読書メモ『脱属国論』
アメリカが日本の同意なしに在日米軍基地を使って他国への攻撃を始めた場合、日本はアメリカの後方支援としてアメリカの戦争に立派に参加していることになる。自動的にアメリカの戦争に巻き込まれ、敵国からの反撃を受けるリスクを背負うことになる(p.25)。
北朝鮮ですら国際法を守っている。「火の海にしてやる」といっても「原発を狙ってやる」とは言わない。原発への攻撃は国際法で「戦争犯罪」とされているから。日本は9条のせいで戦争犯罪を裁く法体系をもっていないので国際法に対応していない。国際社会からそのことを批判されないのはまだバレていないから(p.31)
志位さんは「日本が侵略されたら自衛隊を含むあらゆる手段を使って対処する」と言ってる。youtubeにも残っている。「あらゆる手段を使って対応するが軍司法制度の法整備は必要ない」=「侵略されたらジュネーブ条約も戦争犯罪も無視してボコボコにしてやる」ということ。極右集団さながらのセリフ(p.35)。
憲法の英語ではwar potentialなのに、安部改憲でSelf Defense "Force"を明記するというのは外国人には冗談にしか見えない(p.50)。
木村草太は「憲法13条があるから自衛権の行使はOK」と言っているが、「人が殺されないように守るためなら戦争してもいい」と都合のよい言い訳に利用されてしまう。そうならないように国連憲章51条がある(=自衛権を行使できるのは武力攻撃されたときに限定)。木村の論法は「拉致問題解決のために北朝鮮を武力攻撃しろ」という右派と同じ。(p.72~3)
徴兵制があると国民が好戦的感情に流されにくくなるので、戦争しにくくなる(p.106)
トルーマンも原爆投下は悩んだが「ジャップはビーストだから」と最終的に決断した(←オリバー・ストーン「もうひとつのアメリカ史」)(p.112)
山尾志桜里は次の選挙でなく次世代のことを考えているステイツマンである。辻本はその山尾の立憲的改憲には何の言及もせず「選挙区を大事にしなさい」といった。頭にくる。(p.124)
米朝合意に至ったら、日本に向けられた北の核はそのままになる。アメリカとしてはアメリカ本土に届くミサイルさえなければよい。(p.135)
北朝鮮がワシントンとヨーロッパに届く核ミサイルを完成させ、その存在を世界が受け入れる方が日本の戦略的利益になる(欧米とリスクを共有できるから)(p.136)
朝鮮戦争の「国連軍」に日本は入っていない=休戦が破られた場合、安保理の承認を待たずアメリカを中心とする12か国の協議で再開を決定する(日本はそこにいない)が自動的に日本は交戦国になる(←在日米軍基地が使われるから)。(p.174)
イラクやリビアがアメリカにやられたのは核を持っていなかったから。それを北朝鮮もよくわかっている。(p.181)
北朝鮮は核保有国として認知されたら核兵器をイスラム過激派に売るような馬鹿なことはしない。(p.184)
金正恩は改革開放経済路線をやりたい。欧米や日本が核放棄に固執しているとそれを妨害するだけ。(p.192)
国連の頂点にいる中国が「侵略」に見せることはない。すべて「自衛権の行使」に見せる。つまり、先に自衛隊が打ったようなシナリオにするはず。(p.196)
在日米軍基地は日本を守るために存在するのではない。アメリカの世界戦略に必要な軍事拠点。(p.239)
日米安保条約は日本を守るためではなく、アメリカの世界戦略の軍事拠点として日本を利用するため。(p.247)
私(井上)の言う徴兵制は軍国主義ではない。一握りの兵士だけを戦地に送るほうがよほど危険。(p. 258)
オバマ政権がNFU(No First Use)を宣言しそうになったとき、安倍首相がやめてくれと頼んだ。日本に対する通常兵器により攻撃に対してアメリカが核を使わないと宣言することになるから。(p.268)
地位協定の横田ラプコンは交渉すればすぐになくなる。(p.275)
共産党は選挙区に候補をたてることで野党共倒れ=自民に塩を送る、ことをしながら「確かな野党」(=「万年野党」)に生きがいを見出している。(p.308)
ソニーの盛田昭夫は財界の大勢に抗して企業収益の労働者への分配率の向上を主張していました。(p.335)
プロの軍人の方が慎重。我が身を安全地帯において自己利益を追求するシビリアン政治家の方が怖い。(p.337)
中国や北朝鮮が日本を攻撃するはずはないという田原氏に対して、伊勢崎氏と私(井上)は、戦闘は誤解・誤認、過激分子の行動など偶発的事故を引き金に起こるリスクが常にあると指摘した(p.351)
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