ブルガリアってヨーグルトだけじゃないんです。
2023/11/29 ブルガリア ソフィア 🇧🇬
ブルガリアの首都ソフィア。
名前が可愛いんだよなと思いながら本当に事前情報なく来てしまった。
昨夜の就寝時間が遅かったこともあり、割と寝過ごしてしまった。起床は10時くらい。
シングルベットの寝心地の良さもあったのだろう。多少の調べ物をして直前のリサーチをした。
取り敢えず街をぶらついてみることにする。
首都なだけあってそれなりに沢山の人がいた。地下鉄の駅には地下なのに噴水があったり、連絡通路には遺跡の一部が見受けられたりと歩いて早々面白ポイントが沢山転がっていた。
適当にぶらつきつつも一応調べたレストランを目指してみる。その道中の公園でクリスマスマーケットが催されていた。これまでの都市では準備こそ見られたものの、始まっているところはなかったのでここソフィアが私の海外のクリスマスマーケットデビューの場となった。
昼少し前の会場でも既にお店は開いていたのだが、ちらほらとお客さんが見受けられる程度。そこまで賑わっているという感じでもなかったのだが、初めてのクリスマスムード全開のその空間には惹きつけられるほかなかった。
大きなクリスマスツリーを飾る文化の家庭であればきっとこのオーナメント達を買い揃えたくなるのだろうなと物欲の片鱗を感じてしまう。幸い旅行中なのと私の家ではそこまでその文化が根付いているわけでは無いので鑑賞だけにとどめることができた。
再びふらふらと歩いていくと、教会を見つけたので入ってみる。館内は撮影禁止となっており、静寂に包まれたその雰囲気に圧倒される。入場できるのが階段部分までで教会内部というか中心の場所は立ち入り禁止となっていた。常駐のスタッフがいるようで、フロントにおばあさんと係の若い青年が館内に座っている。きっと彼らが観光客が立ち入り禁止エリアに入ってしまわないように見張っているのだろう。規制するだけあるその美しい内部の装飾達をじっくりと観察し目に焼き付ける。途中観光客の姿が何組か見受けられ、また地元の信者らしきお婆さんが1人お祈りを捧げに来ていた。
先の方にまた別の教会の姿を認めつつ、まずは腹拵え。やっと目指していたレストランに辿り着く。
ちょうど12時のお昼時、そのお店は満席でウェイトレスも忙しそうだった。なかなか声をかけられずに困ってしまったが、やっと捕まえても割とそっけない対応に心が挫けそうになる。ただ、いつになるか分からないけど待っててもいいという話だったので少し待たせてもらうことにした。あまり待つ文化がないのか特にそれ用のスペースもなく、また店員さんも別段意地悪とかではなくてむしろ優しい感じだったのだが、他の人は待つのであればお店を変える人の方が多いのだろうか。分からないのだが、この待つ人への対応の不慣れさを感じた記憶がある。
というか、元々そっけない感じの接客のお店なのかと思っていたら、席に着いた時にめちゃくちゃフレンドリーで親切な対応をしてくれたのでそう思っただけなのであるが。
そんなことよりも重要なのは料理である。これが何か忘れてしまったのだが、ブルガリアの伝統料理を食す。オレンジジュースとヨーグルトドリンクがあったので両方頼んでしまった。ブルガリアといえばヨーグルトなので。ジュースも普通に美味しかったのだが、このブルガリア料理がまた美味しくて記憶に残っている。多分お肉と野菜をトマトソースで煮込んだ土鍋料理のカヴァルマだと思うのだが自信はない。北マケドニアで食べた料理とも近しい気がしたのだが、こちらの方は卵で閉じられており、辛味が追加されていたと思う。いずれにしろ両方とも美味しかったのでこの2カ国は私の中で料理の美味しい国として認定している。
