
舞台 桃源暗鬼 感想
2月17日昼公演に行ってきました。本当に一番最初の公演です。
桃源暗鬼は原作が大好きでかなり思い入れが強く、普段であれば初日がいいというこだわりはあまりないのですが、今回ばかりはどうしても初日昼公演に行きたいと思っていました。チャンピオン先行の応募を失念しており、次のネルケハ先行では大阪公演のみ当たり東京は当たらず、次のプレリザーブでは席位置を捨ててサイドシートで応募して何とか当てました。
正直こんなに当たらないとは思っておらずネルケハ先行では絶望したのですが、それだけ注目度が高いんだと思うと嬉しくもありました。
今回は私を初めて2.5次元舞台に誘ってくれた幼馴染を誘って観に行きました。幼馴染は原作の5~6巻くらいまでは借りて読んだことある程度との事だったのですが喜んで来てくれました。ありがたい限りです。


別の記事でこの日のためにパーソナルカラー診断を受けたと書いたのですが、頂いたアドバイス通り、今回は四季イメージで黒中心に差し色で赤のインナーを入れるコーデで行きました。メイクもここぞとばかりに、あまり減っていない赤系のシャドウをガッツリ使っていきました。
私は一足先に現地に入って先行物販へ。ブラインドのグッズは恐ろしく自引き率が低かったのですが、ビジュアルのクオリティが高くて個人ブロマイドだけでも大満足でした。それでもアクスタがやっぱり欲しいのでもう少し粘ります……。
12時過ぎにいよいよ劇場内へ。席はE列の左端近くでやはり角度はありますが、それ以上に近い。近すぎる。待機中のスクリーンに映されたタイトル画面だけでも迫力がありました。私は観劇経験はまだ片手で数える程ですが、ここまで全てサイドシートでした。でも運のいいことにかなり舞台に近い席が多く見切れになった経験はほぼ無いこともあり、個人的にはサイドシートかなり好きです。

ここから公演のネタバレになります。
開演は13時からなのでしばらく席に座って同席の友人と話したりステージの写真を撮ったりと、ゆったり過ごしていました。そこに、開演のアナウンスやブザー的なものはなく、銃声とスクリーンに血痕が広がる演出で開演。この演出も少し驚きつつも、とても印象的で、一気に引き込まれるようなワクワクする好きな演出でした。
そして拘束された四季と無陀野のシーンから開始。(やっぱり尺的に最初の四季と父のシーンは削るしかないのか……と思いましたがこの後回収されたのでめちゃくちゃ安心しました。)
無陀野がローラースケートで舞台上を滑り、ホワイトボードを引っ張り出すシーンで本当にローラースケートやるんだ!! と感激しました。正直舞台の限られたスペースでかつ激しいアクションもある作品では安全面から難しいのではと思っていたので、本当にローラースケートを履いてくれたことがとても嬉しかったです。立花さんのローラースケートでの演技は観ていて全くブレないし、きっと安全面についてはかなり考慮された上で稽古での努力の賜物なのだと思い、凄く作り込まれた作品なんだと分かって安心感がありました。その後の四季との戦闘シーンでも、ローラースケートのまま傘を使った殺陣が本当に舞台映えして、無陀野の圧倒的な強さが表現されていてそこに無陀野がいる! と感動しました。
また、無陀野がホワイトボードで鬼と桃について解説するシーンや、その後の血蝕解放の演出など、とにかく映像の使い方が上手くて引き込まれました。異能力系の作品の舞台は初めてだったのでどう表現するんだろうと思っていましたが、映像を上手く使いつつ映像に頼りきりなのではなく役者さんの演技も迫力があって、凄く素敵な舞台演出でした。私は桃源暗鬼に限らず技名が大きくバン! と出る作品が大好きなので、そこも再現してくださって本当にありがとうございます。
そして本当に血蝕解放の演出、演技が本当に最高でした。暴走状態の四季、無陀野の雨過転生の軍人など、戦闘シーンの度にそうやって表現するんだ! と驚かされました。特に暴走状態の四季と四季本人の理性の部分の葛藤の表現で、四季と暴走四季が背中合わせになるシーンが印象的で大好きです。また、液体の表現を映像やマントを上手く使って表現するその表現力が素晴らしかったです。
そしていざ入学したシーンも各キャラの特徴が立っていてとても嬉しかったです。皇后崎も矢颪もそのままでそこにいるし、とくに遊摺部が実際に喋っているのを見ると原作以上にキャラの特徴が掴めて、全体的にシリアスで思い雰囲気を緩和してくれる存在なんだと感じて嬉しかったです。
その後、課外授業の鬼ごっこで屏風ヶ浦の血蝕解放が暴走するシーン、巨人や大量の血液の演出も印象的でした。それに屏風ヶ浦の気弱で何よりもお姉ちゃんが暴走して仲間を傷つけてしまうことを恐れる心情の演技がとても引き込まれました。本当に屏風ヶ浦がそこにいて、自分で抑えられない能力に苦しんでいる様が感じ取れました。
