり、自分の左側に向かって飛び上がる水葉さんを右腕一本で背後から追いかけるように抱き上げる。左手は一切使わず、伸ばしたまま。
 …何という大技なんだ、お二人とも!!!!!
 京我さんの胸の高さあたりで、クルクルと美しく4回転あまり。客席には当然拍手が湧く!!!!観に行ったとき、もっと盛大に拍手したら良かったなぁとちょっと後悔。
 水葉さんを降ろすときはさすがに両手だが、無事に着地して顔を見合わせるお二人の表情がまるで「今日も上手くいったね!!」と言い合っているようで、その様子も大好き。水葉さんのロングスカートを踏んでしまわないように、摺り足気味に慎重に離れる京我さんにもキュンとする。
 大技の見事な成功で勢いづいたそのままに、5人勢揃いの総踊り。ますます勢いづいて、タイトル通り栄光が近づいてきそうな感じ。良い場面!

4曲目:a story

 水葉さんのソロ。不思議な物語の世界へ誘ってくれる内容で、まさにこの後始まる2部に繋がるピッタリの曲。華月PSのとき以上に、京我PSではこの曲が効果的だったと思う。かなりゆっくりしたテンポなので、伸ばす歌詞が少し歌いにくそうな感じだが、「あなた」という歌詞が多く、実際に客席の一人一人の目をしっかり見て、語りかけるように歌ってくださったのが印象に残った。

2部:ニュートレンディニューエモーショナル(Bar京我)

オープニング

 京我PSの2部は、芝居仕立て。全員芸名+チャン(片仮名なのがポイント)という役名で登場。
 レトロな曲調と雰囲気のある映像とともに、「京チャン」の録音アナウンスでこの2部のコンセプトが説明される。心斎橋にある「Bar 京我」は、昭和レトロをこよなく愛するトレンディ・ハンサムボーイである京チャンがオーナーの店。悩める子羊(らんチャン・ゆいなチャン・さえチャン)が京チャンに愚痴をこぼしに代わる代わる店を訪れて、それぞれに楽しいひとときを過ごす。
 芸名の皆さんの上級生/同期/下級生といった関係性とシンクロするような、役柄上の関係性も見もの。

 アナウンスが終わると店はオープン時間。ここでギャルソンヌのひよりチャンが、毎回違うネタで口火を切るのがお約束。「今日は○○の日だそうです」ネタもしくは「さっき隣のカフェで○○さん(当該公演を観に来ている劇団員さん)を見かけました」ネタ。後者の場合、京チャンが当人のファンで、目撃したひよりチャンを羨ましがっていると当人がBarの前を通りがかり(以降、その劇団員さんが座っている席の方を実際に必死で見る)、ワーキャー二人でひとしきり騒ぐうちに最初のお客さんがご来店というパターン。

1曲目:恋の御堂筋(らんチャンご来店)

 らんチャンはソバージュヘアに濃いピンクのボディコンスーツ姿。3名の中でバブル期の流行語を最も巧みに多用するので、とにかく聞いていて面白い。「よっこい正一」「わけワカメ」「インド人もビックリ」…etc.あまりにもナチュラル。らんチャン、あの時代からタイムスリップしてきたのか?!
 二人の会話や振る舞いの様子から、京チャンとらんチャンには旧知の間柄ならではの飾らない関係性が感じ取れる。これぞ京我さんと蘭さんの同期同士だからこそ醸し出せる空気だったと思う。名コンビである。
 ”ザギンで出会い数日前に付き合いはじめた、自分にホの字だったはずのカレから急にフられたこと”を愚痴りに来店する。泥酔したい気分のらんチャンに京チャンはロックのお酒を提供。
 らんチャンに同情した京チャンの「こんなイイ女のらんチャンを振るなんてロクな男じゃないよ、土地と一緒に転がしてやろうか!」が手つき込みで良い。ゴロンゴロンを動きで表現するひよりチャンとそれに毎度少しずつ違うツッコミを入れる京チャン(それはゴロンゴロンじゃなくてグルングルンだよ、等)が面白い。京チャンの優しさに触れたらんチャンは勢いよくお酒をあおり、京チャンに飲みすぎだと心配される。酒も良いが一曲歌ってスカっとするのはどう?と提案する京チャンの誘いに乗るらんチャンは、京チャンとのデュエットを希望する。

 そこでかかるのが『恋の御堂筋』。何と2部を構成・演出した風馬翔先生がこの曲を作詞している!!これがセンスが良すぎて最高である。背景のLEDにちゃんとカラオケ画面(歌詞の男女パートがちゃんと♠と♥で表現されている!)が映るのがナイス!
 ただ歌うのではなく、歌詞に沿った渾身のお芝居付きで、まさに同期コンビならではの見せ場。
 本町カフェによると振付日には結菜さん・水葉さんは爆笑だったそうだが(実際、何度観ても面白い)、京我さん・蘭さんはとりあえず全力でやろうと臨んだらしい。
 さらにこの場面はひよりちゃんのタンバリン芸・盛り上げ職人っぷりも光るので見逃せない。本町カフェによると、稽古期間中、力加減が分からず脚にゴマフアザラシの斑紋ばりにアザを作るほど打ち付けて練習していらしたそう。
 タンバリンの叩き方もいいし、「よっ」「らんさん」「イイ男」といった合いの手がまた絶妙である。
 らんチャンが歌い出し直前に腕をバタバタし、振り切ったかのように歌い出すのが面白い。京チャンが歌い出し前にカッコつけたあと煙草を一服して、それを丁寧に灰皿で揉み消す仕草が好き。第一声「♠惚れた男の性か」のエエ声っぷり。前髪を指で撥ね上げてらんチャンに色っぽく視線を送るとらんチャンが悶絶する反応が面白い。「♠不幸せにしたくない」のドスの利かせ方、「♠いっそ嫌いになってくれ」の哀願っぷりと膝スライディングで天を仰ぐ姿。「♥また恋するわ ♠恋してくれよ」を京チャンの胸で歌うらんチャンとそれを受け止める京チャン、二人の表情が良い。ラストフレーズ「♠♥あなたなしでも 生きれる大阪」のあと、歌に入り込みすぎ勢い余ったらんチャンが思わず京チャンを全力ビンタするのが面白すぎる(笑)
京「痛っった…え、なんで…」
ら「あぁ~やっちゃった…ごめんね、大丈夫?」
京「大丈夫大丈夫、全然痛くない」
とやってるうちにチャチャチャチャ、で曲終了。このときの真面目な顔して組む二人の決めポーズにも笑ってしまう。
 歌ってすっきりしたらんチャンの爽やかさ、頬をさすっていた京チャンもその様子に満足したようで、マイクを受け取りながら「良かった、モウマンタイ(無問題の意)だよ」このやり取りが毎度面白かった。
とにかく、同期芝居に爆笑が止まらない一場面。

