みやげ
五十代の俺の友人といえばSで、Sも五十代で、そんなSが、柄にもなく俺にみやげをくれた。「ちょっと赤羽へ行ったからさ」とS。妙に古いビルに目が行ってさ、そんでふらふら表通りを外れて入った通りで買ったのさと言う。
五十代の俺が普段あんまり食わねえやつ。S曰く、「俺もあんまり食わねえんだけど」。
俺がよく食うぎょうざよりも小さめ。こういうのって横浜名物じゃないのと言うとSもそう思っていたと言う。
包装紙に浅草と赤羽の番号があるのにはびっくりした。よりによってなぜ、この二か所なのだろうかと思った。S曰く、「『あ』のあるところじゃねーの?」。そんなら、麻布、明石、秋川、赤穂、足利、阿蘇、厚木、なんかにもあるのか?しらん。
うんちくなんかどうでもいい。食えばわかる。味音痴の俺、頭の足りない俺に、こんな古そうなものについて言う資格はない。それにしてもSめ。俺がこれを書いている間に残り全部食いやがった。俺へのみやげじゃなかったのかよ!