その後の父との回想シーンも本当に素晴らしかったです。とにかくお父さんが本当に優しい。五月雨に何度止められても、お父さんにとっては鬼神の子の四季ではなく、大事な息子の四季なんだって全力で伝えてくるようなそんな演技で、ここは本当に涙腺に来ました。
後半、いよいよ京都編が開始しますが、ここはとにかく唾切の演技が本当に唾切そのもので素晴らしかったです。正直唾切は悪役ガン振りで発言もかなり酷いキャラだと思っているので、舞台ではどうなるんだろうと思っていたのですが、セリフはほぼそのままに北村さんのメリハリのある演技もあって、とても悪役として迫力のあるキャラクターで嬉しかったです。真中も動く死体って表現かなり難しいと思うのですが、動く死体としての真中と生前の真中のギャップもあり凄く魅力的でした。
京夜も京夜がそのまま出てきたような再現度で、前半の緩衝材が遊摺部なら後半は京夜というような、締めるところは締めて、抜くところは明るく盛り上げる空気の作り方が本当に素敵でした。負傷者の腕を復活させるシーンも、話し方は明るく軽めだけど力強さ、頼りがいもある京夜の人柄がそのまま言葉に現れていて、観ていて安心感がありました。
この後凄く驚いたのが、パネルを使った演出でした。唾切の動く死体との戦闘シーンで障子を使ったシーン切り替えの表現が凄くかっこ良くて、みんなの戦闘シーンが目まぐるしく切り替わって、シリアスで切ないシーンでも凄く観ていてワクワクする演出でした。
また、蓬の戦闘シーンも素晴らしかったです。蓬の空間を作って閉じ込めるという能力、正直華やかなものでは無いと思うのですが、石川さんの格闘の殺陣とパネルを素早く動かす演出が、スピード感のある皇后崎の能力と凄く合っていて手に汗握る戦闘シーンでした。
今回私がかなり楽しみにしていたシーン上位に入るロクロの血蝕解放、本当に素晴らしかったです。ロクロの血蝕解放は本当に美しくて原作でも大好きなシーンだし、攻撃方法が舞なので舞台でも映えるだろうなととても楽しみにしていました。ロクロの回想も強くかっこ良くありたい感情が込められていて切なくて、舞は力強くもとても綺麗で本当に生で見られて良かったです。
今回の舞台桃源暗鬼は観ていて凄く原作へのリスペクトが厚くて忠実に大切に作られていることをひしひしと感じたのですが、一方で今回の京都編までの尺だけでは出し切れない魅力を引き出すオリジナルシーンとして矢颪の戦闘シーンがあったのだと感じました。京都編って矢颪の出番が少し少なくて元々矢颪が好きな私としては少し不安を感じていたのですが、彼の槍の殺陣シーンが始まった時あまりにも自然で最初はオリジナルシーンだと気づきませんでした。でも思い返してみれば槍のシーン初めて見たし、帰って原作読み返してやっぱり! と凄く嬉しくなりました。矢颪の能力のミソは、本人でも何が出るか分からないことであり、即ちあらゆる戦闘シーンを想定していなければならないということです。それができていることが矢颪の魅力だと私は解釈しているのですが、矢颪の血蝕解放シーンが一度だけだとその魅力は伝わりにくく、あの槍の殺陣はその魅力を引き出すためにとても必要かつ効果的なシーンだったと感じました。そういった理屈抜きにしても純粋にかっこ良くて凄く魅力的なシーンで私はこのシーンで本当に矢颪がもっともっと好きになりました。
芽衣と唾切と四季のシーンは本当に凄まじいものでした。子供相手にも容赦のない唾切と、絶対に守りたい四季の想いの熱いぶつかり合いは本当に観ているこっちも肩に力が入ってしまいました。そして戦闘シーンも特に四季が炎鬼として覚醒した後の殺陣が本当に素晴らしかった。色々な種類の銃を使うのに、銃の受け渡しやそれぞれの銃毎に撃ち方を変えたりと細かい動作の一つ一つにキレがあって、瞬きを忘れるほどの戦闘シーンで本当に最高でした。鬼として覚醒したばかりの荒削りな四季と、炎鬼として持って生まれた力とのギャップ、切り替えが本当に素晴らしかったです。
舞台桃源暗鬼、本当に素晴らしい作品でした。個人的に原作への思い入れが強くて今回の舞台化は本当に嬉しかったし、とてつもなく期待していました。でもその期待すらも超えて来ました。本当に最高の舞台を見させて頂きました。
この後の展開として、より舞台映えしそうな新キャラが出てくるのと、より鬼と桃の関係性として重要な要素が出てくるので練馬編もぜひ舞台化してほしいです。
大阪公演まで待ちきれなくて急遽23日夜公演も行くことにしたので、桃源暗鬼の世界に浸りつつ、初日に見落としている細かい要素を全部回収する気概で楽しんできたいです。
本当に全ての関係者の方々ありがとうございました。