 歌い終わると、突然別の予定を思い出すか、また新たな恋を探しにいく等の理由でらんチャンは帰っていく。「ケツカッチンだわ、ドロンします♪」のパターンが個人的には一番好きだった。
 千穐楽のアドリブが凄くよくて、京チャンがらんチャンのマイクを回収したあと「やっぱり作詞・風馬翔っていいんだよなぁ~。全部好きなんだよ。どの曲もいいんだよなぁ~」的なことを言うその口調と手の動き(額に当てたり顔回りで細かく動かしていた)が凄くその台詞にピッタリで大好きだった。らんチャン曰く「そう、私もこの曲大好き」とのこと。京チャンがそれに「おお、だよね」と返したときのエエ声とピストル型の手での指差しポーズがこれまた個人的に好きだった。

2曲目:Night fever duet(ゆいなチャンご来店)

 ゆいなチャンは金髪のショートヘアで、長袖部分がシースルー素材の黒いオールインワンスタイルに、緑色の大ぶりイヤリングとベルトがアクセントのクールなスタイルで登場。第一印象が「超カッコイイ」以外あり得ないくらいカッコイイ。歩き方も颯爽としている。
 ゆいなチャンは「京チャンお久し」と入店。京チャンが「ゆいなチャンお久し、元気してた?」と返すと、椅子に座りながら「元気も元気、超元気なんだけどさ…」と、自分のネイルを見たりしながら言いたいことがあり気な表情。(座る姿も脚を組んでいたり、背もたれにかなり寄りかかっていたり、とにかくカッコイイ)
 京チャンが探るように「…何かあった?」と訊くと、机を軽く叩きながらやや凄みのある雰囲気で「ね、聞いて」とゆいなチャン。京チャンはやや身構えるように「はい」、完全に押され気味(笑)。この二人も、上級生の結菜さんと下級生の京我さんという素の関係性が上手く活かされている気がして、凄くいいなと思った。

 ゆいなチャンはダンスの名手で、ディスコに連日踊りに行っているようだが、そこで一緒に踊りたいと声を掛けてきた男たちが「たった○時間で(数字はアドリブ、知る限り最長は12時間!)もう付いていけないってみんな帰んの。ほんと男ってつまんない…」とこぼす。京チャンはまるで何かを思い出すような表情で「たった○時間ね…ゆいなチャン、体力凄いもんなぁ~」と返す(一体この二人の間には過去何があったの?笑)。
 それを聞いたゆいなチャンは再び凄みのある表情と声で「あ?京チャン今なんつった?体力オバケとか聞こえたけど」、完全にビビる京チャン(笑)。「いや、何にも言ってない(汗)」そこで慌てて場を取り繕うようにお酒を出す流れ。
 最初の頃は普通のシャンパンが多かったと思われるが、京我さんの誕生日が8月29日なので、その近付いた恐らく8月25日頃から、後述する撮影タイムの衣装姿でイケイケな京チャンの写真ラベルが付いた「京チャン生誕祭オリシャン」が登場するように。
 オリシャンを取り出すと京チャンは途端に勢いづき、二人が形勢逆転するのが面白い。
京「ほら、これ予約してくれてたやつ」
ゆ「…え、私、そんなの予約した?」
京「覚えてないの?8月29日だったんだけど30日に来てさ、そのとき『も
  う一本お願い』って言ってくれてたよ」
ゆ「え、そうだっけ…」
という具合。
 ちなみに千穐楽のアドリブによると、オリシャンは1本5万円だが味は美味しくなく、オリジナルラベル代に全てがかかっているとのこと。是非公式SNSか劇団員ブログにて、オリシャンのアップ画像を見せていただきたい。
余談だが、シャンパンやオリシャンを開ける際の栓が抜けるポンッの音は、公演期間終盤にSEが入るようになったそうで、千穐楽の挨拶で京我さんがそれを例に挙げて「みんなで公演を創っているのだなと改めて思った」ようなことをお話しされていた。

