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9/14 縛羅天11

鳴機みきです。

ご縁があり、凰ヒロさん主催の縛羅天11を観覧してきました。
私にとって初めてのSMショーです。期待の仕方もわからないなりに胸を高鳴らせて臨みましたが、予想を軽々と超える素晴らしいショーに魂を揺さぶられっぱなしでした。

SM歴はごく浅い(1ヶ月半)私ですが、緊縛をはじめSMという営みには、矛盾した事柄(苦痛 / 快楽、不快 / 快など)が同時に成立する不可思議な特性があるように思います。私はこの不可思議さが大好き(かつ理解を超絶した状態のあることが"いい意味で"不愉快)なのですが、出演者の皆様は卓越した技量をもって、そしてオリジナリティをもって、その不可思議を表現されていました。

今回のような場が可能となったのは、縛羅天を取り仕切ったヒロさんの透徹とした信念と、その信念に基づいた寛容さがあってのことだと思います。そのためまずはヒロさんに感謝したいです。ありがとうございました。

さて、以下では出演者の皆様のショーに対する感想を書いていきます。


縛羅天11①

凰ヒロさん×M女さん

私にとって正真正銘、初めての緊縛ショーです。初めて生で人が縛られているのを観ました。縄を受けといてなんですが、結構迫力ありますね…当然ちゃあ当然ですが、目の前で女体が縛られ、吊るされるというのは、やはり異常事態なのだなと思います。怖くて、どきどきして、そして羨ましい。
正直にいうと、緊縛を観るのは全く初めてであったため、ヒロさんの緊縛が他の方のそれと比べてどうなのか、観ているときは分かりませんでした。でも、その後で他の方の縄を観、振り返って思うのは「なんか生々しかったくない?」です。縄の運びが洗練されているのは素人目にもわかるのですが、しかしどこかラフさというか、絵画で喩えるなら筆のあとが辿れるような、なんだかそういう「生っぽい崩れ」があるように思えます。もしそれが計算の結果だとしたら…恐ろしい人ですね。

羽月棗さん×M女さん

棗さんのフェロモンがムハムハすぎて窒息するかと思いました。私は「女王様の本気」を見るのも初めてでしたが、女王様が「様」をつけて呼ばれる理由がよく分かります。M女さんの、迷い、怯えた心(それを表現するM女さんも最高でした)を遊びつつ矯正するために必要な格、すなわち気高さと確固たる自信が棗さんの所作に表れています。降参しましたという感じです。

Georgeさん×M女さん

「コスプレ撮影会」というコンセプトなのでしょうか。春麗のコスプレをしたM女さんに突然、マスクとサングラスで帽子を深々と被った男(Georgeさん)が襲いかかります。顔の見えない不気味な男に女性が蹂躙される様子には、それが演出であると分かっていながらも戦慄を覚えます。「緊縛は芸術である」というのは欺瞞で、やはり(同意があったとしても)それはあくまで乱暴ではないか。いけないことだからこそ、緊縛は「よい」のだと考えたりしました。

長田一美さん×神崎みいさん

お二人とも明らかにベテランです。一美さんがみいさんに交際を申し込む演出から始まるのですが、一美さんが渡した花束を、みいさんは全部観客のみなさんに流してしまいます。一通りそのやり取りが終わったら緊縛です。途中みいさんが一美さんに「そこちがう!」と叫んだり、他のショーとは明らかに様子が違って楽しかったです。フィニッシュは花吹雪。観終わったあとなんだか元気になるショーでした。

縛羅天11②

BESTさん×美沙さん

折目正しいという言葉がふさわしいショーでした。縄を締めるとき、美沙さんを抱きしめるとき、女体に視線を這わせるとき…全ての所作が丁寧でした。将棋の駒を指すときの「パチン」という気持ちの良い音が聞こえてくるような感じ。全ての動作に思考を感じるのですが、だからといってぎこちないところは一切ありません。BESTさん、美沙さんの風貌も含め、完成度が高いなという印象でした。

眠里柊さん×M男さん

最後尾で観るのが惜しいショーでした。というのも、柊さんの指遣いなど細かなところがとにかくエロティックなのです。指の関節や、眼差しの運びをもっとまじまじと観たかった。細部にわたって女王の品格を宿した柊さんに調教されるM男さんが気の毒でありながらも、反抗的な態度が崩壊し見た目から何から作り変えられる様はマゾヒスト垂涎の光景です。あとスタンガンにグッときました。電流はえっちなのです。

菱川みひろさん×遊佳さん

坂口安吾「青鬼の褌を洗う女」の朗読とともに、縄が遊佳さんに通されていきます。みひろさんも遊佳さんもくしゃくしゃに笑う方で、心からこの場を楽しんでらっしゃるのが伝わります。お二人の熱をもった関係のおこぼれをもらう形で、私もなんだかむず痒い気持ちになっていると、団子のようになって吊るされた遊佳さんをみひろさんが、これまたくしゃくしゃの笑顔で突き飛ばし遊び始めました。背筋がすこしひんやりとしました。

瀬川みおりさん(観客調教)

ショーというか事故と言ったほうが正しいかもしれません。大トリにふさわしい大惨事でした。ピョコピョコと踊るようにM男さんたちを調教するみおりさん。ハッピー・ポップ・グロテスク。人をオモチャにする覚悟・オモチャにされる覚悟を見せつけられました。ショーのあとヒロさんが「僕が普通のアイドル呼ぶわけないじゃないですか。みおりさんは最終兵器ですよ」と悪魔のような高笑いをしていました。

打ち上げ・総括

「私の人生にはエロが必要だ」とはかねがね考えていることではありましたが、そのエロというのは私が考えているよりもはるかに奥深く、極めがたいものなのだと、今回のショーだけでも感じます。今回の演目のそれぞれは、だいたい「エロ」「エッチ」「SM」などの言葉で表現されるのでしょうが、そんな単純な言葉には尽きない、もっと人間にとって根源的な何かが露わにされていたのではないか。それは、人間の身体=欲望という、言葉や理性なんかでは捉えきれない混沌だ。そんな大層なことを考えちゃうくらい、今回の縛羅天は私にとって衝撃的なものでした。また観たいなあ。
打ち上げではありがたいことに、演者さんの数名とお話をさせていただき、感動をお伝えすることができました。嬉しい!

まだまだいくらでも書けますが、キリがないのでここまで。
読んでいただきありがとうございました。
SMっていいなー!

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