不公平な奨学金免除問題の実態と、金に溺れないようにするためのマインド
奨学金免除に関する情報は、大学院に進まれる方は目にしておく情報です。多くの場合、日本学生支援機構の貸与型奨学金を借りることになると思います。
修士学生だと8.8万円/月もしくは5万円/月
博士学生だと12.2万円/月
を留年することが無ければ、卒業まで借りることができます。研究や学問に打ち込むためには、非常に良い制度で、バイトなどにより生計を立てている場合に、バイトの時間を減らして、学問や研究活動に打ち込むことができます。
しかし、問題があります。奨学金免除問題です。これは優秀な成績を残したものに返還を免除するという制度で、各大学ごと、さらに学部ごとに数人割り当てられているものと思われます。
そして、恐らく下記項目が返還免除の評価項目になっていると推測しています。
①講義評価
実質差はつかない
②論文数、特許数
0報と1報では大きな差があるが、2報目からは大きな差はつかない?ましては、1stと2ndオーサーも差はない?
③専攻分野の学会の無償のお手伝い
学会を主催する機会が無いと実質的にお手伝いをする機会が難しく、運が無い限りはこの項目で評価を得ることが出来ない。そして、無償がポイントであるので、皆が有償で手伝いう中で、無償で手伝わなければならない。
④国内学会発表数
0と1では差はあるが、2件以上は差が無い印象
⑤国際学会発表数
0と1では差はあるが、2件以上は差が無い印象
⑥受賞歴
0と1では差はあるが、2件以上は差が無い印象
これら、評価項目を平均的にこなすものが、返還免除を受けるため、研究に優秀な者が受けることが出来ていない実態が問題となっています。
また、研究分野で論文の出しやすさであったり、教員が執筆して1stを貰うことが出来たり、先輩の論文に名前を入れてもらうことができたり、と平等な世界線からは程遠い世界となっています。
これは、もう意識してとれるようなものでも、優秀であるからとれるものでもありません。
私が思う、
研究に優秀な者の評価指標は、
①1stで論文を執筆しているか
②IFの高い雑誌に投稿しているか
③論文数
であり、1stでIFの高い雑誌に沢山論文を出す人が良い研究者だと考えています。
中には、先輩の引継ぎで論文化されるラッキー者がいますが、この評価項目では、そういった輩を圧倒的な研究量で凌駕できる可能性が残っています。
こういった評価項目が研究への熱をさらに引き上げるのであれば良いのではないかと考えます。
既存の評価項目だと、研究に真面目に打ち込まなくても返還免除を取ることが出来てしまいます。実際に、そういう現場になっています。
知り合いの話では、査読有論文を5報、海外に研究留学数か月行き、その成果を国際学会で口頭発表をした実績を残した(A氏)ものの、
論文2報、日本で開催された国際学会でのポスター発表、身内の学会でポスター賞を受賞した人(B氏)が、返還免除を貰ったみたいでした。
既存項目を平均的に満たすように行動したほうが返還免除される良い例です。
返還免除を目的とした行動しかしなくなる傾向にあります。
こういった話のその後まで語られることはあまりませんが、上記二人のその後の話を聞いたので、記載します。
まず、B氏はお金への執着が強く、自分さえ良ければよいみたいな性格だったみたいです。ですので、人とのつながりは浅く、平均年収基準でしか考えていなかった就職活動では大こけして、中小企業へ入社したとのことでした。
A氏はというと、自分の研究活動から、研究室に舞い込んできた共同研究、後輩の教育にも真面目に取り組み、人とのつながりが深く、周囲に協力的だったみたいです。そういった姿勢といわゆるいい人オーラというものが醸し出ていて、大手企業への就職を果たしたとのことでした。さらに、数年後に、転職にて業界トップクラス企業へと進まれたみたいです。
A氏は普段の研究活動で、研究に打ち込みながら周囲との関係性を意識して人格を形成していったため、このような結果の違いが生まれたのだと思います。
目先の利益だけでは、長期的に見て自分に不利になることは明らかであると思いますが、お金に取りつかれたものは正常な判断が出来なくなります。
確かに、不真面目な輩が返還免除を貰うことは非常に腹立たしいことです。学生からすれば、数百万円の差がそこで生まれてきてしまうからです。
しかし、日ごろ真摯に研究と周囲との協調性を意識して過ごしていれば、お金では身に着けることのできない価値ある能力、人格を身に着けることが出来ます。人とのつながりはお金では買えませんし、真面目にものごとに打ち込む姿勢というのは、何をするにしても大きな武器になります。
学生支援機構の奨学金は現状、上記に述べた不平等性が生じています。
しかし、世の中にはたくさんの給付金があります。
例えば、下記HPなどが挙げられます。
https://gaxi.jp/
これを活用してみてはいかがでしょうか。
あくまでも大切なのは、自分の能力開花と人格形成です。