 シャンパンを提供すると、京チャンは「さっき元気無いって言ってたけど、それなら俺と一緒に踊るってのはどうよ?」と自信ありげに提案。ゆいなチャンは「え、京チャン踊れんの?」と少々驚いた様子。京チャンは「あたり前田のクラッカーだよ!ゆいなチャンと踊るなら…(ニヤリ)こんな曲はどう?」。このとき音出し合図の京チャンの指パッチンが綺麗に聞こえる。曲名は『Night fever duet』。
 曲がかかりノリノリでカウンターから文字通り躍り出る京チャン。ゆいなチャンが着席したままなのを「立って立って、一緒に踊るんだよ」と促すとゆいなチャンもようやく応じる。京チャンがソロでワンフレーズ踊って"Shall we dance?"と問うと、ゆいなチャンが返事代わりに踊ってみせて「どう?」。熱い視線を送っていた京チャンは一気にデュエットダンスの相手役モードになり、心から「イイね」。それで二人は一緒に踊り始める。
 このときの小芝居が巧みで、出だしのサビっぽい曲調の最初1/4くらいは、”急に一緒に踊ることになった設定”らしく、ゆいなチャンは京チャンのダンスを観察しながら僅かに遅れて踊っているのだが、その先(手を2回パンパンと叩いた後)は二人が完全にテンポを合わせて踊る。先生の演出なのか演者さんたち自身で考えられたのかわからないが、このことを発見したとき、芸が細かくて凄い、好きーーー!!!と思った。
 ダンスのところどころで京チャンが発する掛け声のセンスがよくて、バリエーションも豊富。Yeah, Wow, Ah, Woo…etc.。お二人のダンスの緩急・滑らかさ・キレ色々な要素が楽しめ、かつ歌劇界のダンスではあまり見ないようなユニークな振付がとても良い。途中からひよりチャンがコーラスで彩を添えてくれるが、ちょうどそのコーラスが始まるあたりで二人が組んで踊り始める。

 結菜さんのご入団当初からの夢だったというデュエットダンス。組んで踊るときの結菜さんの幸せそうな笑顔と、万感の想いを滲ませた優しい眼差しで見つめ返す京我さんの、この二人の美しさといったら…!!!永遠に目に焼き付けておきたいくらいの光景。特に前楽の配信にアップでしっかり表情が映っていて最高だった。
 リフトではないが、お互い両手を握り合った状態で回りながら結菜さんが片脚を高く上げる大技があり、それも見どころの一つ。この大技にも踊っている二人だけの世界があるようで、本町カフェによると、稽古中、見守る3人は成功したと思う出来栄えだったのに、当の二人的には失敗だったときには、続けて踊る二人の表情が見るからに冴えないので、その表情から技の成否を判断していたとのこと。
 京我さん曰く、結菜さんは目が合うだけで色々なものが伝わってくるので、それにより結菜さんの状態を察知して組んで踊る最中の諸々を調節している。
 …この話を聞いたとき、心底痺れた。プロのダンサー、超カッコイイ!!!そうやって踊っている方同士で一緒に心を通わせたり、感覚を共有するのって、どんな気分なんだろうか…!どんなに素敵なことだろうか…!

 大技後のサビは二人ともより一層楽しそうに踊り、最後は再び組んでゆいなチャンが京チャンの支えで美しく上体を反らせたポーズで終わる。
 踊り終えたゆいなチャンは心から満足そうに「京チャン最高、超楽しかった!」京チャンも「流石ゆいなチャン、キレッキレのダンス。一緒に踊れてマンモスうれぴー」。このときの京チャンの両手ピストルポーズが好き。ゆいなチャンの「ありがとう」に返す京チャンの「ウェーイ」も好き。繰り返しになるが、京チャンは掛け声がハイセンス。
 ゆいなチャンは用事(肩パットや給料袋を落としていないか探しに来た、忘れていた会計を支払いに来た、等)があり再び店に戻ってきたらんチャンと奇跡の再会を果たす。二人は学生時代からのマブダチとのこと。久々の再会を喜んだ二人は、らんチャンが店に戻ってきた用事も忘れ(笑)、今度は一緒に飲みに繰り出す。去り際のゆいなチャンの「京チャン、バイビー」の言い方と、片膝を上げながら二本指のチーッスみたいな仕草が絶妙にイイ女感を醸していて、ゆいなチャンは最後までカッコイイ。

3曲目:You're My Precious(さえチャンご来店)

 さえチャンは工藤静香を意識した髪型で、赤いミニワンピに肩パッド入りの赤いジャケットといういで立ち。いつも声を上げて泣きながら店に駆け込んできて、すぐにカウンターに突っ伏する。京チャンとひよりチャンは顔を覗き込むようにして「…え、さえチャン?」、すると間髪入れずさえチャンが「京チャン!会社で上司(部下や同僚のパターンもある)に怒られたぁ!」と吐き出し始める。
京「えぇ、また?先週(/おととい/昨日)も怒られたばっかりなのに?」
さ「そうだよ、毎日怒られんの!もう、早くお酒出してよ。(イライラ)」
京「はいはい、じゃあいつものね」
という流れ。「怒られたぁ!」の言い方といい、京チャンがお酒を準備するのを待つ間の脚をバタバタする仕草と表情といい、これまた前述の二人と同様に”いかにも実在しそうなキャラクター”で、水葉さんのなりきり度合いが素晴らしい
 グラスを受け取り、
さ「ありがとう、京チャンも飲んでよ」
京「ありがとうございまーす。それじゃ一杯いただきまーす(水などノン
アルを注ぐ)」
さ「え、待って、水じゃない?」
このときやや不満そうなさえチャンが可愛らしい。京チャンがノンアルなのは二日酔いだからとのこと。バースデー月間でお祝い続きなのも理由の一端のよう。
 さえチャンにだけ、急にちょっと真剣なトーンで「じゃあ、君の瞳に、乾杯☆」をやる京チャンにキュンとさせられる。照れ隠しなのか「もう、何言ってんの!」とそっけないさえチャンが可愛い。ひよりチャンがイッキ飲みを煽るがすぐさま「もう、うるさい!」とさえチャンに怒られてシュンとなる。ひよりチャン、可哀そう可愛い(笑)

