悲劇の青春時代イェイ
青春真っ只中、15歳の私が経験した事を書こうと思います。四年経った今でも吹っ切れない想いと共に、この場に残していきたいです。
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私は本当にどこにでもいる高校生だった。高校になったら1番楽しみにしていたのは、学校でも部活でもなく「バイト」だった。
人生で初めてバイトをしたのは、某有名チェーン店の宅配寿司屋さんだった。幸い優しい先輩達に囲まれて、寿司ってこんな簡単に握れていいのか!?と思いながらも楽しく働いていた。
一方、学校は毎日辞めたいと考える程嫌で、家庭環境も良い物ではなく一緒に暮らしている母親と祖母と会話をするのも嫌で沢山バイトを入れて家にいる時間を減らしていた。
そんな中、バイト先に居た1人の男性と仲良くなった。その男は当時23歳。学校に通っている訳でもなく3年近くバイトとして働いてた。見た目が怖く、店長から「デスノートのリュークみたい」と言われてた。その男の事をここでは「リューク」と呼ぶ事にする。笑
私とリュークの距離がグッと近づく事になったきっかけがある。店長がチラシ配りをしていて、私とリューク2人でお寿司を握っていた時の事。私がもう上がりという時に大量の注文が入り、2時間ぐらいのサービス残業をした。店長が店に帰って来て、「手伝ってくれてありがとう!おい、リューク!ご飯にでも連れて行ってやれよ!」この言葉で、私たちは初めて2人でご飯に行く事になった。
ご飯屋にはリュークが車で連れて行ってくれた。男性の助手席が初めててごっつ緊張した。男女2人がご飯を食べて、ドライブをして、そりゃまあ距離も縮まるわな。
それからというもの、バイト終わりに家まで送ってくれたり、学校まで迎えに来てくれたり、夜中までドライブしたり、まるで彼氏みたいな存在だった。もう皆さんわかっているとは思うが、私は完全にリュークに惚れている。高校の頃って年上の男性とドライブする妄想しかしないでしょ?
そんな関係が3ヶ月近く続いていた頃だった。事件は起きる。お盆期間は忙しく人手が足りず、リュークの妹が手伝いに来る事になった。学年は違うが同じ高校生で、とても良い子だった。バイト帰り好きな人の妹だからかちょっと気になってしまい、Twitterのアカウントを探した。怖いくらい一瞬で出てきてびっくりした。なんか申し訳なくなり、サラサラ〜っと見ていたらトムとジェリーくらい目が飛び出るツイートがあった。『お兄ちゃんの赤ちゃん生まれたー✨おめでとう✨✨』
「エッ!?ハッ!?あ、いやもう1人お兄ちゃん居るのかな(^^;)いや、2人兄弟って言ってたよな。あ!親戚のお兄ちゃんとかかな?めっちゃ仲良いからお兄ちゃんって呼んじゃってるパターン!」と、とりあえず自己解決した。
翌日、休憩中の先輩に「ここのスタッフで既婚者って何人くらいいるんですか!?」と聞いてみた。先輩はスタッフの勤怠カードを見ながら「〇〇さんでしょ〜!あとは…」私はドキドキして、冷や汗が止まらなかった。
「リュークさん!」
えっ!?はっ!?おいおいちょっと待てどういう事だ!?彼女居ないって言ってたよな?結婚願望ないって言ってたよな?実家でお母さんのご飯毎日食べてるって…言ってたじゃん…(嫁が料理できない場合ありえる)
一旦落ち着いて話を続けた。詳しく聞くとリュークの奥さんは元々ここのスタッフだったという。そして驚く事に、お盆期間中に一度手伝いに来るという。一体どんな人なのが気になったがそれ以上は聞かない事にした。聞いてもきっと辛くなるだけだと思って逃げた。
数日後、お手伝いで2人の女性が来ていた。1人はモデルさんのような綺麗な人で、もう人はおデブめのギャルだった。どっちかが、リュークの奥さん。15歳の私から見たら凄くお姉さんの2人を見てなんだか馬鹿らしくなった。こんな子供そりゃあ真剣に相手しないよな。ただ悲しくなったのを覚えている。2人が私の横を通った時に、どっちがリュークの奥さんか核心がついた。泣きそうになった。リュークはすごく柔軟剤の良い匂いがするのだが、おデブのギャルは彼とまったく同じ匂いがした。何とも切ない恋愛小説のようなオチ。
その日から数日間、奥さんとリュークが一緒に働く姿を遠くから見ていた。彼には何も言えなかったし、彼から私に何か言ってくる事もなかった。とんだ嘘つき男はまだバレてないと思っているようだった。
後々先輩から話を聞くと、2人は結婚している事を店長には内緒にしていたらしい。理由は奥さんが「一緒に働いて2人でサボったりできなくなるから」と言っていたそうだ。何じゃそりゃ。「中学生の同じ部活内で付き合ったカップルかよ!」ってツッコみたくなった。だから店長も何も思わず2人でご飯に行かせたんだろなって。
こんな状況にも関わらず、リュークからドライブの誘いが来た。私は今回で最後にして、ちゃんと話をしようと決めた。しかし、やっぱりできなかった。彼女でもないのに、「奥さん居たのね、最低!」なんてもちろん言えないし、奥さんの話には一切触れずに終わった。こんなに裏切られた気分なのに、何も言えない自分に腹が立った。
