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チョコレート再発見「香りはどうやって生まれるか」

カカオ収穫後、農園ではカカオポッドから果肉と種が取り出され、発酵が行われます。発酵にはいくつかの方法がありますが、主にはバナナの葉の上にカカオの果肉と種を載せて葉で包む「ヒープ法」と、バスケットにバナナの葉を敷き詰めそのなかで発酵させる「バスケット法」、そして木箱の中に果肉と種を入れ都度撹拌を行いながら発酵させる「ボックス法」の3種類があります。

これら発酵の工程によってつくられるのが、チョコレートの香りの元となるプレアロマ(香りの前駆体)です。プレアロマは、発酵中に起こる酵素活性によってタンパク質やポリフェノールなど様々な栄養素が分解され、新たな化学反応を起こすことによって生成されます。

生成されたプレアロマはその後の焙煎によって一気に引出されますが、このうちのどの要素をより強く引き出すかは焙煎の温度や時間に依るところが大きく、ここにもメーカーごとのスタンスが表れます。

一方、香りの強さを考える際にはカカオ分がひとつの指針になります。カカオ分とは、チョコレートに含まれるカカオマスとカカオバターを合算した割合のこと。チョコレートの香りはこのふたつ(主にカカオマス)に宿るため、カカオ分の高さと香りの強さは比例すると考えることができるでしょう。

そのため、香りを際立たせたいお菓子や、焼成することで香りが飛びやすいパン生地などにはカカオ分の高いチョコレートを使用することで香りの印象を留めることができます。

逆も然り、たとえばチョコレートコーティングをする際にはチョコレート以外の素材を主役とするケースが多く想定されるため、ここで使用するチョコレートにはカカオ分が低いものを選ぶと香りの邪魔になりにくく、全体のバランスが取りやすくなります。ただし、カカオ分を下げると含まれるカカオバターの割合も少なくなり、流動性が低くなるので、大事にしたい特性を考慮しながら選択をしていくことが重要です。


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