 ここでさえチャンが「ねえ聞いて」と、会社で怒られた理由を語りだす流れで、毎公演全く違う内容である。前楽と千穐楽はどちらも結菜さんに絡めたネタだったが、私が観に行った公演(8月25日16時半)のが面白くて好きだったので、それを一例として記録しておく。
さ「今日さ、私が会社で印刷物にコーヒーぶちまけて、部下に怒られたの」
京「(一瞬真顔。ひよりチャンの方を見ながら)いやそれは怒られるでし
  ょ。えっ、ちなみにそれ、ブラック?」
さ「…ブラックだけど」
京「えー、やっぱ砂糖入れたいよね。(ひよりチャンに向かって)砂糖入れ
  る派?」
ひ「いや私もブラックですね」
京「えー、やっぱり砂糖とさ、ミルクも2個くらい入れてさ。(さえチャン
  に向かって畳みかける)え?砂糖2本派?入れるよね、やっぱ砂糖2本と
  ミルク2個…」
さ「もう!何なのよ(怒)!!!」(カウンターをバンバン)
 このバンバンが音出しの合図で、『You're My Precious』の曲がかかる。
 京チャンがここのアドリブでまくし立てる様子(声も高めになる)が毎回面白くて大好きだった。記載したコーヒーアドリブの際は、ミルク(コーヒーフレッシュ)を注いだりスティックシュガーを折って入れるような手つきもしていて、その流れるような手の動きの美しさにも見惚れてしまった。(余談だが、別の回で、寝るときにジャージを着る話や、夏のおどりのやんりらコンビの見どころを熱弁するアドリブなども、似たようなまくし立て具合で面白かった。)

 どうでもいいことで勝手に盛り上がりだした京チャンに怒り心頭のさえチャンは、「そんな話しにきたんじゃないわよ!」と座っていた椅子を振り上げ、慌ててひよりチャンが止めに入るも「うるさい!あっち行っててよ!」と一蹴されてしまう。そのまま「もう!(怒)」とか何とか言いながら椅子を舞台中央に引きずっていき、落ち込んだ様子で俯き気味に腰掛けたところで曲のイントロが終わり、見守っていた京チャンの歌が始まる流れである。
 この曲がまた、二人のロマンスを感じさせる大変素敵な曲なのだ。曲名は『You're My Precious』。

**歌詞**
♠=京チャンパート ♥=さえチャンパート  太字=コーラス
♠切れかけの街路灯 通り過ぎため息
 足取り重く歩く ビルの明かり背に
♥私だけが悪いわけ 言いたくなるつい
 空回るときもある もうヒールも脱ぎたいわ  (両足とも脱ぎ捨てる)
♠落ち込んでもいいんだよ 強がる必要ない   (靴を拾いそっと近付く)
 ありのままの君が光る 明日には    (靴をそっと履かせ手を取る)
<以下がサビ>
上手くいかないこともある 星座占い最下位も
 一位もあるさ大丈夫 ほら笑っていつだって
 頑張る君は美しい 凹む顔さえ好きなんだ
 良い日も悪い日もスペシャルさ 君は君だよ守るから
******

 星座占いが出てくるのがエモい。最下位で地面を、一位で上を指差す振付が良い。
 手を取って歌い出すも二人はすぐ離れて、そっぽを向いてまだモヤモヤを抱えたままの様子のさえチャン。京チャンは彼女を見つめたまま、想いを込めて励ますように歌い続ける。すると「頑張る君は美しい」の歌詞の部分で、さえチャンがようやく京チャンの方に振り向く。京チャンが「凹む顔さえ」で敢えて一旦視線を外して「好きなんだ」で再び真っ直ぐにさえチャンを見つめ直すのが…イイ!ロマンスの極み。二人は歩み寄って、京チャンがさえチャンの両腕をそっと掴みながら力を込めて「君は君だよ守るから」。
ヒュー!!!素敵素敵アンド素敵。良いものを見せて貰った。反芻すればするほどいい場面だったなとジワジワ思い出すワンシーン。

 間奏で京チャンが踊り出し、手を差し出して誘うとさえチャンも楽しそうに誘いに乗る。その様子に「ワーオ、イイね」な表情の京チャン。二人でおでこをコツンしたり、京チャンに支えられ高くジャンプしたさえチャンが恥ずかしそうに「もう~///」という感じで京チャンの肩を叩く様子が見ていてキュンキュンする。そこから急に二人とも真剣モードになって手を取り合って踊ったと思ったら、さえチャンもすっかり前を向いた様子で最後のサビは元気に二人でのコーラスとなる。(上記とは一部歌詞違い)

4曲目:Fever time(撮影タイム)

 前場の暗転後、ゆいなチャン・らんチャン・ひよりチャンの3人が登場する。ひよりチャンはギャルソンヌの制服から薄黄色のボディコンスーツスタイルにチェンジ。ビート音がアップテンポなイイ感じのBGMに早くも期待が高まる。3人それぞれが説明パネルを手にしている。
 ゆいなチャン「只今より、SPECIAL BONUS TIME、撮影タイムの開幕です」。ひよりチャン「ハンディカメラで撮影した映像は、SNSにアップしても、お宅のVHSに録画して楽しんでもOKよ」。昭和と令和の文化の共存?融合?を感じて笑ってしまう。
 らんチャンの「それではこのFever timeの主役をご紹介しましょう」(これまた言い方が上手いのである)に続く京チャン紹介文も面白い。誰が考えたのか知りたい…!
彗星のように現れたトレンディガイ ホットな眼差しとスウィートボイスに胸騒ぎとロマンティックが止まらない セクシーとユーモアの融合、まさに奇跡のドリームマッチ」。
 トレンディガイのタイミングで3人一斉にパネルを裏返すと、それぞれ別な京我さんのスチール写真になっているのがまた面白い。ダメ押しでひよりチャンが更に期待を煽る。「もう待ちきれなくなってきたでしょう? ハンディカメラと心臓のスタンバイは大丈夫?」