そんな中、Twitterで1人の男性からメッセージが来た。プロフィールを見る限り近くの高校で、誰かの知り合いかな?と思いメッセージを返した。メッセージのやり取りを続けていたら、恋愛の話になった。私は思い切って今ある状況を話した。とても親身になって聞いてくれて心が軽くなった。男と初めて電話をした時、あきらかに高校生ぽくなく、本当は何歳なの?と聞くと「23歳。引いたかなごめん」と言われた。正直びっくりしたが、何故か全然引いてないよ!と言っていた。そして翌日会う事になった。今思えば本当警戒心ゼロすぎて恥ずかしい。
翌日バイト先の近くで待ち合わせをしていて、現れたのは180センチ以上ある刺青だらけの男だった。正直怖かったのを覚えている。彼は凄く陽気で制服姿の私をみて「本当に高校生じゃん!俺実は26歳なんだよね!てか思ってたより痩せてるわ!15歳だっけ?まさか処女じゃないよね?」と一方的に頭が追いつかなくなる話をして来た。私はコイツヤバイって思ったのに何故か普通に「処女です!」と答えていて自分のヤバさを痛感した。彼は、「どっか、だれとでも良いから処女捨ててきてよ!」と言われて、あ、コイツ薬やってんなって思った。なのに私は逃げ出す事もなく淡々と話を続けていた。明日も会う事になり、まあ悪い人ではなさそうだし大丈夫かあと思っていた。危ないと気付いてるはずなのに、リュークとの事を忘れたかったからか、リュークが他の男と遊んだ事を知ったらどう思うのか、色んな思いで彼とまた会う事を決めた。
翌日、学校終わりに昨日と同じ場所で刺青男と会った。(この先はシンプルに刺青男と呼びます笑)彼は車高の低いセダンで現れた。見た目相応の車。刺青男の車に乗ると向かう先も知らされないまま、気付けばアパートの前に止まっていた。男の部屋は狭く、テーブルの上にはタバコの吸殻が山のようにあった。男はTVをつけ、私をソファに座らせ身体を触って来た。そんな状況でも彼がどんな人か知りたくて「趣味とかあるんですか?仕事は何してるんですか?」と普通に話しかけていた。本当にアホすぎて書きながら笑ってる。男は低い声で「興奮してる時にそんな事聞いてくるな」と叱ってきた。私の純粋に仲良くなろうと思った気持ちは一瞬にして打ち砕かれた。この後はみなさんご想像の通り、オッパジマったよ。
刺青男は家の近くまで送ってくれた。私が車を降りる時「不倫はやめとけよ」と一言告げられた。あぁ私がしてた事は他人から見て不倫に入るのか、と納得出来ていないはずなのに罪悪感に襲われた。
そんなある日、急にバイトの先輩から長文LINEが来た。内容は『リュークの奥さんがたまごちゃんと電話したいって。電話番号を教えても大丈夫?」といった内容だった。そっか今までの事がバレたのか…もう素直に謝ろう、ちゃんと話そう!と心に決め、手を震えさせながら電話番号を送った。
次の日の夜、奥さんから電話がかかってきた。電話の内容は思っていたものとは違かった。奥さんは、「全部知ってるよ。リュークの事好きだったんでしょ!?」と怒りに満ちた声で話し始めた。あんな男の事を正直に好きでしたなんて口が裂けても言いたくなかった。頑なに好きじゃないです、と言い続けていたら「好きな人に奥さんがいたんだけど、諦めた…ってじゃあこれどういう事?」と見覚えのある言葉を言い始めた。寒気がした。刺青男とのメッセージを読み上げていたのだ。彼はドン底から救ってくれた人ではなく、奥さんに操られたただの情報集めの男だったのだ。また裏切られたんだ…と涙が止まらなかった。奥さんにはただひたすら謝り続けた。「こうやって電話した事、リュークには絶対話さないでね。」と言われた。高校生相手に責め立てるような女だと思われたくなかったのだろうか。
明日は朝からバイトだというのに、一晩中泣き続けた。私が悪い事をしたのに、悲劇のヒロインぶってるなんて思っちゃうよね。翌朝バイトに行くか迷ったが、具合が悪いと嘘をついて休んだ。ごめんよ、店長。
その後、私はバイトを辞める事になる。辞めるのもすんなり行く訳もなく、店長が家まで来たり、カラオケでリュークの奥さんとデュエットする事になったり、刺青男と付き合う事になったり、半年後にはまた働く事になったりと不幸の渦をグルグル回る生活がスタートする。まだまだネタが溢れているので、続きが気になる人がいたら書きたいと思う。
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ここまで読んでくれた皆さん、本当にありがとうございます!!ど素人が書いた文章で、読むに耐えない部分もあったでしょう。。多めに見てくださったら幸いです😭この話を書いていると昔の事を思い出して、少々辛くなりました笑。でも今の自分はこの出来事無しには語れません。笑い話にして吹っ切れる選択を選びました。奥さんには申し訳ないけど…それと、文章を書くのってこんな楽しいんですね!たまたまTwitterでキナリ杯の記事を見かけて本当に良かったです😊
最後に一言、15歳の私より
『大人って、全然大人じゃないじゃん!』
-つづく-