先ほどから見えていたアレクサンドル・ネフス大聖堂に入ってみる。1901年にブルガリアの領地を支配していたロシアが建てられたブルガリア正教の教会で、複数のドームが配されたその巨大な青銅はブルガリアの中でも特に有名な観光スポットの一つとなっている。元々は露土戦争で亡くなったロシア人兵士の為にロシアの支援を受けて建てられた教会であるらしい。この特徴的な建物はネオ・ビザンティン建築様式で建てられ、現在は国内最大級の正教会の聖堂であり、ブルガリア総主教の本拠地として機能しているようだ。
流石はブルガリアの総本山。複数のドームが連なって屋根をなしているのだが、内部ではそれらの空間が一体となって巨大な一つの空間が生まれている。即ちとても広いのである。
館内は観光客が多く見受けられたものの、聖堂ということもあり、静寂で神聖な雰囲気。とてもじゃないが、シャッター音ですら鳴らしてしまうのに気を使わなくてはならないほどだった。
しかしこちらも一見の価値ありな大聖堂。途中司祭の方が蝋燭に火を灯しており、その神聖な姿が美しかった。
その教会から近かったので、実は狙っていたソフィア国立オペラバレエ劇場に足を運ぶ。チケットを現地購入するためだ。まさかの昼休憩中で20分程ぶらぷらしなければいけなかったのだが、逆に近くの換金所でブルガリアのレフを両替することが出来たので丁度良い。換金所もなかなか見つけられなかったので希少性が高かっただけかもしれないのだが、割と並んだ居たのでレートがいい所なのだろうと盲目的に信じることにする。
近くにあった日本食レストランに現地の若者がたむろしていたので勝手に日本食の人気を感じて嬉しくなっていた。
購入はオンラインでも出来るのだろうが、電波もないし経験としてオフラインで購入を試みる。オペラ座の脇の扉から入り、カウンターにて席を選んでチケットを購入する流れだった。オペラ座は前過ぎても音の響きがどうので結局どこの席が良いかは割と個人の好みな所もあるとのことで、ホールの真ん中辺りの席に決めた。
私の後ろに1人居た程度で難なく当日券をゲットできた。
これまた別の教会も近くにあったので入ってみることにした。入り口までのところに雪解け水で出来た水溜りが出来ており、靴が濡れてしまった。レンガがもろ見えるデザインは珍しいと思いつつ、そのほかの点では一見普通の建物に見えたその教会には謎めいた地下空間が広がっていた。こちらは有料で閲覧可能。折角なので入ってみることにした。グループツアーが刊行されていたので少し気まずく思いつつも少しだけ耳をそば立てて館内見学を開始する。と言いつつも基本1人で回ったのだが、モザイク画が施された床がそれなりの広さ分広がっているその空間では時代を遡って過去に来たような感覚に陥ってしまう。確かローマ時代の遺跡だったはずだ。全く事前情報がなかったのもあってより衝撃と面白さを感じた。
一度休憩しようと思いカフェに立ち寄る。街には路面電車が走っていた。
カフェではシュークリーム生地のお菓子が売られていたので、店員さんにフレーバーのお勧めを聞いてみる。抹茶も気になったのだが、レモン風味のブルーベリーがトッピングされたものを選んだ。店内のオシャレな雰囲気に癒される。それなりに今日も歩いたよなと。
一瞬宿に戻ってバレエ鑑賞の服装に着替えることにした。その道中に朝立ち寄ったクリスマスマーケットがあったので寄り道してみる。
小腹も空いたということでフランクフルトとライスコロッケを購入した。クリスマスマーケットはキャッシュのみだったので先程換金しておいて良かった。
割と冷めており、こういうのは雰囲気ありきで美味しく感じられるお祭りのご飯と一緒だよなと思った。マーケットの中心地にはステージがあり、そこではエルフに扮した女性が何やらコメディを繰り広げている。ノンバーバルコミュニケーションというか、こうしたパントマイム、無声の笑いの面白さを実感する。特に私はこの時卒論の題材にしていた映画作家がサーカスやパントマイムを嗜む人だったのもあり、無声の笑いへのアテンションが高くなっていたのだが、この異国の地で言葉が分からなくても面白いと思えるコメディに出会えてとても幸せな時間を過ごすことが出来た。これだけ刺激に溢れた世の中で無声の笑いを楽しめるってやっぱり豊かだよなと思う。