 すると舞台後方に下手から京チャン、上手からさえチャンが揃って登場!
京チャンは青い総スパンジャケットにやはり総スパンの銀色ベスト(上の襟っぽい部分が左右で黒とピンクでオシャレ)、そしてグラサン着用、さえチャンは黒の革手をはめてグラサン着用というスタイル。スターめいて二人とも超絶イケイケである。
 特にさえチャンは前場でちょっと情けないOL風だったのが、このいで立ちと、間もなく後述するキレッキレのダンスとでまるっきり別人に大変身。最初はどうしてもカッコイイ京チャンばかり観ていたが、何十回もこの場面を観るうちにMVPはさえチャンかもと感じるようになった。
 らんチャンの巻き舌&語尾上げコールが最高!「ニュートレンディ ニューエモーショナル rrRIKU~KYOUGAaaah ↑↑」(文字にするとこんな風)
 ここまでで既に、撮影タイムが大・大・大勝利を収めることは確定

 バブル期のディスコを舞台に5人が歌い踊りオーバーヒートするほどフィーバーする楽しい曲。改めて風馬翔先生は天才だと思う場面。
 詳細はSNS上に散らばる撮影動画をご覧あれ!
 個人的な好きポイントは挙げればキリがないが、書けるだけ書いておきたい。

 まず京チャンの歌声(歌い方)がエエ。出だしから全員がキレッキレに踊るのが素晴らしく、特にさえチャンのダンスが上手くて印象的。さえチャン以外の3人のジュリ扇づかいが見事、特にゆいなチャンの滑らかな扇ぎ方は流石。京チャンが「ランプウェイ」で左手でハンドルを切る仕草や「ミラーボール」で左肩からキレよく上手側を向くのがカッコイイ。
 1番のBメロでグラサンを床に置いて踊る京チャンの緩急、真上なら真上・90度なら90度というキッチリ美しい瞬間瞬間のポージング、ガッツリ腰を落とすダンスが大好き。
 サビが一緒に踊りたいくらい楽しい(勿論超ヘタクソだけど)。「オーバーヒート」のところのバイクを吹かす振付が好き。1サビ終わりで腹筋だけでグィィィンと床から起き上がるさえチャン・ゆいなチャンの体幹からのバイクブォンブォン吹かしながら前進してくる京チャン!(後ろに乗せてくれ~!)
 大サビの「トレンディ」でダブルピースのらんチャンが良い。らんチャンは、2部芝居部分に限らずこの曲中でもガールズ内で最もキャラを貫いていたと思う。
 最後の最後、5人が一直線で少しずつ振付のタイミングをずらして踊り、「モウ・マン・タイ」で外側の人から順にポーズを決めていくところが好き。
 単にバブリーで享楽的なわけではなく、サビの歌詞がさり気なく良いのもこの曲の好きなところ。「このひとときの青春 セピアには染まらない」「時代が変わっても 貫けばモウマンタイ」、思い出はいつまでも色褪せずに鮮やか。好きなものは好きと堂々としていれば良い。…全くその通りである。

 ところで…(かなりの小声)
 こんなことを思い付く不届きな輩は私だけかもしれないが、歌詞を改めて文字で読んでみて、その際の振付も勘案すると、2番の歌詞はひょっとして何か含みを持たせてある…???と勘繰ってしまう。

**歌詞**
ミラーボールの下光る アナタだけのダンスフロア
セクシーな腰つきに アナタ以外アウトオブ眼中
息を切らし汗ばむ アナタの手が熱い
溶けそうよ壊れそう 止めないで
******

 1番にも同じようなシーンがあるのだが、2番のまさに「セクシーな腰つきに」の振付が、セクシーを軽く飛び越えている。Bメロでさえチャンと京チャンが絡みだしてからも、とても上品なのだが大変オトナな振付で…(ry

 …それはともかく、真っ当な余談で話を元に戻す。
 曲のイントロで、京チャン・さえチャンがランウェイを歩くように舞台前方に出てきて、ポーズを決める(京チャンに寄り添うさえチャンの顔の角度やサングラス越しの表情がまた巧いこと)。このとき京チャンがグラサンをずらして客席にウィンクを飛ばすのだが、観に行った際どうやらそれを頂戴したようだ。
 京チャン、嬉しい思い出をありがとうございます!

ガールズトーク

 京チャンが次の曲の着替えをしている間、娘役さん4名でのミニトークがある。その日のテーマは公式SNSにて随時募集してくれていた。
 本町カフェで「質問をいただくことで役について更に深まった」旨の話があったが、2部の役柄のまま会話するコンセプトで、毎公演様々な話が聞けたので面白いコーナーだった。
 テーマ発表はひよりチャンが担当で、あとは自然に会話する形式。
 観に行った公演では、偶然か私が質問した「オーナー京チャンとの一番の思い出」についてお話ししてくださったのがとても嬉しかった。
 曰く、
ひよりチャン:幼少期に腕相撲大会をし散々負けたこと(京チャンは実は上腕がムキムキ!byらんチャン)
らんチャン:一緒にのど自慢に出場し、デュエット曲を歌って優勝したこと(巷では噂の伝説の回で、Bar京我に録画のVHSが置いてあるはず)
ゆいなチャン:サークルの初めての飲み会で酔いつぶれてしまったのを、2個上の京チャンが介抱してくれたこと(そのとき”だけ”は京チャンがイケメンだと思った、とのこと。どこまでもクールなゆいなチャン)
さえチャン:上司に怒られてムシャクシャし外で飲んでいたところ誘ってもらい、京チャンの店でBarデビューしてBarのイロハを優しく教えてもらったこと

 先に少し言及したが、蘭さんが最も役(らんチャン)のまま、このトークでも振る舞っておられたと個人的には思う。ふいのリアクションの一言など細かいことも含め、芸名のご自身をウッカリ出さないよう公演期間の序盤から徹底しておられたように感じ、その芝居力の高さに唸らされた。

