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「私はつばめ、ペアゴルファーつばめ!」  【補足・設定】

《設定》

【キャッチコピー】

 君は1打に2回打つことができるか

【ファストゴルフとは】

 架空のスポーツ。かつては時短ゴルフとよばれ、発祥は日本。
 劇中においてゴルフは、旧来のゴルフと新しいゴルフとに二分できる。旧来のほうは単にゴルフ、あるいは区別するためにレギュラーゴルフともいう。
 新しいゴルフはファストゴルフと命名され、ペア競技と区別する必要がある場合にはファストソロともいう。プレーする人のことはファストゴルファーと呼称する。
 従来からあったマッチプレーとはルールを異にする。特徴は、
『3ホール先取制のマッチプレー(3アップ制とちがい、取って取り返してが発生しない)』、
『トーナメント戦』、
『グリーンにオンした時点でパット分とみなす1打を付加してホールアウト、ただしチップインした場合をのぞく』、
『グリーン上のボールに触ってはならない』、
『グリーンへの進入禁止』など。
 ただしパターというクラブそのものの使用を禁止してはいない。

【ペアゴルフとは】

 架空のスポーツ。発祥は日本。
 ファストゴルフからさらに派生したもの。ファストペアゴルフ、あるいは単にペアゴルフとよび、ふたりで1個のボールを打つ競技。プレーする人のことはペアゴルファーという。
 ファストゴルフからさらに変更となった点は、
『動いているボールを打ってもいい』、
『3秒以内の打突は1打として数える』など。
 従来からあるスクランブルゴルフやダブルスとは別種。たとえばテニスでいうダブルスとは異なり、フィギュアスケートにおけるペアの存在に近しい。
 とくに海外ではパートナーを放り投げる等のトリッキーかつアクロバティックな打法が用いられており、世界トッププロのティショットは600ヤード超にもおよぶ。

【3秒ルール】

 1打とみなされる、動いているボールを打ってもよい時間は3秒以内と規定され、これを通称3秒ルールという。より正確には、『ペアを組む2者のスイングは、3秒以内に終わらなければならない』。
 新しく興ったスポーツであるため、現在は審判員が3秒以内か超過したかを判定している。
 紳士のスポーツであるがゆえ、野球で言うところのチャレンジ制度は存在しないが、地元がひいきされているのではないかとされる疑惑の判定は存在する。
 劇中現在は最初のスイング開始から最後の打突までが3秒以内とされ、しかし翌年のオリンピックからセンサー内蔵のボールによる自動判定へと移行することから、自動検出の都合に合わせ、次年度からは最初の打突から最後の打突までの計測へと変更される予定。
 以降の規定は『ペアを組む2者の打突は、3秒以内に終わらなければならない』。

【デュアルショット】

 ペアが1打の中で2度以上打突するショットを指す。
 パートナーにハザードから出してもらった上で打ったり、グリーンを直接狙えないときに横に出してもらってから打ったりと黎明期は低難度。
 その後SNSの人気トリックショット動画を参考に、時を経るにしたがい多彩に進化、難度は上昇し続けている。
 国際的な技のランク付けも行われており、難度が高いほど使い手が少なく、より飛距離も出る。選手の体格や筋力にも影響されるが、1ランク上がるごとにおよそ50ヤード遠くへ飛ぶ。

《登場人物》

【大空つばめ】

 おおぞらつばめ。本作の主人公。不幸を絵に描いたような人物も、本人は至って明るくポジティブ。
 ボーイッシュで、女性だが一人称はボク。長崎県長崎市に付随する離島、東島・西島(2島間には架橋あり)にある唯一の高校、長崎県立長崎東西高等学校の1年生。現在は島内の児童養護施設にて暮らす。
 大空は過去に母親を強盗殺人事件で亡っている。ゴルフクラブが散乱する陰惨な現場を目撃したことがトラウマになっており、金属製のクラブを使えない。そのためゴルフバッグにはアイアンもパターも一切入っていない。
 事件後に父が帰ることのない遠洋漁業へと出発、当時小学1年生であった大空も同行。出航に際し、警察から返却されたゴルフ用品はすべて父により海へと投げ捨てられた。
 船上での勉学は通信教育にて。得意な英会話は同じ乗組員であるアジア系外国人から。
 ある日の朝、夢の中で伝説のゴルファーから贈与されたパーシモン製ドライバーが、突如船内にもあらわれる。のちに贈与主から名前をもらいボビーと命名。船員は呪いのクラブと呼んで恐れた。
 大空は木製クラブであれば発作が起きないことが判明。以降は甲板で、唯一の友達であり遊び道具でもあるボビー1本を振り続けた。
 荷揚げなどで上陸した際にときおりコースを回ることがあったが、木製クラブ1本だけでラウンドする大空に周囲は奇異の目を向けた。
 父が精神を病んで船を降りることとなったことから帰国、父の親友である水守父らの計らいにより10年ぶりに西島へと帰る。長崎東西高等学校の1年生へ5月より編入。
 アイアンやウエッジ、パターを使えないためゴルファーとして身を立てることができない身の上ながら、ペアゴルフが興ったこと、ウッド以外こそ得意とする水守と再会したことで光明を見出す。
 水守とペアを組み、多数の奥義を身につける。余人には修得不能である奇跡の技は、やがてペアゴルフの伝説となる。

