春をてんぷらにして食べた
採取
更新が滞ってしまっていたが、我が山にも春が訪れた。
3月はまだ肌寒く、高度もあまりない山なのに大げさな装備で山に臨んでいたが、4月に入ってからは、寒暖差は激しいものの比較的軽い装いでふらっと立ち寄れるくらいの暖かい日もある。これまでなんの草かわからなかったパッとしない草木にも花がついたりして、日陰者が主役になる時が来た。
山吹などは特にそうだ。冬の間は見栄えのしない厄介な雑草程度にしか思っていなかったが、花が咲いてみてどうだろうこの美しさ。造園用につくられた美しさとはまた違う、たくましさを内に秘める野花という感じがとてもよい。実際こいつは野花らしく根性がある。冬の間に何本か植え替えをしてみたが、無事花をつけはじめている。本来植え替えというのは植物の生命力が最も高い今頃に行うべきなのに、だ。山吹はどうやら花が食べられるらしい。香りはそこまで強くないように感じる。花の近くの葉は柔らかくて食感は悪くなさそうなので数本もいだ。
これ図鑑でみたことあると、珍しく自力で同定できたのがタラの芽(タラノキ)だった。細かくトゲトゲした直径2~3cm程度の幹の先端に芽を出している。芽のほうもややトゲが痛いくらいだったが、2本採取することにした。
これまで見なかった新しいキノコも出現した。虫の卵かと思ったがどうやら違う。触るとぷにぷにしていて、日に当てていたら干からびた。キノコは同定に自信がないので食べるのは保留にした。
持ち帰って調理
自分の山で採取したものを食べる。そういうことをしてみたかったのでやってみた。といってもタラの芽と山吹の花だけでは腹も膨れないので玉ねぎや人参を刻んでかき揚げついでに揚げていく。予めタラの芽と山吹の花は下茹でしている。
タラの芽は無限に食べられるプレーンな美味しさだった。春の野草というと、七草粥などから連想されるように癖をもったメンツが多い気がするのだが、癖はない。少しブロッコリーに近い食感があり、噛むと甘みがでる。これが自然に生えていて取り尽くされていないのが不思議なくらいの美味しさだ。
続いて山吹の花だが、こちらは茹でたことで量が少なくなってしまったので玉ねぎと人参とあわせてかき揚げにした。結論から言うと玉ねぎと人参の旨味で消されて山吹はあまりわからなかった。とりあえず食べられるということがわかった。
採って食べること
食べられるものが自分の所有する庭や山にあるととても嬉しい。実家の狭い庭でさえ季節になればブラックベリーやいちご、しそが味わえたし、直接食べられないものでもローリエなどは母が煮込み料理などによく使っていた。もちろんそれだけでは家庭の食材を賄うことはできかねるのだが、スーパーで購入する商品としての食材とは違って、地面に生えていたものが眼の前で食材となる体験は重要だと思う。これからも食べられるものがあったら食べていきたい。