5曲目:さくら男道

 これまでとは一変し、和の場面。しかし不思議と唐突感は覚えなかった。
 京我さんの芸名をテーマにした曲。とにかく”粋”。
 着流し姿(青い浴衣がとてもお似合い)にちょっとした仕草、踊り方、歌詞まで、全てが粋でカッコイイ。そして曲調に加えて座右の銘に挙げていらっしゃる「やったもん勝ち」も出てきたり、威勢が良い。これからますます勢いに乗って男道を邁進していかれるであろう京我さんにピッタリ。
 浴衣の襟をスッとなぞる仕草、「それがこの俺よ」で胸をバンと叩く仕草、2番の踊りの全て、それらが大好きである。語彙力が皆無なので繰り返しになるが、ひたすら粋でカッコイイ。
 さえチャンと花火を眺める場面が素敵で、夏の公演にピッタリなうえ、いかにもお江戸らしくて良い。(なお、京我さんは渋谷区ご出身とのこと)
「京の人が集う都 我を貫き生きていく 今日も自分を磨くのだ いなせな男の生きる道 それがおいらの男道!」
 今作ですっかり京我さんファンになったので、是非とも一日でも長く男道を歩んでいただきたいなと思いながら聴いていた。
 それにしてもこの公演で、まさか和の京我さんまで堪能できてしまうとは!改めて、嬉しい場面だった。

 ここでも余談だが、京チャンのカッコよさが更に増し増しになる出来事があった。恐らく楽前日(9月7日)からと思われる。
 何と、2部の髪型(六四分けくらいで前髪はサイドに垂らす感じ)のままではなく、この曲からがっつりオールバックにしてこられたのだ!!!この破壊力が凄まじかった。更に3部にかけて、シケの有無をマイナーチェンジしてみえて…最後の最後でこう来るとは、京チャンはどこまでも粋だ。

3部

1曲目:Replica

 OSKファンの間でもこの曲が大人気であるらしいことが本町カフェで判ったが、私も今公演で一番好きな曲と言われればReplicaである。
 ダンスも全てカッコイイし、文字での表現力を持ち合わせていないのが残念でならないが、あの独特な曲が大変癖になる。
 このReplicaも結構な早替えシーンのはずで、「さくら男道」の2番だけという僅かな時間で、頭から登場のお3方は一体どうやって衣装を着替え、ウィッグを外し綺麗な髪型を整えているのか、早業すぎてビックリしてしまう。

 曲の始まりは結菜さん・蘭さん・ひよりさんの登場。最下級生のひよりさんがセンターポジションなところが、OSKらしい柔軟さを感じられて好きだ。AメロBメロは蘭さん・ひよりさんが歌唱担当。歌詞にどうしても聴き取れなかった部分があり、好きな曲だけにちょっぴりモヤモヤが残っている。
(ひよりさんパートの「超現実的なテンジョウ(?)のプラチナのリュウトウ(?)」が判らず…)

 この曲は、結菜さんのダンスのしなやかさが全曲の中で最も際立つ曲だったように思う。1番のBメロ「感情のままに輪郭をゆがめ 正解も不正解も」で3人が縦一列になるとき、結菜さんがスッと上手後方から最前ポジションに歩み出て来て、クールにポーズを決めたと思ったら超絶しなやかな(特に腕や上体の動き!)ダンスでまたスッと下手のポジションへ移動していってサビに突入する、その一連のインパクトが凄くて、それを観ただけで噂通りのダンスの凄い方なんだなと思ったほど。
 1サビが終わり間奏部分、右手を左肩に当てる振付や、指パッチンしながら腕でリズムを取り人差し指でシーッして上半身だけ後ろに捩じるような動きがあったが、それらの振付の際、結菜さんがふいに優しく微笑されるのが凄く好きだった。無表情気味に踊る曲なので、その瞬間の表情を密かに楽しみにしていた。

 続いて水葉さんが登場するが、これがまた衝撃的だった。金髪のアシンメトリー(ボブとロング)ウィッグ姿。これがいい意味で少し不気味で、それと三白眼気味(多分敢えてそうなさっている)の無表情とがあいまって、アンドロイドっぽい無機質さを醸し出していらしたのがこの曲にピッタリだった。(華月さんPSの際水葉さんと同ポジションだった唯城ありすさんとは別の、オリジナルウィッグと思われる)
 そして、いよいよ京我さんがご登場。舞台後方から前方へ出てくるときの、肘を曲げた状態で腕を身体に付けたまま2回ターンする振付、これが今作では色々な場面で複数回見られたが(『You're My Precious』『Fever time』等)、私は京我さんのこのターンが無性に大好きである。

 大サビは5人でのコーラス。この曲の5人のコーラス、聴き心地が良くて何度でも聴きたくなる。出だしの京我さんの「Ah~」が好き。A2~A3席辺りに一瞬だが京我さんが片脚客席降りをしてくださる。頭に左手をやって腰をくねらすような振付で、ZAIKOの不鮮明なヒキ画で観ていても表情含め色気が半端ではない。
 しかし本町カフェによると、実は京我さん自身はこの片脚降りがちょっと恥ずかしくて「意を決して」やっていたしたそう。
京我「あんなにお客様の目の前で謎に腰を振り回して、どうなの?!と思っているんですけど」
結菜「あれも胸キュンポイントなんですよ!!!」
京我「そうなんですね」
結菜(間髪入れず)「そうなんです!!!」
蘭(モニターの視聴者コメントを見ながら)「『ドキッとします』って」
 結菜さんが本町カフェの全視聴者の心の声を代弁してくださった!仰る通り!あんなの観客は嬉しいに決まってます、京我さん!
 余談だが、華月PS・京我PSともにこの片脚降り席付近で観たことがある知人曰く、「華月さんは元気溌剌な目だったが、京我さんのはネットリしたすんごい目だった」。ネットリしたすんごい目…!是非とも至近距離で見てみたかった。遠征民でなかったら追いチケしたかった。