【水守美月】

 みずもりみづき。長身スレンダー美人な本作のヒロイン。大空の幼なじみで、同学年ながら彼女のことはまるで生き別れの妹のように感じている。
 水守は幼くして進行性の病に冒されており、筋力が年々減少していた。みかねた父親が用意した手製のドライバー(水守父の命名は宇宙クラブ。作製年当時のルールには適合)の破格の性能により、小学1年生にして6年生たちを相手に全国制覇してしまう。
 強盗によって宇宙クラブを奪われたのちは、飛距離の激減からふたたび勝てない状態へと移行。事情を知らない周囲からはガラス製のスイングと揶揄された。
 病気の進行を遅らせる筋力維持の運動になること、とくに父親から咎められなかったことから、ゴルフは大空母の事件後も継続した。
 高校に進学してすぐ、海に向かってボールを打っていた大空と偶然、10年ぶりに再会。大空をペアゴルフへと誘ったが、断られる。その際に自身の病気と、余命が長くないことを告白。再懇願し、彼女からペアを組む承諾を得た。
 大空と同様、異質ともいえる奇跡のゴルフショットメイカー。
 なお、サムネイルで描いた打法は全国大会準々決勝で対戦相手が初披露するもので、主人公ペアはのちにその改良型を第6の奥義として用いる。

【大空の父】

 本作には登場しない。
 妻を強盗殺人事件により亡った傷心から、一人娘をともなって二度と戻らない遠洋漁業へ出た。
 何度海に捨てても燃やしても翌日には船内に戻るパーシモン製ドライバーを最初は船員のイタズラと認識、おおいに揉めた。
 どれだけ船内を探索しても見つからないこと、たいへん高価であるパーシモンウッドが数十本におよんで復活したことから、元から変調していた精神が重症化してしまう。目の前で復活するさまを目撃したのがトドメとなった。
 下船後は長崎市内の病院にて療養中。治ることはない。

【大空の母】

 本作には登場しない。
 小学1年生であった水守美月の全国大会優勝の祝賀パーティを水守母と企画。食事をもてなす水守母のかわりにと、水守邸の冷蔵庫に飲み物を取りに向かった先で強盗に遭遇。盗まれた宇宙クラブを用いて撲殺された。

【水守の父】

 水守哲郎(みずもりてつろう)。小学1年生であった水守美月を小学生以下の部で優勝させる原動力となった、宇宙クラブを製作した元・刀匠。
 大空夫妻と水守夫妻と、もうひとりの幼なじみの5人が若かりしころ、直径9センチの鉄隕石の落下に遭遇。これを記念にと刀へ加工しようとするも特殊な構造をもった合金であったため断念。その優れた特性を生かせるものとしてゴルフクラブのドライバーヘッドにすることを考案し、作製。水守美月と大空つばめに1本づつ与えた。
 これを用いた娘・美月が全国優勝し、打音に対する注目から市販品でないことが噂されて物盗りを招いた。
 大空家の失意の船出を見送ってからは本土へ移住。刀匠は廃業した。
 職を点々とするうちにゴルフに対する負の思いは娘の好影響で氷解。最終的に、かつてクラブを自作した経験を生かして長崎市内のゴルフクラブ企業へ定着した。現在は営業職で世界中を飛びまわる。
 残されたもう1本の宇宙クラブ、大空が幼少期に用いていた方のゆくえを知るひとり。

【水守の母】

 本作には登場しない。
 水守父が飛距離に悩む娘・美月へと手製のクラブを贈ったのは、美月の筋力が年々低下しているためであった。やがて重度の疾病に苦しむようになる美月を抱えることとなった水守母は、支えであった大空母を亡って精神を病む。
 事件からほどなく父子を残して失踪。現在の行方は不明である。

【進行】

 テレビ中継の実況をつとめる進行役。高木翔(たかぎかける)。本業はニュースキャスター。
 のちに選手を擁護する発言がとある人物の怒りを買い、左遷されるが独立、フリーに。
 高校生大会を縁に上野真冬から仕事を回してもらえるようになる。

【解説】

 上野真冬(うえのまふゆ)。元プロゴルファーで、現在は全日本プロファストゴルファー協会理事の本名・上野夏樹(うえのなつき)。ファストゴルフとペアゴルフ両方をたばねる。アマチュア協会も兼任。
 全国大会の解説をつとめる、オネエ言葉をあやつる元男性。地上波テレビの人気者でもある。性自認を公表したが戸籍はそのままであるため、芸名として上野真冬を名乗っている。
 超超高校級である舞浜学院のペアに傾倒しており、彼らをいちはやく世界へと送り出そうと高校生大会を企図した仕掛け人。

【コースレポート】

 『世界の赤井』の異名をもつ、日本ゴルフ界最初の至宝。全日本ゴルフツアー機構会長兼シニアプロゴルファーの赤井勇(あかいいさむ)。
 遠く長崎市に住む孫に頼まれて一度、当時ソロゴルファーであった水守美月の練習を指導する。その際に競技ゴルフからの引退をすすめた。
 しばらくしてペアゴルファーへ転身した水守が長崎県大会で勝ち進んでいることを知り、準々決勝前にもかかわらず急きょテレビ局へ打診。日程のかぶる自らのツアーを休場してまで全国大会のコースレポーターに志願した。
 この影響があり、世間が注目する舞浜学院と、女性だけのペアでは唯一全国大会へと進出した長崎東西の2校にフォーカスして地上波放送がされることとなった。

 実は30万字(完結!)書いており、そのうちの冒頭2万字を投稿しました。


#創作大賞2024 #漫画原作部門

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