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米粉の仕組みと米粉屋の本分

米粉の種類は「原料」「製粉前の米の状態」「製粉方式」「粒度」の4つで大別することができる。

①原料・・・うるち米を使うか、もち米を使うか。ここでまず大きく二分される。うるち米は、いわゆる私たちが普段の生活で口にする主食としての米。粘りが弱く、半透明で光沢がある。一方もち米は、乳白色で強い粘り気があり、その名の通り餅や、赤飯などにも用いられる。

米を機械に流し入れる

②製粉前の米の状態・・・一度米を蒸してデンプンを糊化(アルファ化)させるか、生米のまま製粉するか。糊化したデンプンは、生米のデンプンと比べて消化がしやすくなる。

アルファ化中

③製粉方式・・・アルファ化せず生米のまま粉砕する場合、そのなかでさらに「乾式」あるいは「湿式」の2つに分かれる。

乾式は、さっと水洗いしてぬかを落とした米を乾燥させ、そのまま粉砕する製粉方式。一方湿式は、水にしっかり浸して米の内部に水分を含ませ、その後表面の水気をとってから粉砕を行う。

浸水した米は小舟のような形をした木桶に広げられ、乾かされる

乾式は工程が少なく済むが、粉にストレスがかかるためデンプン損傷が大きくなりやすい(*)。一方湿式は設備投資が必要で手間隙もかかるが、その分米自体のデンプンの損傷をおさえることができる。

*デンプン損傷・・・デンプンの粒が熱や機械的衝撃によって傷ついたり割れたりしたもの。デンプン損傷の度合いが高ければ高いほど、吸水量が多くなる。損傷デンプン含量が高い米粉をつかうと水を吸って生地が重くなるため、膨らみにくい。

④粒度・・・目的にあわせて様々な粒度で粉砕する。小城製粉の場合は複数の製粉機を保有しているため、用途ごとに機械も使い分ける。

しかし、たとえば「上新粉よりも上用粉の方が細かい」といった定義はあるものの「○〜○mmの粉は白玉粉」といった明確な規格は実は存在しない。そのため、どの粒度のものをどの粉と定義するかはメーカーごとに考え方が異なるのが現状。

連続して杵を打ち下ろすことで製粉するスタンプミル

①〜④の掛け合わせによって、米粉の可能性は大きく枝分かれし、またそれだけでなく、製粉した粉同士を配合することで新たな特性を持つ米粉をつくることもできるという。

その一例として、鹿児島県の米穀粉メーカー・小城製粉で製造している米粉の樹形図を見てみよう。

米粉の分類図 ※小城製粉の場合

創業から現在に至るまで、彼らは常に職人たちからの様々な要望にオーダーメイドの配合で応え続けてきた。その結果、現在ではなんと400種類もの製品を自社に保有するまでに至ったという。

深遠なる米粉の世界は、その底知れなさゆえにつくり手たちの創造意欲を掻き立て、今もなおさらなる可能性を拡大し続けている。