 さて、客席降りのあともう1つ狙い撃ちポイントがある。京我さんが舞台に戻り上手寄りに移動し、最後の歌詞「私もあなたも表情の無いレプリカ」を歌われるところだ。実は観に行った際、ここは私が食らった(思い込み)ポイントでとても嬉しかった。目が合うのは「あなたも」の一瞬で(振付で手も差し伸べられる)、ハッキリは覚えていないが眉がやや下がった悩ましげな表情でいらした気がする。

 まだまだ大・大・大好きなReplicaの話は終わらない!!!
 歌い終わってからの間奏も好きしか詰まっていない。

 まず全体的には、ピタッと止めるポーズとゆったりして(動きの残像が残るくらいの)しなやかな振付とが交互に織り交ざるようなダンスで、永遠に観ていられるぐらい個人的にハマった。
 したがって全部の振付が好きなのだが、特に間奏が始まり最初のポーズ(右腕を前、左腕を横に出し、曲げた左脚に前傾姿勢で乗り、右脚を左後方に伸ばす)の京我さんが、超低重心で右脚がかなり左にきている、その姿勢(どうやったら一瞬でそれができるのか)がとんでもなくカッコイイので必見。
 あとは厳選するなら、後半で、顔は正面だが体は上手向きに非常口のピクトグラムのようなポーズをし、続けて右脚着地してから腰で左・右とリズムを取るところで、京我さんの手指の細かな表情と全体的な下半身の動きの綺麗さ、ステップにニュアンスがある感じがなんとも魅力的である。
 最後、両腕を大きく回す振付のあと全員が正面に向き直ってからの部分も、京我さんのステップの腰が入った感じや顔回りで動かす手の瞬間瞬間のポージング、一本ずつ閉じられる指の美しさ…何度でも見入ってしまう。

 今、この文章を書いていてふと思ったことがある。娘役さんは、この3部のようにロングスカートの衣装だと、ダンスの下半身の動きが見えづらいぶん一緒に踊る他の方たちと差別化しにくいというか、やはり魅せ方に苦労なさるのだろうか。男役さんはズボンで細かい動きが見えやすいから、私のような素人観客でも、感覚的に好みのダンサーさんを見つけやすい。
 何はともあれ、京我さんのダンス、大好き(結論)。

2曲目:Epitaph

 ロックな曲調で、この公演唯一の京我さんソロシーン。ダンスは少なめ。
Epitaphとは墓標、碑文の意味。
 私の知能が足りないのか、未だに歌詞の意味が理解できていないので、残念ながら消化不良な曲。備忘に歌詞を記載しておく。
(京我さんは歌がとても明瞭で、epitaphも一発でそうと聴き取れた!)

**歌詞**
刻まれた足跡 そう君のepitaph 人知れず寂しげに 吹く風の中
何を求めたのか 誰を愛したのか 眠るのは君じゃない
始めからこの世界に 君はいなかった
★終わりなき夢 過去も未来も 記憶からすぐに消えてしまう
 砂漠の月に 君は願った この痛みでいい せめて覚えていたい★
★繰り返し
******

 サビ後の間奏で上手側のLEDパネルに壁ドンしてからチャーンの音で両腕を下ろして天を仰ぐ振付が格好良くて、京我さんはじめ皆さんのお気に入りのよう(ソース:本町カフェ)。それも同感だが、個人的には大サビのラスト「せめて覚えていたぁぁあい~~いぃい~~」を苦悶の表情で熱唱する京我さんも良いと思う。

3曲目:威風堂々

 本町カフェによると、テーマ曲やこの威風堂々は華月PSが始まる際、この新しいPSシリーズのために新しく作詞・作曲されたもの。折しも楊琳さん・舞美りらさんが退団されるタイミングで”未来へ繋ぐ””舞台に立つ者の存在意義”など、色々な意味を先生に盛り込んでもらっており、観客にどう伝えるか、稽古場から皆でずっと考えながら日々舞台に立っているとのこと。
 確かに素敵な歌詞の歌で、私も好きな曲の一つである。

**歌詞**
伝えたい言葉がある その伝え方は違ってていい
心から心へ繋ぐ それぞれの想い胸に抱えて
★互いが互いの欠けたピースで 出会うことが運命を動かして 夢を象る
 遥か未来へ 途切れることなく 受け継ぐいのち 煌めく星になる
 踏み出す勇気 道を拓き 新たな時代の 希望になる
 歓びを歌えば 輝きは増す★
★繰り返し
******

 間奏のダンスのあと、皆さんが横一列で一斉に舞台の最前方へバッと進み出て来て歌ってくださるのがとてもいい。それだけで歌詞のメッセージ性がより強まる気がする。この曲もコーラスが素敵。振付では「踏み出す勇気 道を拓き」のところの、背中側に進んでいく感じのステップが好き。

4曲目:Wishing well ~finale~

 この公演のテーマソングをラテンアレンジしたものである。本町カフェで蘭さんも話していたが、最後にもういっちょ盛り上がるぜ!感があってとても楽しい曲。
 1部の同曲よりも皆さんの歌も熱を帯びて、楽しさと勢いを全面に出して、歌詞もストレートにぶつけてくれる感じがまた良い。
 サビ後の間奏やラストの間奏の、ラテン調ダンスが格好良くて大好き。特に前者の部分で、客席に背中を向けた状態で手をパン、パパンと叩きながら下手側にステップし、右脚を蹴り上げて右腕を水平にしながら上手側に半回転ターンするところの京我さんのポーズが完璧にカッコ良くて、あの舞台写真が是非とも欲しかった(残念ながら売られていなかった…)!!!
 歌い終わりの「溢れる愛をあなたに」のあと、〆のもうひと盛り上がり!という感じのダンスが楽しい。公演パンフレットの稽古場写真にも一番大きく載っていた全員でのダイナミックなポーズでのジャンプが特に好き。足を前後するサンバステップで、最後まで体幹からしっかり動いている京我さんの手を抜かない全力の姿(勿論5人全員がそうだった)が印象に残った。