一度帰宅しワンピースを着て、ドゥブロヴニクで購入したばかりのイヤリングをつける。やっぱりこういうのって気分が上がるんだよな。ジュエリーの力ってすごいとこれまた感心してしまう案件だ。
少し時間があったので寄り道をしつつ、夜食用のパンをゲットする。キャッシュオンリーのそのお店は地元民で賑わっていた。
最終的にはソフィア国立オペラバレエ劇場に辿り着く。パリのオペラ座のガルニエ宮やチェコのオペラ座に比べると割と質素な内装だった。とはいえ、オペラ座ではあるのでクロークがあったり、ふかふかの絨毯生地の床だったり豪華といえば豪華な内装。席も丁度良く舞台全体を見渡すことが出来た。
演目はくるみ割り人形だった。オペラ座と言っておいて今日はバレエが上演される日だったのでこちらのチケットを購入。あまり覚えていないのだが、多分他の劇場ではオペラの選択肢もあったと思う。ただ、それこそノンバーバルで楽しめるバレエの魅力を感じてから再度鑑賞してみたいと思ってこの日はこのくるみ割り人形を選んでやって来たのだ。
バレエ初心者なので鑑賞眼が肥えているということでは決してないのだが、知識がなくても楽しめるバレエにまた惹かれてしまった。一方でバレリーナのまるで宙に浮いているような軽やかな動き、相当な努力によって獲得したその努力と技術の上に成り立った美に感嘆する。
問題はあまりにもブルガリアの市民にオペラやバレエが親しまれ過ぎているので19時開演の演目にも子連れがたくさんいた事だ。別に彼らを非難したい訳でも子供が嫌いな訳でもない。ただ、目の前の子がトナカイのカチューシャをしていたので舞台が見えずらいのはどうなのか、と思ったり隣の人が大人なのに席が離れてしまった別の家族と演目中に目配せしてたりモラルというかリテラシーというか、そうしたマナー的な部分は親しまれ過ぎているからこその低俗さがあったのは少し残念である。まあ私だってバックパッカーだからを免罪符に満足な格好ができずワンピースにスニーカーというお粗末な格好をしてしまっていたので人の事は言えないのだが。
さらに驚いたのはカーテンコールは撮影が許可されていた為に、終わった瞬間一眼レフを片手に自分の席から移動して前の方で記念撮影をしている人も見受けられ、自由だなと思った。彼らは本当にガチ勢なんだなとむしろ感心してしまう。
終演後、ロビーではクリスマスツリーを鑑賞し、鏡張りのその部屋に面白さを感じながら余韻に浸る。私は一瞬だけバレエをやっていたのだが、あれは一瞬のことで遠い昔。私がバレエをやっていた世界線もあったのかななんて思いながら帰路に着く。
既に21時を過ぎて居たのたが、朝も歩いたソフィアの道で既に見慣れたものたちにお別れを告げていく。22時前というその時間でもクリスマスマーケットは賑わっていた。夕方は家族連れも多かったのだが、今はもう大人のマーケットと化している。これまた折角なのでと意味もなく一周することにした。地元の青年らがクリスマスを迎えて和気藹々とお酒を飲んで楽しんでいる時間も幸せそうで勝手にその幸せをお裾分けしてもらった気分になる。
月が綺麗で、ソフィア像がこれまた美しく照らされている。街を見守る黄金の肌を持つ聖女はまさにソフィアの守神として街全体を見守っている様だった。
宿に着いたら今日は女性のスタッフがフロントにいた。彼女はあまり英語が得意そうではなかったが私を贔屓してくれる優しい人だった。バレエを見て来た話をすると良いよね、バレエとバレエに関する雑学を教えてくれた記憶がある。内容を忘れてしまったのは申し訳ない。
今思い出したのだが、オーナー達の住処はリビングの半分くらいのスペースだったらしく、カーテンで仕切られていた気がする。私が帰って来た時にわざわざフロントに来てくれたんだっけか。とにかく一緒に話せて楽しかった。
話も早々に切り上げ、寝る準備を始める。明日は寝坊できない日。今日も長い、良い1日だったなと思いながら寝床に着いた。