深夜・カラオケ・アルバイト
短い区間の行きの電車は、夜 親に黙って1人で東京に行く為に乗った電車そっくりの空気があるから好きだ 今もこのまま関東まで向かう気がしている
着いたって 6階の締め作業なんかモップをかけながら小学校の時習ったバレエを思い出して廊下で回ったりでもすればすぐ朝になる
お金を貯めたい お金を貯めれば見えてくるREALに近づきたいと思った
でも、寝転ばない夜があまりにも長いことに気付いてから 孤独と不安で性格すら次第に湾曲していった。実際、俺には今 余裕がない。言葉で笑えるような明るさが。働いていない時の方が未来に対して明るく考えられたのは、ただ純粋な気持ちで本屋から眺めた中華レストランの灯りのようなものかもしれない
さくらももこのエッセイ、「もものかんづめ」を買った後に眺めたホテルの最上階 小さく赤い光がチラつく中華レストランにずっと憧れていた
もしかしたらあの中では 今の自分と同じような気持ちで働く人が居るのかもしれなかったこと
どれだけ夢のような楽しいツイートだけをしている人も、その後80年の人生を抱えていること
そういうところがよく見えない。
あの子と象に乗りたい 苦しい時は逃げてもいいと伝えてくれた 大好きなあの子とインドに行きたい
本当に死体を焼く匂いはアジの開きのような匂いなのかを二人で確かめたい
悩みながら切ったり貼ったりを繰り返しているので いくら綺麗な色に仕上がっても ノリにはホコリや手垢が付いてグレーに見える部分があるだろう
それでもいつ見てもあの中華レストランの灯りは綺麗ですね
昨日は気持ちの葛藤があり バイトに五分ほど遅刻したものの 目を腫らしながら向かったならきっと バックれた時よりは仲間のような目を向けてもらえると思っていた。
向かったら、店長に「こういうことがあったら信用を損ねるから なんで遅刻したの?」と聞かれた。副店長に謝りに行きなさいと言われ、セミのような声で謝った。呆れた空気が漂っていた。もう褒めてもらえる歳ではなかったことに ようやく気がついた。女の人に「6階チェックお願いします」と鋭い声で言われ フラフラと601の部屋に向かったあと、声変わりをした子供のような泣き声を上げながら消毒スプレーをかけた。
休憩中 小さな小さな個室で俯いて時間を潰していたら、初めて一人でライブに行ったバンドの曲が流れた。
そのバンドの曲の中ではそんなに好きでもなかったくせに 流れてくる曲が嬉しくて嬉しくて、励まされて仕方なかった。
店内で流れる曲の中で そのバンドの曲なんて1度だって流れたことはなかったし、らしくないとすら思った。
その後、ずっとその曲を口ずさみ 仕事をしていたら朝になった
夜勤明けに10円を全部はたいて買ったセブンティーンアイスのバニラは、高校の帰り道友達と食べた時と何も変わらない味だった
俺達は誰一人間違っていないだろうなぁ