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最終製品のなかで存在感が光るチョコレート
「全体の調和を妨げる雑味をいかに抑え、味わいの中心をストレートに貫くものづくりができるか。それが、私たちのチョコレートづくりの軸となる部分です。その上で、どうすれば他との違いを表現できるだろう?そこに課題がありました」
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2008年、森永商事の研究開発部でリーダーを務める渡部眞一朗さんとチームのメンバーは新たなクーベルチュールブランド「ショコラマニュファクチュール」を立ち上げた。
国民的メーカーの血を引くたしかな品質を武器に、街のお菓子屋さんに選ばれるただひとつのチョコレートをつくりたい。そんな思いから、チームは「最終製品のなかで存在感が光るチョコレート」をコンセプトに掲げ開発をスタートした。
「『チョコレートを食べたい』と『チョコレートのケーキを食べたい』って全然違います。後者の場合は、チョコレートと他の素材を一緒に味わいたい、いろんな香りや食感を複合的に楽しみたい、という欲求が前提にある。つまり材料としてのチョコレートの勝負どころは、そのものの美味しさだけでなく、他の素材と合わせた時いかにいい仕事をできるかなんです」
はじめに完成したのは、異なる酸味を持つフレーバービーンズ3種をブレンドして生み出したスペシャリティ「コンキスタドール」を中心に、酸をわずかに抑え上品に仕上げた「クレオール」、「コンキスタドール」の酸味をミルクチョコレートと合わせることをテーマにした「レルバージュ」の3種類。
当時市場で徐々に注目が高まっていたという「フルーティな酸」が、クリエイティブのキーワードになった。
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「はじめは『コンキスタドール』一本で勝負することも考えていました。ですが、チョコレートの酸味に対する認知は広がり始めたばかりで、唐突にそれだけを紹介してもまだ受け入れられないかもしれない。でも、どうにかしてこの酸の面白さを伝えたいーーそんな思いもあって、あえてバリエーションを持たせることで入口を広げるねらいがあったんです。『クレオール』と『レルバージュ』は、『コンキスタドール』の子どものようなイメージですね」