ご挨拶

 主演の京我さんからの挨拶。基本的に決まった内容(観劇のお礼、次回公演日時やThe tale of Genjiの案内、公演パンフ販売の紹介)が多いが、観に来てくれた劇団員さんの紹介もあったりする。それほど話し馴れていらっしゃらないのか、接続詞が9割方「そして」なのが、先ほどまでのカッコいい舞台姿と大きなギャップで可愛い(笑)
 私が観に行った日(8月25日16時半)は、入団1年目の華妃ダリアさんがお誕生日当日に観劇しておられ、Bar京我のアドリブでもそれに絡むものがあったので、この場で改めてその件にも話が及び、裏話も披露してくれた。
 何と皆さん、開演後に華妃さんがお誕生日だと知ったとのこと。19時公演のGenjiのためBPの楽屋入りしていた登堂結斗さんが急にやってきて教えてくれたそう。(Genjiで登堂さんと共演している、華妃さんの同期の桃白透衣さんが恐らく情報源だったのでは…というのが私の推測)
 このご挨拶の場で京我さんが改めて客席の華妃さんに「本当に今日がお誕生日ですか?」と確認し、華妃さんから元気な「はい!」が返ってくると、客席の我々も改めて華妃さんに拍手を送ることができ、その場が一層一体感を増し温かいものになったのが、いい思い出である。

 ご挨拶が終わると、お馴染みの桜咲く国を全員参加で楽しんで、終演。

まとめ

 今年4月に春のおどりとGentlemen 2を観に遠征(当時は信州に住んでいた。今は東京)した当時、京我さんはBPでGenjiを主演されていた。京我さんだから観たいという意識はその当時特に無かったが、せっかくなのでついでにGenjiも観るかと思っていたところ頭痛で断念、生の舞台姿を拝見できる貴重な機会を逸してしまった。(今になって、這ってでも行けばよかったと激しく後悔している…)
 そこから月日が経ち、8月になり、XのTL上で京我PSの撮影タイムの画像や動画をチラホラ見かけ、更に夏のおどり千穐楽の際のアドリブ(京我さんがやんりら強火担ぶりを発揮した旨)を読んで面白そうと思ったのが、今公演をひとまず配信で観てみようと思ったきっかけである。
 まずは該当アドリブを含む回の配信を観たら全編がとても面白く、一度で心を掴まれた。そして、元来ハマると細かいところまでマニアックに観まくる質なので、2部がアドリブの宝庫ということもあり配信を幾つか観るうちに、京我PSと京我さんにどんどんハマっていった次第である。
(それでこの感想記もこんなに長くなった)

 しかし、何故そんなにハマったのか。
 京我さんのパフォーマンスに魅せられたことや、オリジナルの2部の演出が素晴らしくてこれ以上ないほど面白かったことも理由の一つではあるが、1部・3部も含めた公演全体が楽しかったことを思うと、もっと根本的な理由があるはず…
 それは、この5人のチームが素晴らしかったことだ。
 京我さんは、歌・ダンス・お芝居どれも魅力的で、お一人でも大変華のあるスターさんだが、今作の男役1:娘役4という特殊な比率においても、唯一の男役としていわば”出過ぎて浮いてしまう”ことも、言わずもがな逆に埋もれてしまうこともなく、どの場面でも絶妙な佇まい具合、出力加減だった。5人それぞれの実力や存在感のバランスが良くて、観ていて心地良い、”チームを感じられる”公演だった。
 水葉さんが「京我さんと共演すると自分の引き出しがどんどん増えて、今回は丸ごとタンス一つ分くらいいただいた」と千穐楽で仰ったり、ひよりさんが千穐楽後の公式ブログで「些細な変化もすぐに気付いて下さる京我さん」と書いておられたり、結菜さんと京我さんが組んで踊る際の目での会話のエピソード。
 それらを見聞きした上で感じたのは、京我さんは共演者と魅力を引き出し合って一緒に輝くことに長けている方なのではなかろうか、ということである。(あくまでも私の勝手な推測に過ぎないが)

 パンフレットのQ&Aで京我さんが「このチームはなんだかシルバニアファミリーのような雰囲気があります」と書いておられるが、なるほどそうなんだろうなと感じることが、この公演を観ていて多々あった。
 一人が突出して引っ張るのではなく、皆で魅力を引き出し合って素晴らしい成果を生む。京我PSはそんな素敵なチームだった。5人全員が大好き!

 改めて、公演期間中の楽しい日々を、本当にありがとうございました。

 そして、結菜ほのりさんとは出会った公演でお別れとなってしまい大変残念だが、最後に魅力的なダンスの数々をお見せいただけて本当に良かった。クールでカッコよすぎるゆいなチャンのキャラクターも忘れられない。
 ご卒業おめでとうございます。この先の人生にも幸多からんことをお祈りしております。

 …しかし京我さんのギャップの大きさには驚いた。
 劇団の公式Xや公式ブログで目にするオフショットだとかなり女子度が高めなのに、いざ舞台に立たれるとバリバリにカッコよく素敵な男役さんで、そのお姿にすっかり魅了されてしまった。
 京我さんは魅惑の舞台人である。

ーおわりー




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